漸化式と極限 - 漸化式で定まる数列の収束先を求める
漸化式で定義された数列が収束するとき、その極限値を求める定番の手法があります。「収束するならば極限値は である」という形で の値を特定し、必要に応じて実際に収束することを確認する、という流れです。
基本的な考え方
漸化式 で定まる数列 が に収束すると仮定します。このとき なので、 とすれば も に収束します。したがって漸化式の両辺で をとると、
が成り立ちます。この方程式を解けば、極限値の候補が得られます。
ここで得られるのはあくまで候補です。「収束するならば」という仮定のもとで導いた値なので、数列が本当に収束するかどうかは別途確認が必要です。
収束の証明を省略して候補だけ求める問題も多いが、厳密には収束の保証が要る。
例題 1:
とし、漸化式 で定まる数列の極限を求めます。
まず収束すると仮定して とおくと、
より が候補です。
実際にいくつかの項を計算すると、 と に近づいていく様子が見えます。
この数列が本当に に収束することは、 と置くことで確かめられます。漸化式を で書き換えると、
よって です。これは公比 の等比数列なので であり、 から 、すなわち が確定します。
特性方程式の正体
上の例で行った操作を一般化します。漸化式 ()に対して を解くと です。 と置けば となり、 は公比 の等比数列に帰着します。
は定数項 のせいで直接一般項を求めにくい。
とすると という等比数列になり、一般項が求まる。
ならば なので に収束し、 ならば( のとき)発散します。つまり、漸化式 が収束するかどうかは の絶対値で決まるというのが結論です。
例題 2:
とし、 で定まる数列を考えます。収束すると仮定して を解きます。両辺を 2 乗すると、
または ですが、(平方根の値は非負)なので が候補です。
項を計算すると と に近づいていきます。
この例では収束の確認にもう少し手間がかかります。数学的帰納法で 2 つのことを示します。
かつ の証明
を示す(帰納法)
は成立。 と仮定すると なので です。よってすべての で が成り立ちます。
を示す
です。 かつ より 、 なので です。 から が従います。
すべての で である
すべての で である
単調に増加し続けるが を超えないので、 に収束する
数列が増え続けるのに を超えることはないので、 に限りなく近づいていくしかありません。先ほど求めた候補 が実際の極限値として確定します。
例題 3:初期値で収束・発散が変わる場合
すべての漸化式が収束するわけではありません。 という漸化式で、初期値を変えて比較します。
のとき、 です。 以降は で一定なので に収束します。
ところが にすると、 と爆発的に増大して発散します。
と有限回で定常状態に達し、 に収束する。
と項が急速に増大し、発散する。
仮に収束するとして を解くと から または が候補として出ますが、 の場合はそもそも収束しないので、候補が存在すること自体は収束の根拠になりません。「 を解く」のはあくまで収束を前提とした手続きである、という点は常に意識しておく必要があります。
漸化式 、 で定まる数列の極限はいくつですか?
- 発散する
α=31α+4 を解くと 32α=4 より α=6 です。公比に相当する 31 の絶対値が 1 未満なので収束が保証され、極限は 6 になります。