環をイデアルで割ると、次元はどう変化するでしょうか。一般には次元が下がりますが、どれだけ下がるかはイデアルの性質に依存します。
基本的な原理
を環、 をイデアルとします。商環 の素イデアルは、 を含む の素イデアルと一対一に対応します。
商をとると、 を含まない素イデアルは「消えて」しまいます。残るのは を含むものだけなので、素イデアルの鎖は一般に短くなり、次元は下がります。
次元の公式
一般に が成り立ちます。等号が成り立つのは、 が「小さい」とき、例えば がべき零元のみからなるときです。
より精密な結果として、 がネーター環で が素イデアル のとき
が成り立つことがあります(カテナリー環の場合)。ここで は の高さ(height)で、 から までの素イデアルの鎖の長さの上限です。
具体例
で割ると、 座標を に固定することになります。 で、次元は から に下がります。 軸という1次元の部分多様体に制限したことに対応します。
という条件を課すと、 軸と 軸の和集合が得られます。 は整域ではなく、 です。1次元の多様体(2本の直線の和)に対応します。
極大イデアル で割ると となり、次元は です。原点という1点に制限したことに対応します。
主イデアルで割る場合
が整域で のとき、 が期待されます。 という一つの方程式で次元が一つ下がるのです。
ただし、 が零因子の場合は事情が異なります。 が整域でないとき、 で割っても次元が下がらないことがあります。
余次元の概念
部分多様体 の余次元(codimension)は と定義されます。 が で定義されるとき、「理想的には」余次元は になりますが、方程式に依存関係があると余次元は より小さくなります。