三角方程式の基本 - sinθ = ½ を満たす角を求める
三角比の値がわかっていて、その値をとる角度 を求める問題を三角方程式といいます。数学 I の範囲では で考えることがほとんどですが、単位円を使った考え方を身につけておくと、見通しよく解けるようになります。
三角方程式とは
たとえば という式が与えられたとき、これを満たす の値を求めるのが三角方程式の問題です。三角比の表から はすぐにわかりますが、答えはそれだけではありません。 から の範囲には、もう 1 つ となる角度が存在します。
なら のように解が 1 つに定まることが多い。
のように、同じ値をとる角度が複数存在することがある。解の個数は範囲と三角比の種類に依存する。
この「解が複数ある」という点が三角方程式の特徴であり、注意すべきポイントです。
単位円で考える
三角方程式を解くとき、単位円(半径 1 の円)を使うのがもっとも確実な方法です。単位円上の点 に注目すると、三角比の値は座標として読み取れます。
単位円上で の水平線を引き、円との交点を探す。交点の角度が解になる。
単位円上で の垂直線を引き、円との交点を探す。交点の角度が解になる。
原点を通る傾き の直線を引き、単位円との交点を探す。交点の角度が解になる。
いずれも図形的に解の個数と位置が把握できるため、答えを見落としにくくなります。
sinθ = k を解く
の範囲で を解く場合、 の値によって解の個数が変わります。
例題 1: を解け。
単位円で の水平線を引くと、円との交点は 2 つあります。1 つは で、もう 1 つは です。 という性質から、 が 2 つ目の解になるわけです。
例題 2: を解け。
の水平線と単位円の交点は、円の頂上 の 1 点だけです。
例題 3: を解け()。
の水平線は、 から の範囲で単位円と交わりません。この範囲では なので、解なしです。
| sinθ の値 | 解の個数 | 解 |
|---|---|---|
| 0 < k < 1 | 2 個 | θ と 180° - θ |
| k = 1 | 1 個 | θ = 90° |
| k = 0 | 2 個 | θ = 0°, 180° |
| k < 0 | 0 個 | 解なし |
では というペアを忘れないことが重要です。
cosθ = k を解く
の範囲では、 は から まで単調に減少します。そのため ()の解はちょうど 1 つです。
例題 4: を解け。
がわかっていれば、 が負になるのは鈍角の側です。 なので、
が唯一の解です。
が から で単調減少するという性質は、方程式の解の一意性を保証してくれます。逆にいえば、余弦の値から角度が 1 つに決まるため、余弦定理で角度を求める問題では解の吟味が不要になるという利点があります。
cosθ は 0° から 180° で 1 から -1 へと減り続けるため、同じ値を 2 回とることがない。
tanθ = k を解く
()の範囲で を解きます。
例題 5: を解け。
なので、 が解です。 から の範囲( を除く)では、 は各区間で単調増加するため、 となるのは鋭角側の だけです。
例題 6: を解け。
なので、負の値をとるのは鈍角側です。 より、
が解になります。
なので、正の値の解はここにある。
なので、負の値の解はここにある。
タンジェントの場合は符号で鋭角か鈍角かがすぐに判断できます。
解き方のまとめ
三角方程式を解く手順を整理しておきましょう。
特殊角の三角比を確認(30°, 45°, 60° の値)
単位円で該当する位置を把握する
範囲内のすべての解を書き出す(特に sin は 2 つの可能性)
とくに のときは、 と の 2 つの解が出やすい点を意識してください。 は解が 1 つ、 は符号で鋭角・鈍角が決まるという違いを整理しておくと、迷わず解けるようになります。
練習問題
()の解はどれですか?
()の解はどれですか?
です。 から で は単調減少なので、解は の 1 つだけです。
()の解はどれですか?
- 解なし
が負になるのは鈍角側です。 なので、 より が解です。
三角方程式は三角比の逆問題ともいえます。三角比の表を暗記するだけでなく、単位円と結びつけて「なぜその角度が解になるのか」を理解しておくと、応用問題にも対応できるようになります。
sin60°=3/2 で、180°−60°=120° も sin120°=3/2 を満たします。解は 60° と 120° の 2 つです。