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複素数平面の対称移動|2026 東京科学大学 第 4 問

2026 年の東京科学大学(理工学系)第 4 問は、直線に関する対称移動を繰り返す問題です。配点 60 点。

問題

を虚数単位とする。実数 に対して複素数

で定める。正の整数 に対し、複素数平面上の点 と点 を通る直線を とする。複素数 に対し、直線 に関して点 と対称な位置にある点を表す複素数を とする。

複素数 と共役な複素数を とする。このとき

をみたす実数 , をそれぞれ を用いて表せ。

実数 , に対して、, で定められる複素数の列 の一般項を求めよ。

舞台は正六角形

と書きます。 乗すると なので、 から 乗根。単位円に内接する正六角形の頂点です。

を通る直線、つまりこの正六角形のにほかなりません。問題文の見た目は複雑ですが、置かれているものは六角形ひとつ。

増えるごとに、 は隣の辺へ移ります。 個で一巡するので 、したがって 。使う対称移動は 種類しかありません。

対称移動はいつも同じ形をしている

直線 が点 を通り、単位ベクトル の向きを持つとします。 に関する対称移動は、 段の操作に分解できる。

平行移動して を原点へ

を掛けて を実軸へ

共役をとって折り返す

を掛け、 で戻す

順に追うと となり、最後に を足して次の形になります。

の係数は 、つまり方向角の 。定数項は を入れた 、つまり原点の鏡像です。

をどこへ動かしても、鏡像は直線をはさんで向かい側にあります。原点も例外ではなく、灰色の点が 。この 点さえ分かれば、定数項は決まります。

原点の鏡像は垂線の足の 2 倍

を求めるのに展開は要りません。原点から に下ろした垂線の足を とすると、原点の鏡像はちょうど を通り越した先、つまり です。

対称移動は、直線の向き 垂線の足 つだけで決まる。ここが の勘どころです。

(1) の解答

は正六角形の辺 なので、垂線の足は辺の中点にあたります。

中心角 の弦なので、中心から中点までの距離は 。偏角は 頂点の偏角の平均です。

まとめると 。したがって

問題文にある の正体はこれでした。正六角形の中心から辺までの距離を 倍した値です。

黒い点が原点から出て、辺の中点 を通り、 で止まります。この折り返した先が 、つまり定数項です。

残るのは向き。 と直交するので、方向角は の偏角に を足したもの。

よって です。以上をまとめます。

, とも の整数倍の差は許されます。 と書いても同じ角。

(2) の入口は「2 つの鏡映は回転」

の式には共役が入っているので、そのままでは等差や等比の形になりません。 歩まとめて見ると共役が 回かかり、 が共役なしで結ばれます。

直線に関する対称移動を続けて行うと、交点を中心とする回転になります。回転角は 直線のなす角の 倍です。

は隣り合う辺なので、共有点は 。方向角の差は

なので、回転角はその 倍の になります。

回折り返した結果が、 を中心に 度回した位置と一致します。折り返しを 回重ねると裏返しが元に戻るので、向きを保つ変換、つまり回転になる。

回る座標系へ移す

回転の中心 とともに動きます。動く中心は扱いにくいので、いっしょに回る座標系へ移ります。

さきほどの式の両辺を で割ると、左辺は 、右辺は になります。移項して

括弧の中は で、絶対値 、偏角

公差が定数の等差数列です。 つ飛びなので、奇数番目と偶数番目が別々の等差数列になります。

左は の実際の動きで、跳ね回るように見えます。右は回る座標系へ移した 。青と黒がそれぞれ等間隔で 直線に並び、 本の平行線になります。等差数列であることが目で確かめられる。

初項をそろえる

奇数側の初項は 、偶数側の初項は です。

には が要ります。 を入れると なので

を使いました。

一般項

公差を とすると、 が奇数なら 、偶数なら です。

に戻します。 が奇数のとき

が偶数のとき

偏角はどれも の整数倍を足し引きしてよいので、見た目の違う答えが出ても同じものです。

点はどこへ行くか

一般項は、絶対値の変わらない回転の項と、 に比例して伸びる項の和になっています。後者が効くので、 は原点から離れていく。

離れ方は に比例で、 歩あたり ずつ。偏角 の向きへ、回る座標系の中で一定の速さで流れていきます。

打点を追うと、六角形のまわりを跳ねながら少しずつ外へ広がっていくのが見えます。単純な螺旋ではなく、偶奇で 系列に分かれた動き。

手が止まったら

は、垂線の足に目が行かなくても答えにたどり着けます。中点が 上にあること、 と直交すること。この 条件を連立すれば , が決まります。

の関係式を作るところまでで半分です。そこから先の置きかえが見えないときは、深追いせずに他の問題へ移る手もある。配点 点のうち、 を確実にとる価値のほうが大きくなります。

鏡映を 回重ねると回転になる。この 行を先に思い出せるかどうかで、 の見通しが変わりました。

直線に関する対称移動を繰り返す問題です。e(kπ/3) は 1 の 6 乗根なので、ℓn は単位円に内接する正六角形の辺。対称移動は方向ベクトルの 2 乗と原点の鏡像だけで決まり、その鏡像は垂線の足の 2 倍にあたります。問題文の √3 は中心から辺までの距離を 2 倍したもの。(2) は 2 つの対称移動が回転になることを使い、回る座標系へ移して等差数列に落としました。