無限等比級数の和の公式と収束条件

等比数列の各項をすべて足し合わせたものを無限等比級数といいます。初項 、公比 の等比数列 に対して、

と書きます。項が無限に続くこの和は、そのままでは計算できません。有限の部分和を考え、その極限として定義するのが基本的な考え方です。

部分和から無限級数へ

最初の 項までの和を部分和 と呼びます。等比数列の和の公式()から、

です。無限等比級数の和は、この における極限として定義されます。

ここで問題になるのは の極限です。前の記事で確認したとおり、 のとき なので、

が得られます。これが無限等比級数の和の公式です。

収束する場合(

となるため部分和が一定の値に近づく。和は に確定する。

発散する場合(

に収束しないため部分和が定まらない。和は存在しない。

収束条件の整理

無限等比級数 )が収束するための条件は です。 の値ごとに何が起きるかを確認します。

のとき、 なので に収束します。 のとき、 となり で発散します。 のとき、 を交互に繰り返し、一つの値に定まりません。 のとき、 なので も発散します。

結局、 だけが収束を保証する条件です。

具体例で確認する

の場合、級数は です。部分和の推移を見てみます。

0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 1.8 2.1 n=1 n=2 n=3 n=4 n=5 n=6 n=7 n=8 1 1.5 1.75 1.875 1.9375 1.96875 1.984375 1.992188 a=1, r=1/2 のとき部分和 S_n の推移

部分和は に向かって急速に近づいています。公式に当てはめると、

でグラフの挙動と一致します。項を足すごとに残りの「隙間」が半分ずつ縮まっていくため、有限の値 に収束するわけです。

公比が負の場合

のとき、級数は です。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 n=1 n=2 n=3 n=4 n=5 n=6 n=7 n=8 1 0.5 0.75 0.625 0.6875 0.65625 0.671875 0.664063 a=1, r=-1/2 のとき部分和 S_n の推移

部分和は上下に振動しながら、ある値に近づいています。公式では、

です。 であれば公比が負でも収束するという点が、グラフの振動と収束から読み取れます。

無限等比級数と循環小数

無限等比級数は抽象的な概念のように見えますが、実は循環小数の正体そのものです。たとえば は、

と書けます。初項 、公比 の無限等比級数です。 なので収束し、

となります。 という見慣れた等式が、無限等比級数の公式から導かれました。

同様に は初項 、公比 の無限等比級数であり、和は です。つまり 同じ数です。

表記が異なるだけで、数としての値は完全に等しい。

級数が収束するための必要条件

無限等比級数に限らず、一般の無限級数 が収束するならば が成り立ちます。これは収束のための必要条件です。

必要条件

級数が収束する → 。対偶をとれば、 でないなら級数は発散する。

十分条件ではない

であっても級数が発散することはある。有名な例が調和級数 で、 だが和は に発散する。

等比級数の場合、 ならば一般項 であり、かつ級数も収束します。しかし調和級数のように、一般項が に近づくだけでは収束が保証されない級数も存在するため、「 だから収束する」という推論は誤りです。

無限等比級数 の和はいくつですか?

  • 発散する
__RESULT__

初項 、公比 です。 なので収束し、 となります。