∫011−x2dx は 4π です。半径 1 の四分円の面積そのもの。
根号のままでは原始関数が書けませんが、x=sinθ と置くと根号が外れます。
1−x2=1−sin2θ=cos2θ
cos2θ は ∣cosθ∣ で、まだ絶対値が残っている。ここをどう外すかが、この置換のいちばん大事なところです。
θ の範囲を先に決める
x が −1 から 1 まで動くとき、x=sinθ を満たす θ はいくらでもあります。θ と θ+2π のどちらでも sin の値は同じ。
そこで −2π≤θ≤2π に限ります。この範囲なら sinθ が −1 から 1 まで 1 対 1 で動き、しかも cosθ≥0。
1−x2=∣cosθ∣=cosθ
絶対値が外れました。範囲を決めずに置きかえると、cosθ が負になる区間で符号を落とすことになります。
dx からもう 1 つ cos が現れる
x=sinθ の両辺を θ で微分すると dθdx=cosθ です。
dx=cosθdθ
根号の側の cosθ と dx の側の cosθ がかかり合い、cos2θ になります。
∫1−x2dx ⟶ ∫cos2θdθ
cos2θ は 21+cos2θ と書き直して積分できる形。根号が消えたうえに、2 乗も 1 次に落ちます。
例 1:∫011−x2dx
区間も θ に書きかえます。x=0 のとき θ=0、x=1 のとき θ=2π。
∫011−x2dx=∫0π/2cos2θdθ=∫0π/221+cos2θdθ=[2θ+4sin2θ]0π/2=4π
半径 1 の円の面積 π の 4 分の 1。図で分かる値と一致しました。
θ を x の式に戻す関数は、高校では使いません。だからこの型は定積分の形で扱い、区間ごと θ に移して計算します。
例 2:上端が 1 でないとき
∫01/21−x2dx
x=21 のとき sinθ=21 で、範囲の中の θ は 6π です。
∫01/21−x2dx=∫0π/6cos2θdθ=[2θ+4sin2θ]0π/6=12π+83
sin3π=23 を使いました。値は約 0.478 です。
扇形と三角形に分かれる
例 2 の答えは、2 つの項がそれぞれ図形の面積になっています。
12π は中心角 6π の扇形の面積 21r2θ=21×6π。
83 は、底辺 21、高さ 23 の直角三角形の面積 21×21×23。
一般の上端 b でも同じ分かれ方をします。sinθ=ab とすると次のとおり。
∫0ba2−x2dx=2ba2−b2+2a2θ
前が直角三角形、後ろが扇形。計算した値をこの 2 つの面積の和と見比べれば、確かめになります。
例 3:半径が 1 でないとき
∫0aa2−x2dx
x=asinθ と置きます。dx=acosθdθ、根号は acosθ。
∫0aa2−x2dx=∫0π/2a2cos2θdθ=a2×4π=4πa2
a が 2 か所から現れて a2 になりました。半径 a の四分円の面積と合っています。
例 4:x21−x2
∫01x21−x2dx
x=sinθ と置くと、x2 が sin2θ になります。
∫0π/2sin2θcos2θdθ
sinθcosθ=21sin2θ だから、2 乗すると 41sin22θ。
∫0π/241sin22θdθ=41∫0π/221−cos4θdθ=81[θ−4sin4θ]0π/2=16π
例 5:根号が分母にある形
∫011−x2x2dx
分母の根号が cosθ になり、dx の側の cosθ と約分されます。
∫011−x2x2dx=∫0π/2cosθsin2θcosθdθ=∫0π/2sin2θdθ=4π
上端で分母が 0 になりますが、置きかえた式には分母が残っていません。θ の側では 2π をふつうに代入できます。
例 6:平方完成してから当てる
∫022x−x2dx
根号の中を平方完成します。2x−x2=−(x2−2x)=1−(x−1)2。
u=x−1 と置くと du=dx で、区間は −1 から 1 になります。
∫−111−u2du=2π
半径 1 の半円の面積。もとの式は円 (x−1)2+y2=1 の上半分を表していました。
例 7:楕円の面積
楕円 a2x2+b2y2=1 の上半分は y=aba2−x2 です。
S=2∫−aaaba2−x2dx=a2b×2πa2=πab
∫−aaa2−x2dx が半円の面積 2πa2 にあたることを使いました。
a=b=r とすれば πr2。円の面積に戻ります。
三角置換を当てないほうが早い形
根号があれば必ず三角関数、ではありません。
∫01x1−x2dx
根号の外に x が 1 つあるので、t=1−x2 と置けば dt=−2xdx で片づきます。
∫01x1−x2dx=21∫01tdt=31
根号の外に x がある
t=1−x2 と置く。xdx が dt に吸われ、答えは根号のべきになる
根号の外が x の偶数乗か定数
x=sinθ と置く。cos2θ が現れ、答えに π が入る
答えに π が現れるかどうかが目印になります。π がつくのは、扇形の面積を測っている形のとき。
∫034−x2dx で x=2sinθ と置くと、上端の θ はどれですか。
__RESULT__
2sinθ=3 から sinθ=23 で、−2π≤θ≤2π の中では 3π です。6π は sinθ=21 のときで、3 を 1 と読んだ形になります。
x=sinθ と置いたとき、1−x2 を cosθ と書ける理由はどれですか。
- sin2θ+cos2θ=1 が成り立つから
- θ の範囲を −2π から 2π にとると cosθ≥0 になるから
- cosθ がつねに正だから
__RESULT__
相互関係から分かるのは cos2θ=∣cosθ∣ までです。絶対値を外すには cosθ の符号がいり、θ の範囲を先に決めることでそれが決まります。cosθ は θ 全体では負にもなる。
根号の中が a2−x2 なら x=asinθ、範囲は −2π から 2π まで。根号と dx から cos が 1 つずつ現れ、cos2θ の積分に変わります。
$\displaystyle\int_0^1\sqrt{1-x^2}\,dx$ は半径 $1$ の四分円の面積で、値は $\dfrac{\pi}{4}$。$x = \sin\theta$ と置くと $\sqrt{1-\sin^2\theta} = |\cos\theta|$ になりますが、絶対値はまだ外れません。$\theta$ を $-\dfrac{\pi}{2}$ から $\dfrac{\pi}{2}$ にとって $\cos\theta \ge 0$ を決めるところが先です。$dx$ からもう 1 つ $\cos\theta$ が現れ、$\cos^2\theta$ の積分に変わる。答えの 2 項が三角形と扇形の面積に対応するため、計算した値はその場で確かめられます。$x^2\sqrt{1-x^2}$、根号が分母にある形、平方完成してから当てる形、楕円の面積 $\pi ab$ まで。
2sinθ=3 から sinθ=23 で、−2π≤θ≤2π の中では 3π です。6π は sinθ=21 のときで、3 を 1 と読んだ形になります。