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合成関数の微分のやり方(置きかえて外側と内側を掛ける)

を展開してから微分するのは骨が折れます。 と置けば になり、見慣れた形に変わる。

このように つの関数をつないだものが合成関数です。 から を作り、その から を作る、という二段構えの見方。

を動かすと がつられ、 につられて が動きます。 が右端に近いほど の動きは速く、 はさらに速い。

変化率は掛け算でつながる

が少し動くと、 倍の速さで動きます。その の動きに対して 倍で動く。

二段を通した比は、 つを掛けた値になります。

これが合成関数の微分公式です[1]。分数のように約分して見えるところが、この書き方の便利さ。

プライム記号なら次の形になります[2]。外側を微分し、内側の微分を掛ける、という手順がそのまま式に出ている。

外側を微分するとき、内側は つのかたまりのまま残します。 をばらして代入し直すわけではない。

外側の微分に現れる は、そのまま残っています。掛け算の相手として が付く形。

例:3 乗の形を展開せずに微分する

を計算します。 とおくと

なので、 とまとめられます。展開して 次式にする手間が、まるごと消えました。

例: を微分する

とおくと です。

指数の肩に付いた係数が、そのまま前へ出てきます。 は使う場面が多いので、形で覚えてしまうと速い。

例: を微分する

とおきます。

に戻すと約分が進みます。絶対値は微分では消えるので、 でも のまま。

例: を微分する

対数が外側ではなく内側にある形です。 とおくと

は別物です。前者は なので、微分すると になる。

例:分母の 2 乗を微分する

と書き直せます[1]。指数を負の数にすれば、商の公式を使わずに済む。

負の指数でもべきの公式はそのまま働きます。分数式では、この書き直しが近道になることが多い。

の導関数はどれか。

__RESULT__

とおくと です。 に内側の微分 を掛けると、 になります。内側の微分を忘れると 1 番目の形で止まってしまう。

の形はすぐ書ける

内側が 次式のときは、内側の微分が定数 になります[3]。合成関数の公式が、係数を前に出すだけの形に縮む。

なら なら なら です。

次式は数学Ⅲの計算で繰り返し現れます。ここだけは反射で書けるようにしておくと、時間の節約になる。

3 つ以上の合成

段が増えても考え方は変わりません。外から順に微分し、次の段の微分を掛けていくだけです[1]

ライプニッツの記号なら という連なりです。約分の見立てが、そのまま段数ぶん伸びる。

例:3 段重ねを分解する

を微分します。いちばん外が 乗、次が余弦、いちばん内が 次式。

余弦の微分で出る負号を落とすと、符号がまるごと反対になります。段ごとに書き出してから掛け合わせると、抜けに気づきやすい。

なぜ掛け算になるのか

差の商を 段に分けて眺めると、掛け算になる理由が見えます。 とおきます。

有限の差では、この式はただの約分です。 のとき となるので、右辺は に近づく。

になる場合の扱いだけ、別に手当てが要ります。差の商を連続な補助関数に置き換えると、その場合も込めて証明できる[2]

の導関数はどれか。

__RESULT__

の略記です。外側の 3 乗を微分して 、これに内側 の微分 を掛けます。

つまずきやすいところ

内側の微分を掛け忘れる形がいちばん多い。 は誤りで、正しくは
外側を微分するとき、内側を展開してしまうと合成の形が崩れます。かたまりのまま残す。
は別の関数。前者は 、後者は
の微分を とすると内側が消えます。正しくは
どこまでが内側かを決めてから書き始めると、段の数を数え違えにくい。

置きかえを紙に書き出す手間は、慣れるまでのあいだだけです。段の構造さえ見えていれば、頭の中で掛け合わせても間違えません。

参考文献

The Chain Rule - Calculus Volume 1, OpenStax
Kettenregel - Wikipedia(ドイツ語)
Dérivées usuelles - Wikipédia(フランス語)
$u = 3x^2+2x+1$ と置けば $y = u^3$ になり、展開せずに微分できます。$x$ の動きが $u$ に伝わり、$u$ の動きが $y$ に伝わる。その比を掛け合わせたものが $dy/dx = (dy/du)(du/dx)$ です。$e^{3x}$、$\log|\tan x|$、$(\log x)^8$、$\cos^4(7x^2+1)$ まで段階を追って計算し、$f(ax+b)$ の形が係数を前に出すだけで済む理由も示します。内側の微分を掛け忘れる誤りへの対処つき。