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候補が出ても収束するとは限らない(漸化式で定まる数列の極限)

で作る数列は と進みます。行き先は

その は、漸化式の を両方 に置きかえた方程式から出ます。

数列が に収束するなら に収束するので、両辺の極限をとればこの式になる。

ただし、これで出るのは候補です。本当に収束するかどうかは別に確かめます。

方程式を満たす点を探す

漸化式 とすると、 が成り立ちます。

この の不動点といいます。 のグラフと直線 の交点が、そのまま候補になる。

図で追うと動きが見えます。 から へ縦に動き、次に に当てて横に戻す。これを繰り返すと階段ができます。

例:一次の漸化式は等比数列に直せる

候補が だと分かったら、 と置いて差を見ます。

は公比 の等比数列です。 なので

より 、つまり が確定しました。候補が本物だったと分かる。

一般に )では、 と置けば になります。

収束するかどうかは だけで決まります。 なら収束、 なら( のとき)発散する。

傾きが引き寄せるか突き放すか

不動点のまわりで何が起きるかは、 の傾きで決まります。傾きの絶対値が より小さければ、階段は交点へ吸い寄せられる。

より大きいと、逆に交点から離れていきます。同じ不動点でも、写像しだいで振る舞いが正反対になる。

距離が毎回一定の割合より小さくなる写像を縮小写像と呼びます。縮小写像は不動点をただ 1 つ持ち、どこから始めてもそこへ収束します[2]

誤差の評価まで付きます。縮小の比を とすると、 回目の誤差は 以下です[2]

なら なので、 の誤差は 以下。実際 です。

収束の速さは等比級数と同じ[4]。1 回ごとに誤差が一定の割合で縮みます。

を解く手続きは、収束を前提にしたときの必要条件を書き出しているだけです。

候補が求まっても、そこへ行くとは限らない。傾きを見るか、単調性と有界性を示すかで裏づける。

例:根号を含む漸化式

を考えます。まず を解く。

両辺を 2 乗すると で、。平方根の値は負にならないので が候補です。

項を並べると に寄っていきます。

この場合は等比数列に直せないので、単調に増えることと上に有界であることを示します[1]

上に有界であることを示す

数学的帰納法を使います。 は成り立つ。

を仮定すると なので です。すべての が言えました。

単調に増えることを示す

差ではなく 2 乗の差を見ると符号が読めます。

なので となり、右辺は正。 だから です。

上に有界で単調増加な数列は収束します[1]。行き先は候補の に決まる。

すべての

すべての

上限を越えずに増え続けるので に収束する

例:ヘロンの方法

の行き先を求めます。 を解くと

正の側をとって です。 を計算する古い方法として知られています。

収束の速さが桁違いです。

誤差

正しい桁数が 1 回ごとにほぼ倍になります。等比の速さより速い。

にニュートン法を当てると、 でこの漸化式そのものです[3]

不動点での傾きが になると、この速さが出ます。傾きが小さいほど強く引き寄せられる。

例:黄金比が出てくる漸化式

の行き先を求めます。 から

正の解は 、黄金比です。

項は と上下に揺れながら寄っていきます。分数で書くと

分子と分母にフィボナッチ数が並びます。漸化式を展開すると という連分数になる。

不動点での傾きは より小さい。だから引き寄せられます。

候補があっても収束するとは限らない

を見ます。 を解くと または が候補として出ます。

なら と、3 項目から で止まります。候補どおり。

にすると と一気に発散します。候補は同じなのに行き先が違う。

不動点での傾きは です。 では では 。どちらも絶対値が を超えるので、まわりの点は突き放されます。

でうまくいったのは、たまたま有限回で不動点にぴったり乗ったからです。近づいていったわけではありません。

例:振動しながら収束する

では、 から

項は と、 をまたぎながら近づきます。

公比にあたる が負なので、差の符号が毎回入れ替わる。 なので収束は変わりません。

が正

同じ側から近づく。階段が一方向に伸びる

が負

をまたいで振動する。近づく速さは で決まる

手順のまとめ

を解いて候補を出す。
不動点での傾き、または を調べる。
等比数列に直せるなら と置く。
直せないなら、有界であることと単調性を帰納法で示す。
初期値によって結果が変わる場合があるので、与えられた で確かめる。

候補を出すところまでは機械的です。そこから先が、その問題ごとの仕事になります。

で定まる数列の極限はいくつですか。

__RESULT__

より です。 なので収束が保証されます。 は定数項をそのまま答えた値、 で割った誤りです。

収束するかどうかも確かめます。

で定まる数列はどうなりますか。

  • に収束する
  • 発散する
  • を振動する
__RESULT__

から候補は ですが、 と置くと です。 で公比が を超えるため、 は発散します。候補があることは収束の根拠になりません。

は、収束したときに満たすべき式を書いただけです。満たす点があることと、そこへ辿り着くことは別の話になります。

参考文献

*Sequences*. Calculus Volume 2, OpenStax.
*Banachscher Fixpunktsatz*. Virtuelles Handbuch Mathematik, Universität Stuttgart.
*Newton's Method*. Calculus Volume 1, OpenStax.
Simple-iteration method. Encyclopedia of Mathematics.
$a_{n+1} = \frac{1}{2}a_n + 1$ は $0$、$1$、$1.5$、$1.75$ と進み、$\alpha = \frac{1}{2}\alpha+1$ の解である $2$ へ向かいます。この方程式から出るのは候補だけ。$y = f(x)$ と $y = x$ の交点まわりの傾きが $1$ より小さければ引き寄せられ、大きければ突き放されます。$b_n = a_n - \alpha$ で等比数列に直す手、$\sqrt{2a_n+3}$ を帰納法で単調かつ有界に持ちこむ手、$\sqrt{2}$ を求めるヘロンの方法、黄金比と連分数、初期値で結果が変わる $a_n^{2}-2$ まで並べました。