連立一次不等式の解き方

連立一次不等式は、複数の不等式を同時に満たす の範囲を求める問題です。方程式の連立と違って「解が範囲で出る」のが特徴で、数直線を使った視覚的な処理がカギになります。

連立一次不等式とは

2 つ以上の一次不等式を同時に満たす解を求めることを、連立一次不等式を解くといいます。たとえば次のような問題です。

連立方程式では解が 1 つの値に定まりますが、連立不等式では解が範囲として得られます。それぞれの不等式の解を求めたあと、両方を同時に満たす部分(共通部分)を取り出すのが基本的な流れです。

解き方の手順

連立一次不等式を解く手順はシンプルで、次の 3 ステップにまとめられます。

各不等式を個別に解く

数直線上にそれぞれの解を図示する

共通部分を読み取る

重要なのは 2 番目のステップです。頭の中だけで共通部分を考えると間違えやすいので、数直線を書く習慣をつけておくと確実に解けるようになります。

基本例題

を解いてください。

まず、各不等式を個別に解きます。

1 つ目の不等式 は、両辺に 1 を足して 、両辺を 2 で割って です。

2 つ目の不等式 は、両辺から 4 を引いて です。

数直線上で考えると、 は 2 より右側の範囲、 は 6 以下の範囲を表しています。この 2 つが重なっている部分が答えですから、 が解になります。

1 つ目の解

(2 は含まない)

2 つ目の解

(6 を含む)

共通部分を取ると です。等号の有無に注意しましょう。1 つ目が (等号なし)なので、2 は含みません。2 つ目が (等号あり)なので、6 は含みます。

解なしになるケース

連立不等式では、共通部分が存在しない場合があります。この場合は「解なし」となります。

を解いてください。

1 つ目: より 、つまり です。

2 つ目: より です。

を数直線に図示すると、2 つの範囲はまったく重なりません。4 より大きく、同時に 2 より小さい数は存在しないからです。したがって、この連立不等式の解はありません。

の解はどれですか?

  • 解なし
__RESULT__

1 つ目は 、2 つ目は です。共通部分は、より条件が厳しい になります。

上のクイズのように、2 つの不等式の向きが同じ場合は、より狭い方(条件が厳しい方)がそのまま解になります。

3 つ以上の不等式

不等式が 3 つ以上ある場合も、やることは同じです。すべての不等式を個別に解いてから、全体の共通部分を求めます。

を解いてください。

それぞれ解くと次のようになります。

1 つ目:

2 つ目:

より

3 つ目:

1 つ目と 3 つ目は同じ という結果になりました。3 つすべての共通部分を取ると が解です。このように、不等式の数が増えても 1 つずつ解いて共通部分を取る手順は変わりません。

A < B < C 型の不等式

のような形は、実は連立不等式を 1 つにまとめた表記です。

この形の場合、各辺に同じ操作をまとめて行えるので効率的に解けます。

全体から 3 を引くと 、全体を 2 で割ると です。連立に分解せずそのまま処理できるのがこの形のメリットですが、注意点が 1 つあります。各辺に負の数を掛けたり割ったりすると、不等号の向きがすべて逆転します。

たとえば の各辺を で割ると、不等号の向きが逆になり となります。向きを逆にし忘れるのは非常によくあるミスです。

負の数での割り算・掛け算は不等号の向きが反転する、という一次不等式の基本ルール。

の解はどれですか?

__RESULT__

各辺から 5 を引いて 、各辺を 4 で割って です。

連立不等式でよくある間違い

共通部分と和集合の取り違え

連立不等式は「かつ」なので共通部分(AND)を取ります。「または」(OR)で結んでしまうと解が広がりすぎてしまいます。

等号の処理を忘れる

の違いを最後まで区別することが大切です。途中で等号の有無を見落とすと、境界の値を含むかどうかで間違えます。

特に最初の間違いは多く見られます。 を「または」で結ぶとすべての実数が解になってしまいますが、「かつ」で結べば という正しい範囲が得られます。連立は常に「すべてを同時に満たす」範囲を求めているのだと意識しましょう。

まとめ

連立一次不等式は、各不等式を個別に解いてから共通部分を取るという手順で解けます。数直線に図示すれば共通部分が視覚的にわかるので、慣れないうちは必ず図を描くようにしましょう。 型は連立不等式の省略表記であり、各辺にまとめて同じ操作を施すことで効率よく処理できます。解なしになるケースも含めて、共通部分を正しく読み取る力がこの単元の核心です。