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「0.999… は 1」を確かめる、無限等比級数の和と収束条件

を途中まで足すと 、、、。項は無限にありますが、和は を超えません。

項まで足しても で、残りの隙間が毎回半分になっていくためです。

無限個の数を足すという操作は、そのままでは実行できません。有限個の和を作り、その極限として定義します[1]。

部分和の極限として決める

はじめの 項までの和を部分和といい、 と書きます[1]。等比数列なら公式があります。

この の での極限が、無限等比級数の和です[3]。

行方を決めるのは だけ。 なら なので、和が に確定します[1]。

収束するのは のときだけ

とします。 では部分和が定まりません[1]。

のとき で、 とともにいくらでも大きくなります。 なら は と を往復する。

では なので、 も発散します。残るのは だけ。

公比が負でも、絶対値が より小さければ収束します。振動しながら 1 点に寄っていく形。

例:初項 6、公比 3 分の 1

を求めます。、 です。

を先に確かめてから公式に入れる。この確認を飛ばすと、発散する級数に値を与えてしまいます。

例:公比が負

では 。

部分和は 、、、 と上下に揺れながら に寄ります。

例:2 つの級数に分ける

は、それぞれが収束するので分けて足せます。

の和は 、 の和は 。

初項が から始まるので、公式の は と です。 からなら が に変わります。

例:収束する範囲を求める

が収束する の範囲と、そのときの和を求めます。

公比は なので、条件は 。つまり です。

なら和は 、 なら 。範囲の外では、そもそも和が存在しません。

和の公式には、 という条件が張りついています。

条件を外した式は等式として成り立たない。 を代入して と書くと誤りになる。

循環小数は無限等比級数

は と書けます。初項 、公比 の級数です。

なら、初項 、公比 です。

循環する桁数がそのまま公比の分母の桁数になります。分母が の並びになるのはそのためです。

も同じ計算で 。表記が 2 通りあるだけで、数としては と同じものです。

ゼノンの二分法

歩いて 進むには、まず 進み、次に残りの半分を進み、と無限回の動作が要る。だから動けない、という議論があります[4]。

アリストテレスはこれを「動くものは終点に着く前に中点に着かねばならないから、運動は存在しない」と書き留めました[4]。

距離を足せば で、有限の値に収まります。無限個の項があっても、和が無限になるとは限りません。

一般項が に向かうことは必要条件

無限等比級数に限らず、級数 が収束するなら、その一般項は に向かいます[2]。

対偶をとると使いやすくなる。一般項が に向かわないなら、その級数は発散します。

は一般項が に向かうので、足す前に発散と分かります。

逆は成り立ちません。一般項が に向かっても、和が有限になるとは限らない[1][2]。

調和級数は発散する

を調和級数といいます。一般項は に向かうのに、和は発散します[1][2]。

伸び方が非常に遅い。 項で 、 項で 、 万項でも ほどです。

それでも壁を越え続けます。項を 、、 と区切ると、どの束も 以上になるためです。

例:打ち消し合って畳まれる和

等比級数でなくても、部分和が書ければ極限がとれます。 を見ます。

と分解すると、隣どうしが消え合います[1]。

で です。望遠鏡をたたむように中間の項が消えるので、望遠鏡和とも呼ばれます。

公比の絶対値が 未満かを最初に確かめる。
初項が から始まるか からかを見る。
に入れる。
条件つきの等式なので、範囲を書き添える。

この 4 つを順に踏めば、無限等比級数の問題はほぼ機械的に片づきます。

無限等比級数 の和はいくつですか。

__RESULT__

、 です。 になります。 は公比の符号を落とした値、 は公比を ととり違えた値です。

条件のほうも確かめます。

が収束する の範囲はどれですか。

__RESULT__

公比は で、 から です。ただし では全部の項が になり、和は で収束します。初項が になる場合を足すと になります。

無限に足すという操作は、部分和という有限の量に置きかえてから極限をとる。公比が より内側にあるかどうかで、答えが出るか出ないかが分かれます。

出典

*Infinite Series*. Calculus Volume 2, OpenStax.
Claus Michael Ringel. *Folgen und Reihen*. Leitfaden Funktionen, Universität Bielefeld.
Geometric progression. Encyclopedia of Mathematics.
Zeno of Elea. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
$1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{4} + \cdots$ は $8$ 項で $1.9921875$。いくら足しても $2$ を超えません。無限個の和は、部分和 $S_n = \frac{a(1-r^{n})}{1-r}$ の極限として決めます。$|r| < 1$ なら $r^{n} \to 0$ で $\frac{a}{1-r}$ に確定し、$|r| \geq 1$ では部分和そのものが定まらない。循環小数 $0.123123\ldots = \frac{41}{333}$、ゼノンの二分法、一般項が $0$ へ向かうのに発散する調和級数、$\sum \frac{1}{n(n+1)} = 1$ の畳み込みまで並べました。