数列の極限 - 等比数列 r^n の収束条件と発散
数列 において、 を限りなく大きくしたとき、 がある一定の値 に限りなく近づくなら、この数列は に収束するといいます。記号では次のように書きます。
逆に、 をどれだけ大きくしても一定の値に近づかない場合、数列は発散するといいます。正の無限大に向かって際限なく大きくなる場合は 、負の方向なら と表します。どちらでもなく値が定まらない場合(振動など)は、単に「発散する」とだけ述べます。
等比数列 の極限
等比数列の極限は、公比 の値によって振る舞いが完全に決まります。数列 について、 の範囲ごとに結果を整理すると次のようになります。
| 公比 の範囲 | 挙動 | |
|---|---|---|
| 正の無限大に発散 | ||
| 収束(定数列) | ||
| に収束 | ||
| なし | 振動して発散 |
この 4 つの場合分けが等比数列の極限のすべてです。それぞれ具体的な数値で確認していきます。
の場合:正の無限大に発散
のとき、 の値は と急激に増大していきます。
であれば、 を掛けるたびに値が前より大きくなるため、 を増やすほど はいくらでも大きくなります。 のようにわずかに を超える場合でも、 が十分大きければ は限りなく大きくなります。
の場合:定数列
のとき、 です。 がいくつであっても値は常に で変わりません。すべての項が同じ値をとる定数列であり、当然ながら に収束します。
の場合: に収束
この範囲が最も重要です。 のとき、 を掛けるたびに絶対値が小さくなっていくため、 は に近づいていきます。
のとき、値の推移は です。
が負の場合も同様です。 なら と正負を交互に繰り返しながら、絶対値はどんどん小さくなります。符号が入れ替わっても であり、 なので に収束する点は変わりません。
なお の場合、 で定数列ですが、 なのでこの式に含まれます。
の場合:振動して発散
のとき、 は と正と負を永遠に行き来します。どこか一つの値に近づくことはないため、発散です。
のとき、 は と符号を交互に変えながら絶対値も際限なく大きくなります。これも発散ですが、 とも とも書けません。正と負の両方に振れるため、単に「振動して発散する」と表現します。
と 2 つの値を繰り返す。絶対値は一定だが収束しない。
と符号が交互に変わりながら絶対値も増大する。
等比数列の極限の証明( の場合)
のとき であることを、もう少し踏み込んで示します。
のときは明らかなので、 とします。 より なので、()と置けます。二項定理より、
が成り立ちます。したがって、
です。 のとき なので となり、はさみうちの原理()から 、すなわち が得られます。
等比数列 への拡張
実際の問題では、初項 、公比 の等比数列 の極限を求める場面が多く出てきます。 は に依存しない定数なので、極限の性質から次が成り立ちます。
つまり の極限がわかっていれば、定数倍しただけなので結果はすぐに求まります。 なら初項が何であっても に収束し、 なら のとき に、 のとき に発散します。
数列 が で定義されるとき、 はいくつですか?
- 発散する
32<1 なので (32)n→0 です。定数 3 を掛けても 3×0=0 なので、極限は 0 になります。