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水面波の干渉で強め合う条件と節線の数え方

水面に 2 つの波源を並べて同じ振動数で揺らすと、水面がまったく動かない線が何本か現れます。この線を節線という。

節線がどこを走るかは、2 つの波源からの距離の差だけで決まります。差が半波長の奇数倍になる点が、節線の上の点[1]

何本できるかも、波源の間隔 と波長 だけで決まる。図を描かなくても数えられます。

経路差で決まる

点 P に届く 2 つの波を考える。波源からの距離を とする。

同位相で出た波なら、P での位相の差は距離の差から出ます。この差を経路差という[3]

経路差が波長の整数倍なら山と山が重なって強め合う。半波長の奇数倍なら、山と谷が重なって打ち消し合います。

波そのものは外へ広がっていきますが、灰色の帯は同じ場所に居すわります。動かない線があることが、干渉の目印。

節線は双曲線になる

が一定の点を集めた図形は、2 つの波源を焦点とする双曲線になる[2]

経路差 の双曲線、 の双曲線、と続いていく。強め合う線も同じ形で、経路差が の双曲線になる。

経路差 の線だけは特別で、 の垂直二等分線という直線になる。

何本できるかを数える

節線が存在するには、その経路差が実際に作れなければならない。

を結ぶ線分の上では、経路差は から まで連続に変わります。線分の外へ出ると、経路差は を超えられない。

だから条件は次のようになります。

これを満たす の個数を とすると、節線は左右対称に並ぶので [2]

強め合う線のほうは で、 の中央の 1 本を別に数える。

例:間隔 5.0 cm、波長 2.0 cm

を入れる。

の 2 個。節線は 本です。経路差でいえば の線。

強め合う線は から 。中央の 1 本と、左右に 2 本ずつで合計 5 本になります。

線分の上で数え直す

の上では、2 つの波が正面から向かい合います。重なると定常波になる。

同位相の波源なら、線分の中点は必ず腹です。腹と腹の間隔は

線分上の節の個数は、節線が線分と交わる点の個数。だから 2 通りの数え方が同じ答えを出す。

例:2 通りで合わせる

で確かめる。

中点を原点にとると、腹の位置は の 5 個。 は波源そのものなので数えません。

節の位置は の 4 個です。経路差の式から出した 4 本と一致した。

計算がややこしくなったら、線分上に定常波を描いて数え直す。これがいちばん確実な検算になります。

例:波長を半分にする

にします。 から

から の 5 個なので、節線は 10 本。波長を半分にすると本数はほぼ 2 倍になります[2]

線分上でも確かめる。腹の間隔が になるので、節は の 10 個。合っています。

例:波源を離す

とします。 から

節線は 8 本になります。間隔を広げても本数が増える[2]

決めているのは という比です。この比が大きいほど、模様は細かくなります。

例:節線の本数から波長を絞る

波源の間隔が で、節線が 6 本見えたとします。波長はどの範囲にありますか。

6 本ということは の 3 個が成り立ち、 は成り立たない。2 つの不等式を並べます。

前者から 、後者から

本数は飛び飛びにしか変わらないので、逆に解くと範囲になる。1 つの値には決まらない。

例:振動数を上げる

水面波の速さを 、波源の間隔を とします。

振動数 なら で、節線は 4 本。

に上げると になり、 から から の 4 個。節線は 8 本に増えます。

つまみを回して振動数を上げると、模様がだんだん細かくなる。水面波の実験で最初に気づくのがこの変化です。

節線が 1 本もできない場合

すら成り立たないことがあります。条件は なので、これが崩れるとき。

波源の間隔が半波長より狭いと、どこをとっても経路差が に届きません。水面全体がどこでも強め合う。

間隔 、波長 ならこの場合にあたります。2 つの波源が 1 つの波源のように振る舞う。

逆位相の波源だと

片方の波源を半周期ずらして揺らすと、条件がそっくり入れかわる。

同位相の波源

経路差が で強め合う。中央の垂直二等分線は強め合う線

逆位相の波源

経路差が で打ち消し合う。中央の垂直二等分線が節線になる

の逆位相なら、節線は から 。中央の 1 本と左右 2 本ずつで 5 本です。

同位相のときの強め合う線の本数と、そっくり入れかわりました。

遠くでは直線に近づく

双曲線は、遠ざかるにつれて漸近線に近づきます。波源から十分離れた場所では、節線はほぼ直線と見なせる[1]

その向きは、2 つの波源を通る直線となす角 で表せる。遠方では経路差が に近づくため。

スリットを 2 つ並べたときの暗線の条件と、まったく同じ形になりました。

例:遠方での節線の向き

で、垂直二等分線から測った角を出します。

では

では 。外側ほど間隔が広がります。

水でも音でも光でも

同じ模様は、2 つのスピーカーからの音でも、2 つのスリットを通した光でも現れる[1]

違うのは波長の桁だけ。水面波なら数センチ、音なら数十センチ、光なら数百ナノメートル。

光では波長が小さすぎて が巨大になり、模様が細かくなりすぎます。だからスリットの間隔を ほどまで詰める必要がある。

離れた 2 つの波源を同位相で揺らします。波長が のとき、節線は何本できますか。

__RESULT__

から なので の 3 個です。左右対称に並ぶので 本になります。線分上で数えても、節は ではなく の 6 個。

位相の関係も確かめます。

2 つの波源を逆位相で揺らしたとき、波源を結ぶ線分の垂直二等分線の上ではどうなりますか。

  • いちばん強く振動する
  • まったく振動しない
  • 位置によって変わる
__RESULT__

垂直二等分線の上では 2 つの波源からの距離が等しく、経路差は です。逆位相で出た波は、経路差 のまま打ち消し合います。同位相の波源ならここが最も強く振動します。

つまずきやすいところ

節線を経路差 の線と考える。それは強め合う線で、節線は です。
片側だけ数えて答える。節線は左右対称に並ぶので 2 倍にします。
経路差がちょうど になる線を数えてしまう。線分の外へ出ると を超えられません。
強め合う線で を忘れる。垂直二等分線がその 1 本にあたります。
波源を離すと模様が広がると思う。 が大きくなるので、細かくなります。
遠方の式 を波源のすぐそばで使う。近くでは双曲線が曲がっています。

数えるのは線ではなく、経路差として作れる値の個数。 さえ出せば、図を描く前に答えが決まります。

出典

Interference From Two Point Sources. Acoustics Group, University of Salford.
*Interferenz von Kreiswellen zweier punktförmiger Erreger*. Physikalisches Praktikum, Technische Universität München.
Mathematics of Interference. University Physics Volume 3, OpenStax.
2 つの波源を同じ振動数で揺らすと、水面がまったく動かない線が現れます。2 つの波源からの距離の差が半波長の奇数倍になる点の集まりで、形は波源を焦点とする双曲線。何本できるかは $(m + 1/2)\lambda < d$ を満たす $m$ の個数で決まり、左右対称なのでその 2 倍です。間隔 5.0 cm、波長 2.0 cm なら 4 本。波源を結ぶ線分の上にできる定常波の節を数えても同じ答えが出るので、そのまま検算に使える。波長を半分にすれば本数はほぼ 2 倍、間隔が半波長より狭ければ 1 本もできません。逆位相にすると強め合う線と入れかわり、遠方では $d\sin\theta$ の式に近づく。