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English

積の微分と商の微分〜長方形の面積から公式を作る

を微分するとき、 とはなりません。片方だけを微分した項を つ作り、それを足します[1]

なぜ足し算が つ並ぶのか。長方形の面積で見ると、その理由がそのまま図になります。

が少し動くと、 辺がそれぞれ だけ伸びます。増えた面積は、横長の帯と縦長の帯、そして隅の小さな長方形の [1]

隅の項だけが消える

つのうち、隅の だけは小ささの桁が違います。 を半分にすると帯は半分になりますが、隅は 分の になる。

割合の数字を見ると、 が小さいほど隅の存在感が薄れていきます。 で割ってから極限をとると、隅の項だけがきれいに消える。

定義から導く

面積の話を、そのまま式にします。 とおいて差の商を作る。

分子に を足して引きます。値は変わらないのに、 つの差の商が現れる形に組み替えられる[1]

のとき です。残るのが で、公式が出ました。

例: を微分する

と見ます。

共通因数の でくくると になります。増減を調べるときは、この形のほうが符号を読みやすい。

例: を微分する

指数関数と対数関数の積です。どちらの微分も形が決まっているので、代入するだけ[2]

が両方の項に現れるため、くくり出しが自然に効きます。定義域は のまま変わりません。

例:係数のある積を微分する

のように定数が付いても、扱いは同じです[3]。定数は微分の外へ出せます。

を先に外へ出し、 だけを積の公式で処理しても同じ結果。手順の順番は自由です。

3 つ以上の積

積が つ並んでも、考え方は変わりません。 つだけ微分して残りはそのまま、という項を全部作って足します。

つなら項は つ。 個の積なら 項になり、どの項も微分されているのは つだけ。

の導関数はどれか。

__RESULT__

のそれぞれを 1 つずつ微分し、残り 2 つはそのままにして足します。 を当てはめると 3 項が出そろう。

商の微分法

分数の形は、分子の微分が先に立つ引き算になります。

積の公式との違いは つ。符号が引き算になる点と、分母が 乗になる点です。

順番を入れ替えると符号が反対になります。分子の微分から書き始める、と決めておくと崩れにくい。

商の公式を積から作る

覚える公式を増やしたくないなら、積の公式から導けます。 と見るところが出発点。

の微分は合成関数の公式から です。これを積の公式に入れます。

積と合成の つを知っていれば、商は自動的に出てくる。独立した つ目の公式ではありません。

例: を微分する

とおきます。

分子を展開したままにせず、そのまま残すほうが扱いやすい。 での様子を調べるときも、この形から出発します。

例: を微分する

分母が 次式でも手順は変わりません。分子の微分から書きます。

分子が完全平方になりました。 から、この関数は増え続けると分かる。

因数分解できないか確かめる習慣があると、こうした情報を拾えます。展開したままでは符号が見えません。

例: を微分する

分母に係数と 乗が入った形です[3]

分子と分母から を約分しました。約分を最後に回すと、次数の大きい分数のまま計算を続けることになります。

分子が 1 の形

とした場合は、よく使うので形で覚えておくと速い。

なら なら です。

積の微分

で、符号は足し算。項が 2 つ並ぶだけ

商の微分

で、符号は引き算。分母が 2 乗になる

積と商が混ざる形

実際の問題では、積と商が組み合わさった関数が出てきます。 を例にとります。

分子 の微分は です。これを商の公式へ入れます。

分子から をくくり出すと見通しがよくなる。

段階を分けて処理すれば、見た目の複雑さに関係なく機械的に進みます。

の導関数はどれか。

__RESULT__

とおくと です。 となります。

よくある誤り

としてしまう形がいちばん多い。面積の図でいえば、帯を 本も数えていない状態です。
商の分子で と順番を逆にすると、符号がまるごと反対になります。
分母を 乗し忘れると次数が合いません。 まで書ききる。
分子が定数のとき商の公式を持ち出すと遠回りです。 と見るほうが速い。
約分を最後まで残すと、増減表で符号を読むときに手間が増えます。

積の公式は面積、商の公式は積と合成の組み合わせ。どちらも成り立ちを一度たどっておくと、記憶があいまいになっても自力で戻せます。

参考文献

Produktregel - Wikipedia(ドイツ語)
Dérivées usuelles - Wikipédia(フランス語)
Derivatives of Trigonometric Functions - Calculus Volume 1, OpenStax
$\{fg\}' = f'g + fg'$ の 2 項がどこから来るのかは、辺が $f$ と $g$ の長方形を伸ばしてみると見えます。増えた面積は帯 2 本と隅 1 つで、隅だけが $\Delta x$ の 2 乗の速さで消える。商の公式は $f \cdot g^{-1}$ と見て積と合成から導けるので、覚える式は増えません。$x^2 \sin x$ から $x^2 e^x / \sin x$ まで、段階を分けた計算例を並べました。