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プリズムの最小偏角から屈折率を求める

プリズムに細い光を当て、プリズムをゆっくり回す。曲がり方はだんだん小さくなり、あるところで止まって、そこからまた大きくなる。

いちばん曲がらない瞬間、光はプリズムの中を底面と平行に、左右対称に通っています[3]。このときの曲がり角を最小偏角という。

が頂角、 が最小偏角。角を 2 つ測るだけで屈折率が出ます。

2 回曲がって出ていく

光はプリズムの入口と出口で 1 回ずつ屈折します。どちらでも同じ向きへ曲がるので、曲がりが足し算になる。

入射角を 、入口での屈折角を 、出口での入射角を 、出射角を とします。

四角形の内角から、2 つの屈折角には次の関係が出ます[3]。

偏角は 2 回ぶんの曲がりの和。 を整理します。

回すと偏角が変わる

を変えれば が決まり、 から も決まります。 は の関数になる。

グラフは下に凸の形になり、谷が 1 つだけできます。谷の底が最小偏角。

最小のとき対称に通る

と を入れかえても、光の道すじは逆向きにたどれば同じです。だから は と について対称な形をしている。

対称な関数の谷は、2 つが等しいところに来る[3]。つまり 。

このとき になり、光は底面と平行に進みます。

入口でスネルの法則を当てる。 なので、冒頭の式が出る。

例:頂角 60 度、屈折率 1.50

です。

度が最小偏角。どんなに角度を変えても、これより小さくは曲がりません。

例:測った角から屈折率を出す

頂角 のプリズムで、最小偏角が と測れたとします。

角を 2 つ測るだけで屈折率が出ました。プリズム分光器はこの原理で作られている。

例:屈折率が大きいガラス

にすると で 。

屈折率が大きいほど、最小偏角も大きくなります。

色ごとに偏角が違う

屈折率は波長で変わります。短い波長ほど大きく、紫がいちばん大きい[1]。

クラウンガラスでは、赤い光で 、紫の光で ほど[1]。この差が偏角の差になる。

例:赤と紫の偏角を出す

頂角 で計算します。赤は から 。

紫は から 。

差は 。屈折率の差はわずか ですが、角の差ははっきり出ます。

例:スクリーン上でどれだけ離れるか

プリズムから 離れた壁に映します。

ほど。距離を伸ばせばスペクトルはいくらでも広がる[1]。

頂角が大きすぎると出られない

出口で が臨界角を超えると、光は全反射して外へ出られない[2]。

なので、 が大きいほど も大きくなりがちです。臨界角を とすると、 では出口を通れない場合が現れる。

なら で 。 が境目になります。

例:直角プリズム

頂角 のプリズムは を超えています。光は側面から出られず、全反射する。

この性質を使うのが双眼鏡やペリスコープです[2]。鏡と違って反射率が落ちないので、明るいまま向きを変えられる。

分散させたいときは頂角 、向きを変えたいときは 。同じガラスの塊でも、頂角で役目が変わります。

例:薄いプリズムなら簡単になる

頂角が小さいと角度も小さく、 が使えます。

、 なら 。正確に計算しても で、よく合います。

眼鏡のレンズに入れるプリズムはこの範囲です。度数の単位も、この近似を前提に決められている。

頂角 のプリズムで最小偏角が と測れました。屈折率はいくらですか。

__RESULT__

です。 は分子を としてしまった値になります。

光の通り方も確かめます。

最小偏角になっているとき、プリズムの中で光はどう進んでいますか。

  • 入口の面に垂直に進む
  • 底面と平行に進む
  • 頂点へ向かって進む
__RESULT__

となり、光は左右対称に通ります。この向きが底面と平行になる向きです。入口に垂直だと で、対称にはなりません。

まちがえやすい点

偏角を屈折角そのものと考える。もとの向きからのずれで、2 回ぶんの和になります。
を とする。頂角 に等しくなります。
最小偏角の式の分子を にする。 です。
プリズムを回せばいくらでも曲げられると思う。谷が 1 つあり、それより小さくはなりません。
紫より赤のほうが大きく曲がると考える。屈折率は紫のほうが大きいので、紫が大きく曲がります。
頂角を大きくすればよく分散すると思う。大きすぎると全反射して光が出てきません。

角度を 2 つ測るだけで、ガラスの中の光の速さまで決まる。回して谷を探す、というそれだけの操作が、屈折率という量に直結しています。

参考文献

Dispersion. University Physics Volume 3, OpenStax.
Total Internal Reflection. University Physics Volume 3, OpenStax.
*Übungsaufgabe: Das Prisma*. Lernplattform Physik, Universität Göttingen.
プリズムを回していくと曲がり方はいったん小さくなり、あるところで止まってまた大きくなります。谷の底では光が底面と平行に、左右対称に通っている。そこから $n = \sin\frac{A+\delta_m}{2} \div \sin\frac{A}{2}$ が出るので、角を 2 つ測るだけで屈折率が決まります。頂角 60 度、屈折率 1.50 なら最小偏角は 37.2 度。屈折率が波長で変わるぶん、赤は 38.2 度、紫は 39.8 度と分かれ、2.0 m 先の壁で 5.6 cm に広がる。頂角が臨界角の 2 倍を超えると光が出られなくなり、90 度のプリズムが双眼鏡の全反射に使われる理由もここから出ます。