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求まらない量を求まる量ではさむ……はさみうちの原理と追い出しの原理

の値は で 、 で 、 で と、符号を変えながら に潰れていく。

自体は が整数のとき規則を持たず、 は存在しない。分子の極限が求まらないので、四則の公式は当てられない。

そこで大きさだけを押さえる。 はつねに成り立つので、 で各辺を で割る。

両端はどちらも に向かう。あいだに挟まれた にも 以外の逃げ場がない。

はさみうちの原理

3 つの数列 、、 について、 が成り立つとする[2][3]。

外側の 2 つが同じ値へ向かうなら、内側もその値へ向かうしかない。ドイツ語ではサンドイッチの定理とも呼ばれる[3]。

不等式は最初の項から成り立つ必要はない。ある番号 より先で成り立てば十分である[3]。極限は先のほうしか見ないためである。

関数の極限でも同じ

のとき で、 と の極限が同じ なら、 の極限も になる[1][4]。

離散か連続かの違いだけで、中身は変わらない。証明も同じ形で書ける。

代表例が である[4]。 の中身が暴れても、 と のあいだには収まる。

両端とも で なので、あいだも である。

例:有界なものを減衰で割る

を求める。 から次が出る。

両端が に向かうので、極限は である。

も同じ形になる。 なので、 で挟めばよい。

分子が有界で分母が発散する。この形はすべて に潰れる。

例:階乗を累乗で割る

を求める。分子は 、分母は を 個掛けたもの。

因子ごとに分けて書く。

2 個目から先はすべて 以下なので、全体は先頭の 以下になる。

したがって極限は である。 で 、 で 。

例: 乗根をとる

を求める。()と置き、両辺を 乗する。

二項定理で開いたうち、第 3 項だけを残して下から押さえる。

両辺を で割って整理すると になる。

右辺が に向かうので 、つまり である。 で 、 で 。

例:和の 乗根

を求める。中身は より大きく、 より小さい。

なので右端は に向かう。左端は定数の 。よって極限は である。

同じ手で は大きいほうの値に向かうと分かる。項が何個あっても最大のものが残る。

例:和の全体を挟む

を求める。項の個数が 個で、 とともに増える。

項ごとに極限をとる手は使えない。 が 個ぶん集まった形で、和が になる保証がないためである。

いちばん大きい項と小さい項で全体を挟む。どの項も 以上、 以下である。

左端は 、右端も に向かう。よって和の極限は である。

例:ガウス記号を挟む

を求める。 は超えない最大の整数を表す。

定義から が成り立つ。各辺を で割る。

両端とも に向かうので、極限は である。切り捨てた誤差は高々 なので、 で割れば消える。

はさみうちが効くのは、誤差の大きさに上限が言えるときである。

値そのものが分からなくても、 の範囲に収まると言えれば十分になる。

追い出しの原理

下から押さえるだけで発散が言える場合もある。 で なら、 である。

調和級数の発散がその例になる。部分和を 、、 と束にすると、どの束も 以上。

束を 個集めれば 以上になるので、部分和はいくらでも大きくなる。上から押さえる必要はない。

はさみうち

上と下の両方が要る。行き先が有限の値のとき

追い出し

下だけ、または上だけでよい。行き先が無限大のとき

不等式をどう作るか

はさみうちで難しいのは最初の一手である。どの不等式を持ってくるかは、式の形ごとに違う。

三角関数は 、 で押さえる。
階乗は因子を分け、 以下の部分をまとめて捨てる。
累乗根は二項定理で下から押さえる。
項が増える和は、最大の項と最小の項の個数倍で挟む。
整数部分は を使う。

共通しているのは、正確な値を求めずに大きさの範囲だけを言う点である。求まらない量を、求まる量ではさむ。

はいくつか。

  • 振動して発散する
__RESULT__

絶対値をとると である。 で挟めるので極限は になる。符号が交互に変わっても、幅が へ絞られるので収束する。

和の形も確かめる。

はいくつか。

__RESULT__

どの項も 以上 以下である。 倍して挟むと と になり、どちらも に向かう。項が に向かっても、個数が増えるので和は にならない。

値が求まらない量でも、上下から押さえられれば行き先は決まる。押さえる式をどこから持ってくるかが、そのまま問題の難しさになっている。

参考

*The Limit Laws*. Calculus Volume 1, OpenStax.
*Sequences*. Calculus Volume 2, OpenStax.
Einschnürungssatz. Lexikon der Mathematik, Spektrum.
Squeeze Theorem. Wolfram MathWorld.
$\sin n$ には規則がなく、$\lim_{n \to \infty} \sin n$ は存在しません。それでも $-\frac{1}{n} \leq \frac{\sin n}{n} \leq \frac{1}{n}$ と挟めば行き先が $0$ に決まります。不等式は最初の項から成り立つ必要がなく、ある番号から先で足りる。$\frac{n!}{n^{n}}$、$\sqrt[n]{n}$、$\sqrt[n]{2^{n}+3^{n}}$、$x^{2}\sin\frac{1}{x}$、項の個数が増える和、ガウス記号の $\frac{[nx]}{n}$ まで 8 通り並べ、下からだけ押さえる追い出しの原理と、押さえる不等式の作り方 5 種も添えました。