100 V の裏にある 141 V|交流の発生と実効値
家庭のコンセントは です。ところが電圧の最大値は あります。
のほうは実効値と呼ばれる値で、最大値を で割ったもの[1]。
なぜ最大値をそのまま名前にしないのか。答えは、実効値のほうが「同じ働きをする直流」と一致するからです。
回転が正弦波を生む
一様な磁場のなかでコイルを一定の速さで回します。面が磁場に垂直なとき磁束は最大、平行なとき 。
角速度を とすると、磁束は と書けます。ファラデーの法則を当てると起電力が出る。
正弦波になりました。交流の波形が正弦なのは、発電機が回転運動をしているためです[1]。
図で電圧が最大になるのは、コイルの面が磁場と平行になる瞬間です。磁束そのものは ですが、変化の速さが最大になっている。
平均すると 0 になってしまう
正弦波の 1 周期を平均すると です。上半分と下半分がちょうど打ち消し合う。
それでも電熱線はきちんと熱くなります。電流の向きが変わっても、熱は出る向きが変わらないためです。
熱は で決まります。 が負でも は正。だから平均すべきなのは ではなく のほうになります。

2 乗平均の平方根
を 2 乗すると です。 の 1 周期平均は になります。
この決め方をすると、直流と同じ式が使えます。抵抗での平均電力は になり、直流の公式がそのまま通る[2]。
実効値は「同じ抵抗を同じだけ熱くする直流の値」です。 の交流は の電池と同じだけ 電熱線を熱くします。
波形が正弦でないときは の関係が変わる。それでも「2 乗平均の平方根」という定義自体は同じ。
日本の 100 V
コンセントの は実効値です。最大値は 。絶縁の設計では、この のほうを見ることになります。
周波数は東日本が 、西日本が です。 なら 1 周期は で、1 秒に 100 回ゼロを通ります。
例 1:最大値を出す
実効値 の交流の最大値です。
ヨーロッパの なら になります[1]。
例 2:電球を調べる
で の電球です。実効値どうしで直流と同じ式が使えます。
電流の最大値は 。フィラメントには、瞬間的にこれだけ流れています。
例 3:瞬間の電力
例 2 の電球で、電圧が最大になる瞬間の電力を出します。
です。平均の のちょうど 2 倍。 の平均が だという関係が、ここに出ています。
例 4:発電機の起電力
回巻き、面積 のコイルを のなかで で回します。
実効値は です。回転を速くすれば、比例して電圧が上がります。
例 5:周期と回数
の 1 周期を出します。
ミリ秒。1 周期に 2 回ゼロを通るので、1 秒では 回。蛍光灯のちらつきが になるのはこのためです。
例 6:直流と比べる
の交流と の直流を、同じ の電熱線につなぎます。どちらが熱くなるでしょうか。
同じです。実効値をそう決めたので、平均電力はどちらも になります。
最大値どうしで比べると交流のほうが大きく見えますが、大きい時間は短い。ならしてみれば同じところに落ち着きます。
実効値 の交流電源につないだ抵抗に流れる電流の、最大値と実効値の比はいくつですか。
押さえどころ
| 起電力 | 、回転から正弦波が出る |
| 実効値 | 2 乗平均の平方根。 |
| 決め方の意味 | 同じ抵抗を同じだけ熱くする直流の値 |
| 平均電力 | (抵抗のみの回路) |
| コンセント | 日本は実効値 、最大値は |
| 周波数 | 東日本 、西日本 |
交流の問題で「電圧」と書いてあれば、ふつうは実効値です。最大値がほしいときは を掛ける。
この 1 手間を入れておけば、直流で覚えた式をそのまま使えます。実効値という決め方は、そのために用意された道具です。















抵抗だけの回路では電圧と電流が同じ形の正弦波になるので、比は電圧と同じ 2:1 です。実効値は最大値を 2 で割った値で、電圧でも電流でも同じ関係になります。