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波動の計算問題|波の式・定常波・気柱・ドップラー効果・光の干渉

波動の問題は、まず何が動いていて何が止まっているかを見分けるところから始まります。媒質か、波源か、観測者か。それが決まれば使う式もほぼ決まる。

問題は波の式から光の干渉まで順に並べてある。後半には図やグラフから値を読みとる問題も置きました。

使う定数は次のとおりとします。

音速(気温 15 度)
真空中の光速
水の屈折率
ガラスの屈折率

分野ごとに使う式もまとめておく。

分野使う式落としやすい点
波の基本速さは媒質で決まる
定常波節の間隔が 波長はその 2 倍
気柱の共鳴開口端補正が消える
ドップラー効果正の向きを先に決める
光の干渉単位をメートルにそろえる

問題 1:グラフから波の式を作る

下の図は、ある時刻 における波の形です。この波は の正の向きに で進んでいます。波を表す式を作りなさい。

解答 1

グラフから振幅と波長を読む。振幅は 、波長は 。

周期は波長を速さで割って出る。

正の向きへ進む波なので、 の前は負号になります。

振動数は 。角振動数と波数で書くなら 、 です。

問題 2:媒質が動く向きを読む

問題 1 の波について、 の瞬間に の点が動く向きを答えなさい。

解答 2

グラフの は、半波長ぶん進んだ位置です。そこは変位が で、右隣が谷になっている。

波形をわずかに右へずらすと、右にあった谷が近づいてくる。したがってこの点は下へ動く。

速さや振動数は使いません。波形と進行方向だけで決まる問題です。

問題 3:定常波から波長と速さを出す

弦に定常波を立てたところ、隣り合う節の間隔が でした。弦を で振動させています。波長と波の速さを求めなさい。

解答 3

節の間隔は半波長にあたる。

速さは から出る。

腹の間隔を測っても同じ値が出る。どちらも だからです。

問題 4:弦の張力を変える

長さ の弦を伝わる波の速さが です。基本振動数を求めなさい。また、張力を 倍にしたときの基本振動数を求めなさい。

解答 4

基本振動の波長は弦の長さの 倍で 。

速さは張力の平方根に比例する。 の平方根は です。

波長は弦の長さで決まるので変わりません。変わるのは速さのほうだけ。

問題 5:気柱共鳴から音速を出す

振動数 のおんさを使って気柱共鳴の実験を行いました。第 1 共鳴点が 、第 2 共鳴点が です。音速と開口端補正を求めなさい。

canvas: 置き場が受け取りませんでした

解答 5

第 1 共鳴点では 、第 2 共鳴点では が成り立ちます。引き算すると が消える。

音速は振動数を掛けて出る。

開口端補正は の式に戻して求める。

第 1 共鳴点だけで計算すると、 のぶんだけ波長を短く見積もる。 点を測る理由がここにある。

問題 6:うなりから振動数を決める

振動数 のおんさ A と、振動数のわからないおんさ B を同時に鳴らすと、毎秒 回のうなりが聞こえました。B におもりを付けると、うなりは毎秒 回に減りました。B の振動数を求めなさい。

解答 6

うなりの回数は差なので、候補は と の つ。

おもりを付けるとおんさは振動しにくくなり、振動数が下がる。ここが手がかり。

もとが なら、下がって差が縮み、うなりは減る。観測と合っています。

もとが なら、さらに下がって差が広がり、うなりは増えるはず。合いません。

したがって B の振動数は です。

問題 7:やまびこから距離を出す

気温 の日に崖へ向かって叫んだところ、 秒後にやまびこが返ってきました。崖までの距離を求めなさい。

解答 7

気温から音速を出す。 に代入します。

音は往復しているので、片道は 秒。

で計算すると になる。気温が指定されているときは、その値から音速を出し直す。

問題 8:近づく音源と遠ざかる音源

振動数 のサイレンを鳴らす車が、 で観測者に近づいています。聞こえる振動数を求めなさい。また、通り過ぎて遠ざかるときの振動数も求めなさい。

解答 8

音源から観測者へ向かう向きを正とします。近づくときは 、観測者は静止なので 。

遠ざかるときは に変わる。

上がり幅が 、下がり幅が で、等しくなりません。分母の変わり方が違うためです。

問題 9:反射板とうなり

静止した音源が の音を出しています。反射板が で音源へ近づくとき、音源の位置で聞こえる反射音の振動数と、直接音とのうなりの回数を求めなさい。

解答 9

反射板をまず観測者として扱い、次に音源として扱う。 段に分ける。

うなりの回数は差そのものです。

これだけ差が開くと、うなりとしては数えられません。 つの音が別の高さとして聞こえる。

問題 10:屈折角と媒質中の速さ

空気中からガラスへ、入射角 で光を入れます。屈折角と、ガラス中での光の速さを求めなさい。

解答 10

屈折の法則に代入する。

となる角は約 。入射角より小さく、法線側へ寄っている。

速さは屈折率で割るだけ。

問題 11:全反射するかを判定する

水中から空気へ、入射角 で光が向かいます。この光は空気中へ出るかどうかを答えなさい。

解答 11

まず臨界角を出します。

となる角は約 。入射角 はこれより大きい。

したがって全反射が起き、光は空気中へ出ません。すべて水中へ戻される。

向きも確かめておきます。屈折率の大きい水から小さい空気へ向かうので、全反射が起こりうる向き。

問題 12:水槽の見かけの深さ

深さ の水槽を真上から見ます。底までの見かけの深さを求めなさい。

解答 12

真上から見る場合は、屈折率で割るだけです。

実際より 浅く見えている。斜めから見る場合にはこの式が使えないので、真上という条件を確かめる。

問題 13:レンズの像

焦点距離 の凸レンズの前 に物体を置きます。像の位置と倍率と種類を求めなさい。次に、同じレンズの前 に置いた場合も求めなさい。

解答 13

写像公式に入れる。

が正なので実像。倍率は で、縮んだ倒立実像です。

次に の場合。焦点の内側なので、結果が変わる。

が負なので虚像になる。倍率は で、 倍に拡大された正立虚像になる。

問題 14:ヤングの実験から波長を出す

間隔 の複スリットに光を当て、 先のスクリーンで干渉縞を観測しました。縞の間隔は です。光の波長を求めなさい。

解答 14

縞の間隔の式を波長について解く。

緑にあたる波長。単位をメートルにそろえてから代入するところが要点です。

問題 15:回折格子の角度と次数

あたり 本の回折格子に、波長 の光を垂直に当てます。 次の明線の角度と、観測できる最大の次数を求めなさい。

解答 15

まず格子定数を出す。

次の条件に代入する。

となる角は約 です。

次数の上限は から出る。

では 、つまり となり、光は格子に沿って進むので観測できません。実際に見えるのは 次まで。

問題 16:反射防止膜とニュートンリング

屈折率 の膜をガラスに塗り、波長 の光の反射を最小にします。膜の最小の厚さを求めなさい。

次に、波長 の光でニュートンリングを観測したところ、 番目の暗環の半径が でした。レンズの曲率半径を求めなさい。

解答 16

反射防止膜では、上面でも下面でも位相が ずれる。反転が 回なので差し引き で、弱め合いの条件は半波長の奇数倍。

ニュートンリングでは反転が片方だけなので、暗環の条件は になる。空気層の厚さを で置き換えると 。

同じ薄膜の問題でも、反転の回数で条件が入れ替わる。数え忘れると明暗が逆になります。

つまずきやすいところ

節の間隔を波長だと考える

定常波では節の間隔が 。波長はその 倍になる。

ドップラー効果の符号を先に決めない

音源から観測者へ向かう矢印を図に描き、速度をその向きに射影してから代入する。

反射板の問題を 1 段で計算する

反射板をまず観測者、次に音源として扱う。 段に分けないと合わない。

単位をそろえずに代入する

光の干渉では nm と mm と m が混ざる。すべてメートルに直してから式に入れる。

位相の反転を数えない

薄膜の問題は、反転が何回起きたかで明暗の条件が入れ替わる。

どの問題も、動いている量と止まっている量を先に分けておけば道筋が見えます。式を選ぶより前に、その仕分けを済ませておく。

参考文献

OpenStax University Physics: Traveling Waves
OpenStax University Physics: The Doppler Effect
OpenStax University Physics: Thin Lenses
OpenStax University Physics: Diffraction Gratings
Speed of sound - Wikipedia
Total internal reflection - Wikipedia
Newton's rings - Wikipedia
何が動いていて何が止まっているかを見分ければ、使う式が決まります。波の式の組み立てから定常波、気柱共鳴、うなり、ドップラー効果、屈折と全反射、レンズ、ヤングの実験、回折格子、薄膜干渉まで、解き方の手順と単位のそろえ方を添えた解答つきで並べます。