数列の極限 - 等比数列 r^n の収束条件と発散

数列 において、 を限りなく大きくしたとき、 がある一定の値 に限りなく近づくなら、この数列は 収束するといいます。記号では次のように書きます。

逆に、 をどれだけ大きくしても一定の値に近づかない場合、数列は発散するといいます。正の無限大に向かって際限なく大きくなる場合は 、負の方向なら と表します。どちらでもなく値が定まらない場合(振動など)は、単に「発散する」とだけ述べます。

等比数列 の極限

等比数列の極限は、公比 の値によって振る舞いが完全に決まります。数列 について、 の範囲ごとに結果を整理すると次のようになります。

公比 の範囲挙動
正の無限大に発散
収束(定数列)
に収束
なし振動して発散

この 4 つの場合分けが等比数列の極限のすべてです。それぞれ具体的な数値で確認していきます。

の場合:正の無限大に発散

のとき、 の値は と急激に増大していきます。

0 10 20 30 40 50 60 70 n=1 n=2 n=3 n=4 n=5 n=6 2 4 8 16 32 64 r = 2 のとき r^n の値

であれば、 を掛けるたびに値が前より大きくなるため、 を増やすほど はいくらでも大きくなります。 のようにわずかに を超える場合でも、 が十分大きければ は限りなく大きくなります。

の場合:定数列

のとき、 です。 がいくつであっても値は常に で変わりません。すべての項が同じ値をとる定数列であり、当然ながら に収束します。

の場合: に収束

この範囲が最も重要です。 のとき、 を掛けるたびに絶対値が小さくなっていくため、 に近づいていきます。

のとき、値の推移は です。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 n=1 n=2 n=3 n=4 n=5 n=6 0.5 0.25 0.125 0.0625 0.03125 0.015625 r = 0.5 のとき r^n の値

が負の場合も同様です。 なら と正負を交互に繰り返しながら、絶対値はどんどん小さくなります。符号が入れ替わっても であり、 なので に収束する点は変わりません。

なお の場合、 で定数列ですが、 なのでこの式に含まれます。

の場合:振動して発散

のとき、 と正と負を永遠に行き来します。どこか一つの値に近づくことはないため、発散です。

のとき、 と符号を交互に変えながら絶対値も際限なく大きくなります。これも発散ですが、 とも とも書けません。正と負の両方に振れるため、単に「振動して発散する」と表現します。

と 2 つの値を繰り返す。絶対値は一定だが収束しない。

と符号が交互に変わりながら絶対値も増大する。

等比数列の極限の証明( の場合)

のとき であることを、もう少し踏み込んで示します。

のときは明らかなので、 とします。 より なので、)と置けます。二項定理より、

が成り立ちます。したがって、

です。 のとき なので となり、はさみうちの原理()から 、すなわち が得られます。

等比数列 への拡張

実際の問題では、初項 、公比 の等比数列 の極限を求める場面が多く出てきます。 に依存しない定数なので、極限の性質から次が成り立ちます。

つまり の極限がわかっていれば、定数倍しただけなので結果はすぐに求まります。 なら初項が何であっても に収束し、 なら のとき に、 のとき に発散します。

数列 で定義されるとき、 はいくつですか?

  • 発散する
__RESULT__

なので です。定数 を掛けても なので、極限は になります。