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ラジオはこうして局を選ぶ……RLC 直列回路の共振

抵抗とコイルとコンデンサーを直列につないだとき、全体の流しにくさは 3 つの単純な足し算にはなりません[1]

はインピーダンスと呼びます。コイルとコンデンサーは引き算で入り、抵抗だけが 2 乗の形で別あつかい。

理由は位相です。 は電圧の向きが正反対なので打ち消し合い、 とは ずれているので直角に足すことになります。

直角に足す

3 つの素子には同じ電流が流れます。直列だからです。

抵抗にかかる電圧は電流と同位相、コイルは 進み、コンデンサーは 遅れる。これを矢印にして足すと、直角三角形ができます。

三平方の定理の形になります。底辺が 、高さが 、斜辺が

差が 0 になる周波数

は周波数に比例し、 は反比例します。どこかで必ず等しくなる。

この周波数を共振周波数と呼びます[2] なので、インピーダンスは だけになる。

流しにくさが最小になり、電流が最大になります[2]。電圧と電流のずれも

canvas: 置き場が受け取りませんでした

山の鋭さ

抵抗が小さいほど、共振の山は細く高くなります。鋭さを表す量が です[2]

が大きいほど、狭い範囲の周波数だけを大きく通す。ラジオの選局は、この鋭さで隣の局と分けています。

同調つまみは可変コンデンサーで、 を変えて を動かす仕組みです。目当ての放送の周波数に合わせると、その局の信号だけが大きくなります。

共振では、コイルとコンデンサーそれぞれに 電源より大きい電圧 が現れます。

2 つは正反対の向きなので足すと消える。それぞれの大きさは で、 倍まで大きくなる。

例 1:共振から外れた回路

を掛けます。

が勝っているので、回路全体としてはコンデンサーのようにふるまいます。電流は電圧より進む。

例 2:共振周波数を出す

同じ回路の共振角周波数です。

周波数に直すと 。このとき で、差が消えます。

例 3:電流を比べる

実効値 の電源をつなぎます。まず例 1 の状態。

共振させると になります。

18 倍。周波数を合わせるだけで、これだけ変わります。

例 4:素子にかかる電圧

例 3 の共振状態で、コイルにかかる電圧を出します。

電源の より大きい値です。コンデンサーにも同じ が、逆向きに掛かっています。

2 つを足すと打ち消し合って 。全体では抵抗の だけが残ります。部品の耐圧はこの で決めることになる。

例 5:鋭さを出す

例 2 の回路の です。

抵抗を に下げると になり、山は 10 倍鋭くなります。選局に使うなら、抵抗は小さいほうがよい。

例 6:鋭い共振の例

、電源の最大値 の回路です[2]

共振時の平均電力は 、通す周波数の幅は しかありません[2]

パーセントの幅です。この鋭さがあれば、隣り合う放送局をきれいに分けられます。

RLC 直列回路が共振しているとき、インピーダンスはいくつになりますか。

  • だけ
__RESULT__

共振では なので差が 0 になり、 です。コイルとコンデンサーの電圧は打ち消し合い、抵抗の電圧だけが残ります。このとき電流は最大で、電圧との位相のずれも 0 になります。

押さえどころ

インピーダンスは 。単純な足し算にはならない。
コイルとコンデンサーは向きが逆なので、差だけが効く。
共振は のとき。 で決まる。
共振では で最小、電流は最大、位相のずれは 0。
鋭さは 。抵抗が小さいほど鋭い。

共振周波数に が入っていない点が要点です。抵抗は山の高さと鋭さを決めるだけで、山の位置は だけで決まります。

ラジオの同調が を変えるだけで済むのも、この独立性のおかげです。

参考文献

Impédance d'un circuit RLC en série. Maxicours(フランス語).
15.6: Resonance in an AC Circuit/University_Physics_II_-_Thermodynamics_Electricity_and_Magnetism_(OpenStax)/15:_Alternating-Current_Circuits/15.06:_Resonance_in_an_AC_Circuit). Physics LibreTexts, OpenStax University Physics Volume 2.
Widerstände im Wechselstromkreis. Elektroniktutor(ドイツ語).
直列につないだ 3 つの流しにくさは単純に足せません。$Z=\sqrt{R^2+(X_L-X_C)^2}$ で、コイルとコンデンサーは向きが逆なので差だけが残り、抵抗とは直角に足すことになる。$X_L$ が周波数に比例し $X_C$ が反比例するので、どこかで必ず差が 0 になります。そこが共振で、$\omega_0=1/\sqrt{LC}$。インピーダンスは $R$ だけになり、電流が跳ね上がります。共振周波数に $R$ が入っていないので、抵抗は山の鋭さだけを決める。コイルとコンデンサーに電源より大きい電圧が現れる話まで扱いました。