計器をつないだ瞬間に回路は変わる〜電流計と電圧計、分流器と倍率器
電流計は回路に直列、電圧計は並列につなぎます[1]。この違いは、測りたい量が違うところから来ています。
電流は道を通り抜ける量なので、計器も道の途中に入れる。電圧は 2 点の差なので、その 2 点をまたぐようにつなぎます。
つないだ計器は、回路の一部になります。理想の計器ならじゃまをしませんが、現実には内部抵抗があるので、測る前と後で回路が変わる。
内部抵抗の向きが逆
電流計は道の途中に入るので、抵抗が大きいと電流をさまたげます。だから内部抵抗は小さいほどよい[2]。
電圧計は枝を 1 本増やすことになるので、抵抗が小さいと余分な電流が流れます。だから内部抵抗は大きいほどよい。
理想は電流計が 、電圧計が無限大です[2]。
直列につなぐ。内部抵抗は小さいほどよい。理想は 0
並列につなぐ。内部抵抗は大きいほどよい。理想は無限大

測る前と後で変わってしまう
電圧計をつなぐと、そこに枝が 1 本増えます。合成抵抗が下がるので、そこにかかる電圧も下がる。
測ろうとした値そのものを、測る行為が変えてしまいます。内部抵抗が回路の抵抗にくらべて十分大きければ、この変化は小さくて済む[2]。
高い抵抗を測るときほど、この影響が出ます。 の抵抗にかかる電圧を の電圧計で測ると、読みは大きく狂う。
分流器で測れる範囲を広げる
計器そのものが流せる電流には限りがあります。大きな電流を測るには、わき道をつくって大部分をそちらへ逃がす[1]。
このわき道の抵抗を分流器、またはシャントと呼びます。計器の内部抵抗を 、測れる範囲を 倍にしたいとき、必要な値は次のとおり。
導き方は並列の分流です。計器へ 、分流器へ の割合で分ければよいので、抵抗の比を逆にとります。
倍率器で電圧の範囲を広げる
電圧計では逆に、直列に抵抗をつなぎます[3]。かかる電圧を分け合い、計器には一部だけを掛ける。
こちらは分圧です。計器に 、倍率器に の割合で分けるので、抵抗も同じ比にします。
分流器を足すと内部抵抗はさらに小さくなり、倍率器を足すと さらに大きくなります。
どちらも計器として望ましい向きへ動く。範囲を広げる操作が、そのまま精度の向上にもなっている。
例 1:電流計の影響
起電力 、外部抵抗 の回路に、内部抵抗 の電流計を入れます。
計器を入れなければ です。 パーセントほど小さく出ました。内部抵抗が回路の パーセントなので、ずれも パーセント。
例 2:電圧計の影響
を 2 本直列にし、 を掛けます。片方にかかる電圧は本来 。
ここへ内部抵抗 の電圧計をつなぎます。並列部分は になる。
のはずが と出ました。高い抵抗を測るときは、計器の内部抵抗を確かめることになります。
例 3:分流器を設計する
最大 、内部抵抗 の計器で まで測ります。倍率は 。
。計器へ 、分流器へ が流れます。
例 4:実際の計器で確かめる
でフルスケール、内部抵抗 の計器を まで広げます[3]。
フルスケールのときの計器の電圧は 。分流器には が流れます。
です[3]。倍率の式でも となり、一致します。
例 5:倍率器を設計する
例 4 の計器を電圧計にして、 まで測れるようにします[4]。
フルスケールに要る全体の抵抗は 。
を直列に入れます[4]。もとの計器だけなら でフルスケールだったので、100 倍に広がりました。
例 6:逆につないでしまうと
電流計をうっかり電源に並列でつなぐと、内部抵抗がほとんど なので短絡になります。大電流が流れて計器が焼ける。
電圧計を直列につないだ場合は、内部抵抗が大きいのでほとんど電流が流れません。回路が動かなくなるだけで、計器は無事です。
危ないのは電流計のほうだ、と覚えておくことになります。
内部抵抗 、最大 の計器で まで測りたい。分流器はいくつにしますか。
押さえどころ
| 電流計 | 直列につなぐ。内部抵抗は小さいほどよい |
| 電圧計 | 並列につなぐ。内部抵抗は大きいほどよい |
| 分流器 | 。電流計と並列に入れる |
| 倍率器 | 。電圧計と直列に入れる |
| 測定の影響 | 計器も回路の一部。内部抵抗が読みをずらす |
| やってはいけないつなぎ方 | 電流計を電源に並列。短絡になる |
分流器と倍率器の式は、どちらも分流と分圧そのものです。覚え直さずに、その場で組み立てられます。
倍に広げるなら、計器に 、外につないだ抵抗に の割合で分ける。並列なら抵抗の比を逆に、直列ならそのままにとる。ここだけです。















倍率は n=50/5.0=10 です。R=r/(n−1)=10/9=1.1Ω。計器へ 5.0mA、分流器へ 45mA が流れ、比は 1:9。抵抗の比はその逆で 9:1 になります。