半径 r の円を 1 回転ぶん転がすとき、円周上の点が描くサイクロイド 1 山の長さは 8r です。円の直径 2r のちょうど 4 倍。
この値は 1658 年に示されました[2]。曲線を伸ばして直線にすることはできませんが、長さは積分で測れます。
L=∫ab1+(dxdy)2dx
折れ線で近づける
曲線上に点をいくつかとり、となり合う点を線分で結びます。折れ線の長さは、各線分の長さの和。
線分 1 本の長さは、横に Δx、縦に Δy 進んだ直角三角形の斜辺です。三平方の定理から (Δx)2+(Δy)2。
(Δx)2+(Δy)2=1+(ΔxΔy)2Δx
Δx でくくり出しました。Δx を小さくすると ΔxΔy は dxdy に近づき、和は積分に変わります。
点を増やすほど折れ線は曲線に沿い、長さは決まった値に近づいていく。その値を曲線の長さと呼びます。
媒介変数のときの式
x=f(t)、y=g(t) と書かれている場合は、Δx と Δy を両方とも t で測ります。
dx=f′(t)dt、dy=g′(t)dt を入れると、dx2+dy2 から dt がくくり出せる。
L=∫αβ{f′(t)}2+{g′(t)}2dt
y=f(x) の式のほうも、x 自身を媒介変数と見たものになっています。dxdx=1 だから、根号の中の 1 つ目が 1 になる。
y=f(x) の形
1+(y′)2 を x で積分する。縦の変化だけを y′ で測る
媒介変数の形
(x′)2+(y′)2 を t で積分する。縦も横も t で測る
例 1:直線で確かめる
y=mx の 0≤x≤a の部分。y′=m で、根号の中は定数です。
L=∫0a1+m2dx=a1+m2
横に a、縦に ma 進んだ線分の長さ a2+(ma)2=a1+m2 と一致しました。
もとが三平方の定理だから、直線に当てると三平方の定理そのものに戻ります。
例 2:円の周
x=rcost、y=rsint を 0≤t≤2π で動かします。
x′=−rsint、y′=rcost だから、2 乗の和は r2(sin2t+cos2t)=r2。
L=∫02πrdt=2πr
根号の中が定数になり、積分は r に区間の幅をかけるだけになりました。
例 3:サイクロイド
x=r(t−sint),y=r(1−cost)(0≤t≤2π)
x′=r(1−cost)、y′=rsint です。2 乗の和を展開します。
(x′)2+(y′)2=r2(1−2cost+cos2t)+r2sin2t=r2(2−2cost)
ここで 1−cost=2sin22t を当てると、根号の中が完全な 2 乗になる。
(x′)2+(y′)2=4r2sin22t=2rsin2t
0≤t≤2π では 0≤2t≤π で sin2t≥0。絶対値が外れます[1]。
L=∫02π2rsin2tdt=2r[−2cos2t]02π=2r(2+2)=8r
横に進む距離は 2πr で、転がる円の円周と同じ。曲線に沿うと 8r で、差の 1.72r ほどが上下に動いたぶんです。
例 4:y=32x3/2
y′=x1/2 だから、根号の中は 1+x です。
L=∫031+xdx=[32(1+x)3/2]03=32(8−1)=314
この関数は、1+(y′)2 がきれいな形になるように作られています。
例 5:y=2ex+e−x
y′=2ex−e−x です。2 乗して 1 を足します。
1+(y′)2=1+4e2x−2+e−2x=4e2x+2+e−2x=(2ex+e−x)2
−2 が +2 に変わり、完全な 2 乗になりました。根号の中がもとの y の 2 乗です。
L=∫012ex+e−xdx=[2ex−e−x]01=2e−e−1
値は約 1.175。この曲線は、糸の両端を持ってぶら下げたときの形にあたります。
例 6:y=4x2−2logx
y′=2x−2x1 です。2 乗すると真ん中の項が −21 になります。
1+(y′)2=1+4x2−21+4x21=(2x+2x1)2
−21 に 1 を足して +21 になり、符号が反転しました。
L=∫1e(2x+2x1)dx=[4x2+2logx]1e=4e2+1
y′ が 2A−2A1 の形をしていると、1 を足したときに 2A+2A1 の 2 乗になります。
例 7:アステロイド
x=acos3t,y=asin3t
x′=−3acos2tsint、y′=3asin2tcost です。
(x′)2+(y′)2=9a2cos2tsin2t(cos2t+sin2t)=9a2sin2tcos2t
根号を外すと 3a∣sintcost∣。1 周ぶんでは絶対値が外せないため、第 1 象限の 0≤t≤2π を計算して 4 倍します。
L=4∫0π/23asintcostdt=12a∫0π/22sin2tdt=6a[−2cos2t]0π/2=6a
根号が外れる形ばかりが並ぶ理由
これまでの例では、1+(y′)2 や (x′)2+(y′)2 が必ず完全な 2 乗になりました。偶然ではありません。
根号の中が 2 乗にならないと、そこから先が進まないためです。試しに楕円の周を書いてみます。x=acost、y=bsint とする。
(x′)2+(y′)2=a2sin2t+b2cos2t
a=b だとまとまりません。この積分は楕円積分と呼ばれ[3]、高校で扱う関数の組み合わせでは書けない形になります。
面積のほうは πab ときれいに求まるのに、周の長さは書けない。楕円ではこの 2 つが分かれます。
y=f(x) の曲線の長さの式で、根号の中が 1+(y′)2 になる理由はどれですか。
- 横に Δx、縦に Δy 進んだ線分の長さを Δx でくくり出したから
- y′ が接線の傾きだから
- sin2+cos2=1 を使ったから
__RESULT__
(Δx)2+(Δy)2 を Δx でくくると 1+(Δy/Δx)2Δx になります。1 は横方向のぶん、(y′)2 は縦方向のぶんにあたる。もとは三平方の定理です。
x=t2、y=32t3 の 0≤t≤1 の部分の長さはどれですか。
__RESULT__
x′=2t、y′=2t2 から (x′)2+(y′)2=4t2(1+t2) で、根号を外すと 2t1+t2 です。u=1+t2 と置くと ∫12udu=32(22−1) になります。
小さな線分の長さを足し上げた式です。y=f(x) なら根号の中が 1+(y′)2、媒介変数なら (x′)2+(y′)2。あとは根号が外れる形に整えます。
出典
*Longueur d'un arc de courbe*. Toutes les mathématiques (TLM1), complément. Cycloid. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews. Ellipse. Wolfram MathWorld.
円を 1 回転ぶん転がすとき、円周上の点が描くサイクロイド 1 山の長さは $8r$。直径 $2r$ のちょうど 4 倍です。曲線に点をとって線分でつなぎ、三平方の定理で $\sqrt{(\Delta x)^2+(\Delta y)^2}$ を作って $\Delta x$ でくくり出すと $\sqrt{1+(y')^2}$ が現れる。媒介変数なら $\sqrt{(x')^2+(y')^2}$ になります。直線に当てれば三平方の定理に戻り、円に当てれば $2\pi r$。$\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}$ や $\dfrac{x^2}{4}-\dfrac{\log x}{2}$ で根号の中が完全な 2 乗になる仕組み、アステロイドの $6a$、楕円の周だけは書けない理由まで。
(Δx)2+(Δy)2 を Δx でくくると 1+(Δy/Δx)2Δx になります。1 は横方向のぶん、(y′)2 は縦方向のぶんにあたる。もとは三平方の定理です。