∫x2+12xdx の分母に t という名前をつけます。t=x2+1 なら dt=2xdx で、分子がまるごと dt に変わる。
∫x2+12xdx=∫tdt=log∣t∣+C=log(x2+1)+C
x2+1 はつねに正だから、絶対値は外して書けます。
分子が分母の微分になっていない形でも、分母に名前をつける手は使えます。そのとき分子のほうを t で書き直すことになる。
分母を t と置く
t=(分母) と置いたら、式に残った x をすべて t で表します。残せるのは t と dt だけ。
分子が dt にちょうど吸われる形なら ∫tdt になり、答えは log∣t∣ です。
吸われずに x が残る場合は、t の式に直してから積分します。分母を 1 次式や 2 次式にすると、この書き直しがそのままできる。
例 1:定数倍だけずれている
∫x2+3xdx
t=x2+3 とすると dt=2xdx で、分子の xdx は 21dt にあたります。
∫x2+3xdx=21∫tdt=21log∣t∣+C=21log(x2+3)+C
ずれが定数倍だけなら、前に出して調整できます。
例 2:分子の次数のほうが高い
∫x2+1x3dx
t=x2+1 と置きます。dt=2xdx です。x3dx を x2⋅xdx と割り、x2=t−1 と読みかえる。
∫x2+1x3dx=21∫tt−1dt=21∫(1−t1)dt=21(t−log∣t∣)+C
t=x2+1 に戻します。定数の 21 は積分定数に吸わせてよい。
∫x2+1x3dx=2x2−21log(x2+1)+C
微分すると x−x2+1x=x2+1x3+x−x となり、もとの式に戻りました。
1 次式を t と置く
分母が (x+a)n の形なら、t=x+a と置くと分子も t の多項式になります。x=t−a を代入するだけ。
割り算で帯分数に直す道もありますが、分母が 3 乗や 5 乗のときは置換のほうが行数が短い。
例 3:(x+1)3x
t=x+1 と置きます。x=t−1、dx=dt。
∫(x+1)3xdx=∫t3t−1dt=∫(t−2−t−3)dt=−t1+2t21+C
t=x+1 に戻して、次のとおり。
∫(x+1)3xdx=−x+11+2(x+1)21+C
分子の x を t−1 に直したことで、t の負べきの和になりました。
例 4:(x+1)5x2
同じ置き方です。x2=(t−1)2=t2−2t+1。
∫(x+1)5x2dx=∫t5t2−2t+1dt=∫(t−3−2t−4+t−5)dt=−2t21+3t32−4t41+C
t=x+1 に戻せば答えです。分子を展開する手間だけで、あとはべきの積分が並ぶ。
根号を t と置く
分母に根号があるときは、根号のほうに名前をつけます。t= ⋅ とし、両辺を 2 乗して x を t で表す。
根号が消えて、t の分数式になります。
例 5:x+11
t=x と置きます。x=t2、dx=2tdt、t≥0。
∫x+1dx=∫t+12tdt=2∫(1−t+11)dt=2t−2log∣t+1∣+C
t≥0 だから t+1>0 で、絶対値は外れます。
∫x+1dx=2x−2log(x+1)+C
t+12t を 2−t+12 と割ったところが計算の山です。分子の次数が分母と同じなら、まず割る。
例 6:xx+11
t=x+1 と置きます。t2=x+1 から x=t2−1、dx=2tdt。
∫xx+1dx=∫(t2−1)t2tdt=∫t2−12dt
分母の t と dx から現れた t が約分されました。t2−1=(t−1)(t+1) だから、2 つの分数の差に割れる。
t2−12=t−11−t+11
右辺を通分すると (t−1)(t+1)(t+1)−(t−1)=t2−12 になり、もとに戻ります。
∫t2−12dt=log∣t−1∣−log∣t+1∣+C=logt+1t−1+C
t=x+1 に戻して、次の形になります。
∫xx+1dx=logx+1+1x+1−1+C
分母が消える点をまたがない
例 6 の式は x=0 で分母が 0 になります。x=−1 では根号の中も 0。
つまり x>0 の側と −1<x<0 の側で、別々の原始関数になっています。x=−3 から x=3 までの定積分は書けません。
log の中に絶対値がついているのは、この 2 つの側をまとめて 1 本の式で書くためです。区間をまたいでよいという意味ではない。
微分して確かめる
置換の答えは、微分すればその場で確かめられます。例 3 の答えを微分してみます。
(−x+11+2(x+1)21)′=(x+1)21−(x+1)31
通分すると (x+1)3(x+1)−1=(x+1)3x で、もとの式に戻りました。
t に戻し忘れた答えや、dx を dt に換算し忘れた答えは、この 1 行で落ちます。
∫x2−4xdx はどれですか。
- 21log∣x2−4∣+C
- log∣x2−4∣+C
- 21log∣x−2∣+C
__RESULT__
t=x2−4 とすると dt=2xdx で、分子の xdx は 21dt にあたります。log∣x2−4∣ は 21 を落とした形で、微分すると x2−42x になります。
∫xx+1dx で t=x+1 と置くと、x はどれに変わりますか。
__RESULT__
t2=x+1 の両辺から 1 を引いて x=t2−1 です。t2+1 は符号をまちがえた形で、代入すると分母が (t2+1)t になり約分してもきれいになりません。
分母に名前をつけ、残った x を t の式に直す。分子が dt に吸われれば log が現れ、吸われなければ t の多項式や負べきの和になります。
$\displaystyle\int\dfrac{2x}{x^2+1}\,dx$ は分母に $t$ という名前をつけるだけで $\displaystyle\int\dfrac{dt}{t}$ に変わり、答えは $\log(x^2+1)$。分子が $dt$ に吸われない形でも同じ手が通ります。残った $x$ を $t$ の式に直せばよく、$\dfrac{x^3}{x^2+1}$ なら $x^2 = t-1$、$\dfrac{x}{(x+1)^3}$ なら $x = t-1$ と書きかえる。分母に根号があるときは根号のほうを $t$ と置きます。$\dfrac{1}{x\sqrt{x+1}}$ が $\dfrac{2}{t^2-1}$ に変わって差の形に割れるところ、$\log$ の絶対値は区間をまたいでよいという意味ではないところまで。
t=x2−4 とすると dt=2xdx で、分子の xdx は 21dt にあたります。log∣x2−4∣ は 21 を落とした形で、微分すると x2−42x になります。