公比を 1 と比べるだけで決まる等比数列 r^n の収束と発散
公比が なら と増え、 なら と縮み、 なら を繰り返します。
初項が何であっても、行き先は公比 だけで決まる。 の範囲を 4 つに分ければ、 の振る舞いはすべて言い切れます[1]。
| 公比 の範囲 | |
|---|---|
| に発散 | |
| に収束 | |
| に収束 | |
| 振動して発散 |
境目は と の 2 点です。 は収束の側に含まれ、 は含まれません。

なら に落ちる
は明らかなので とします。 なので ()と置ける。
ベルヌーイの不等式 を使います[2]。
逆数をとると です。右辺は を大きくすればいくらでも小さくなる。
どんな幅を決めても、 がその逆数を超える番号が必ずあります。実数のアルキメデス性がそれを保証します[2]。
したがって 、つまり となります。符号が交互に変わっても、絶対値が潰れるので結論は同じ。
なら上へ抜ける
()と置けば、同じ不等式から が出ます。
はどんな壁も越えるので、 も越える。 のようにわずかに を超えるだけでも同じです。
、。はじめは動きが鈍く、途中から一気に伸びます。
は行き先を言えない
では と 2 つの値を往復します。どちらにも落ち着かないので収束しません。
なら で、符号が入れ替わりながら絶対値が伸びる。 とも とも書けません。
絶対値は のまま。値が 2 つのあいだを往復する
符号が入れ替わりながら絶対値が伸びる。どちらの無限大にも決まらない
で が負なら、必ずこの形になります。振動して発散、と呼びます。
例:初項が付いた形
初項 、公比 の等比数列は です[3]。 は に無関係な定数なので、極限の外へ出せます。
なら初項が何であっても 。 なら の符号によって か に分かれます。
、 なら です。 で 。
例:底の違う 2 つの比
を求めます。大きいほうの で分子と分母を割る。
が効いています。公比の大小を見て、大きいほうで割るのが手順。
例:公比が文字のとき
は、 の範囲で答えが変わります。場合分けが要る形の代表です。
なら で、極限は 。
なら です。 では分子と分母を で割ると 。
では が振動するので、極限は存在しません。

答えが 、、、なしと 4 通りに割れます。 の値を 1 つ決めるまで、式の値は 1 つに決まりません。
公比が文字のままの問題では、 と の大小で場合を分けてから計算に入ります。
と は別扱い。境目を範囲に押しこむと、そこだけ答えが合わなくなる。
例: を掛けても に勝てない
のとき です。 が伸びても、 の縮み方のほうが速い。
と置き、二項定理の第 3 項だけを残します。
これを使うと となり、右辺が に向かいます。
で試すと、 で 、 で 、 で 。いったん増えてから落ちます。
例:収束する範囲を決める
数列 が収束する の範囲を求めます。公比が の等比数列です。
収束の条件は 。左は等号なし、右は等号ありです。
では で収束、 では になって振動します。等号の付け方がそのまま答えを変える。
半減期は公比 の等比数列
放射性炭素は 5730 年ごとに半分になります[4]。 年後の残量は、初期量に を掛けた値。
なので で に向かいます。ただしどの でも にはならない。
グラムから始めて グラムまで減るのに約 19000 年かかります[4]。半分になる時間が一定、という性質が等比数列の形を生んでいます。
公比の絶対値を と比べる。この一手で、あとは境目の等号を確かめるだけになります。
数列 の極限はいくつですか。
- 振動して発散する
境目の扱いも確かめます。
数列 が収束する の範囲はどれですか。
公比は で、条件は です。各辺から を引いて で割ると になります。 では公比が で収束、 では公比が で振動します。
公比を と と比べる。それだけで の話は終わり、残りは場合分けを丁寧に書く作業になります。













−43=43<1 なので (−43)n→0 です。定数 5 を掛けても 0 のまま。符号が交互に変わっても、絶対値が 0 へ落ちるので収束します。