三角関数による置換積分:ルートを含む積分の処理
被積分関数にルート や のような無理式が含まれる場合、そのまま計算するのは難しい。こうしたとき、三角関数を使った置換積分が強力な武器になる。三角関数の恒等式を利用してルートを消去し、扱いやすい形に変換するのがこの手法の核心だ。
型の置換
を含む積分では と置換する。このとき となり、ルート部分は次のように変形できる。
恒等式 を利用して、ルートが三角関数の単純な式に化ける。
を含む複雑な無理関数
に変換され、三角関数の積分に帰着
具体例として を計算してみよう。 と置くと だから、
となる。 の積分には半角公式 を使えばよい。
最後に で元の変数に戻すと、
が得られる。この結果は単位円の面積計算にも直結しており、 から まで定積分すると 、つまり単位円の面積 の 4 分の 1 に一致する。
型の置換
を含む場合は と置換する。 で、ルート部分は
と変形できる。恒等式 がここで効いている。
例として を計算する。 と置くと、
元に戻すと 、 だから、
となる。
型の置換
(ただし )を含む場合は と置く。 で、
と変形される。恒等式 を使っている。
と置換。 を利用してルートを消去する。円に関連した積分で登場する。
と置換。 を利用する。双曲線に関連した積分で登場する。
と置換。 を利用する。 の範囲で有効。
定積分への適用と積分区間の変換
定積分で三角関数置換を使うときは、積分区間も に変換する必要がある。元の変数に戻す手間が省けるため、定積分ではむしろ計算が楽になることが多い。
を求めてみよう。 と置くと、 のとき 、 のとき だから、
これは半径 1 の四分円の面積にほかならない。三角関数置換は幾何的な意味とも深く結びついている。
置換を選ぶ判断基準
どの置換を使うかは、ルートの中身の符号パターンで機械的に決まる。
| ルートの形 | 置換 | 使う恒等式 |
|---|---|---|
迷ったときはこの表を参照すれば、ルートの中身を見るだけで正しい置換が選べる。三角関数置換は一見トリッキーに見えるが、パターンを覚えてしまえば確実に適用できる強力なテクニックだ。