代数曲線上の滑らかな点には、自然に離散付値環が対応します。この対応は、曲線を局所的に調べるうえで基本的な道具となります。
曲線の局所環
体 上のアフィン曲線 を考えます。 が多項式 で定義されているとき、座標環は です。
曲線上の点 に対応する極大イデアルを とすると、 における局所環は
と定義されます。これは を で局所化した環です。
滑らかな点では DVR になる
点 が滑らかである(特異点でない)とき、局所環 は離散付値環になります。
直感的には、滑らかな点の近傍は直線と同じように振る舞います。直線上の点の局所環は のようなもので、これは離散付値環です。
具体例:放物線上の原点
曲線 の原点 を考えます。座標環は であり、原点に対応する極大イデアルは です。局所環 は を で局所化したもので、 が一様化元となる離散付値環です。
具体例:尖点では DVR にならない
曲線 の原点は尖点(cusp)と呼ばれる特異点です。この点の局所環は離散付値環ではありません。極大イデアルが単項イデアルにならないためです。
一様化元の意味
滑らかな点 における一様化元 は、 での局所座標と解釈できます。曲線上の関数 が で 位の零点をもつとは、( は で でない)と書けることを意味します。
関数体と付値
曲線 の関数体 は、座標環の商体です。曲線上の各滑らかな点 は 上の離散付値 を定めます。 は、関数 が でもつ零点の位数(負なら極の位数)です。
この見方では、曲線上の滑らかな点全体と、関数体上の離散付値全体が一対一に対応します。離散付値環は、曲線を関数体から再構成するための基本的な道具なのです。