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マイケルソン干渉計とロイドの鏡|縞の本数から距離を測る

鏡を ほど動かすだけで、目に見える縞が 1 本ぶん流れる。髪の毛の太さの 分の ほどの動き。

長さを測る作業が、縞を数える作業に置き換わります[1]。数えるだけなので、目盛りの細かさに縛られない。

が鏡を動かした距離、 が流れた縞の本数。左辺が 倍になっているのは、光が往復するためです[3]。

光を 2 つに分けて戻す

半分だけ銀を塗った鏡に光を当てると、半分は通り抜け、半分は直角に曲がります。これで光が 2 本に分かれる[1]。

2 本はそれぞれ鏡で返され、半透明の鏡でふたたび出会う。重なった結果が観察される縞。

右の鏡を だけ遠ざけると、その道のりは行きと帰りで ずつ、合わせて 伸びます[3]。

縞が 1 本流れる距離

光路差が 変わるたびに、縞は隣の位置へ 1 本ぶん動く[1]。

なら 。波長の半分だけ動かせば、縞が 1 本流れる。

例:波長を測る

鏡を 動かしたら、縞が 本流れたとします。

。ヘリウムネオンレーザーの赤い光の波長です。

という、ふつうのマイクロメーターで測れる距離から、その 分の の長さが出ました。

例:1 本ぶんの距離

同じ波長で とします。。

です。これより細かく動かせば、縞は 1 本も流れきらない。

例:小さな動きを測る

縞が 本流れたら、鏡は 動いたことになる。

数えるだけなので、目で追える範囲ならいくらでも細かく測れる。長さの標準がこの方法で決められていた時代もあります[1]。

気体の屈折率も測れる

片方の道すじに長さ の容器を置き、中を真空から気体で満たします。光が通る距離は変わらないのに、光路長だけが増える[3]。

増える量は往復ぶんで 。これが に等しくなる。

例:空気の屈折率

の容器で、真空から大気圧まで入れたときに縞が 本流れたとします。。

です。空気の屈折率として知られる値とよく合います。

から しか違わない量を、縞を数えるだけで 3 桁めまで出せる。

例:ガラス板を差し入れる

厚さ 、屈折率 のガラス板を、片方の道すじに立てます。

往復するので、増える光路長は 。

流れる縞の数は 本。うすいガラス 1 枚で、これだけ動く。

なぜ縞が輪に見えるのか

点のような光源なら、まっすぐな縞が並びます。ところが広がった光源を使うと、同心円の輪になる。

入ってくる向きが少し違うと、往復する道のりもわずかに変わるためです。同じ光路差になる向きが円錐状に並び、それが輪として見える。

鏡を動かすと輪が中心へ吸い込まれるように動きます。数えるのは、中心を通り過ぎた輪の数。

補償板を入れる理由

半透明の鏡はガラスの板です。片方の光はこの板を 1 回、もう片方は 3 回通ります。

そのままだと、ガラスの中を通る長さが両者で違ってしまう。同じ厚さの板をもう 1 枚入れて釣り合わせる[1]。

白色光で縞を出したいときには、これが要ります。色ごとに屈折率が違うので、ガラスの差が残ると縞が消えてしまう。

例:振動を追いかける

小さな鏡を振動する物体に貼りつけ、干渉計の一方の鏡として使います。

1 秒間に 本の縞が流れたとすると、鏡の速さは 。

縞の流れる速さを数えるだけで、目に見えない動きが速度として読めます。

ロイドの鏡

もう 1 つ、鏡を使う古典的な干渉があります。光源のすぐそばに鏡を寝かせ、浅い角度で光を当てる形[2]。

スクリーンには、光源から直接届く光と、鏡で返ってきた光が重なる。

返ってきた光は、鏡の中の像から出てきたように見える。だから光源とその像が、2 つの波源としてはたらく[2]。

光源が鏡面から高さ にあれば、像は だけ下にある。2 つの波源の間隔は になる。

明暗が入れかわる

ここまではヤングの実験と同じですが、1 つだけ違います。鏡で返るときに位相が ずれる[2]。

ヤングの実験

経路差 の点は明線。2 つの光が同位相で届く

ロイドの鏡

経路差 の点は暗線。反射のぶん半波長ずれて届く

鏡面に接する場所は、2 つの波源から等距離。それでも暗くなる。位相の反転が起きている、いちばん分かりやすい証拠になります[2]。

例:縞の間隔を出す

光源を鏡面から 上に置き、 先のスクリーンで観察します。波長は 。

波源の間隔は です。

おきに縞が並ぶ。

例:暗線と明線の位置

鏡面の位置を とします。暗線はそこから ごとに現れる。

明線はそのあいだで、、、。ヤングの実験とちょうど入れかわった並びです。

電波でも起きる

低いところを飛ぶヘリコプターが送信所からの電波を受けると、直接届く波と地面で返る波が重なる[2]。

高度が変わるにつれて経路差が変わり、受信の強さが上下する。ロイドの鏡と同じ配置です。

海面や滑走路でも同じことが起きる。波長が長いぶん、縞の間隔も数メートルから数十メートルになる。

マイケルソン干渉計で鏡を 動かしたところ、縞が 本流れました。使った光の波長はいくらですか。

__RESULT__

です。 は往復の を落とした値になります。

ロイドの鏡のほうも確かめます。

ロイドの鏡で、鏡面に接する位置はどうなりますか。

  • 経路差が なので明線になる
  • 反射で位相が ずれるので暗線になる
  • 光が届かないので何も見えない
__RESULT__

2 つの波源から等距離なので経路差は ですが、反射した側だけ位相が ずれています。差し引きで半波長ずれた形になり、打ち消し合って暗線になります。

よくあるミス

鏡を動かした距離をそのまま光路差とする。往復するので 2 倍になります。
と書く。正しくは です。
気体を入れたとき、光が通る距離が変わると考える。変わるのは光路長のほうです。
ロイドの鏡で 2 つの波源の間隔を とする。像までを含めて になります。
ロイドの鏡の中央を明線と決めてしまう。反射の位相反転で暗線になります。
位相の反転を経路差の計算に入れ忘れる。半波長ぶんの差として足します。

長さを数に置き換える。 という、目にも定規にも見えない量が、1 本、2 本と数えられる形になります。

参考

The Michelson Interferometer. University Physics Volume 3, OpenStax.
Lloyd's mirror. schoolphysics.
*Michelson Interferometer*. Vorpraktikum Physik, Universität Basel.
半透明の鏡で光を 2 つに分け、それぞれ往復させて重ねます。片方の鏡を $d$ 動かすと光路差は $2d$ 変わるので、$2d = m\lambda$ で流れた縞の本数から長さが読める。0.10 mm 動かして 316 本なら波長は 633 nm、逆に縞 1 本ぶんは 0.32 マイクロメートルです。容器に気体を入れて縞を数えれば、1 との差が 0.0003 しかない屈折率まで 3 桁めまで出る。もう 1 つの鏡の使い方がロイドの鏡で、光源とその鏡像が 2 つの波源としてはたらきます。反射で位相が反転するぶん、鏡面に接する場所が明線ではなく暗線になる。