二次不等式と判別式 - 解なし・すべての実数が解になるパターン
二次不等式を解くとき、因数分解できるケースは比較的わかりやすいですが、判別式 のケースでは事情が変わります。二次方程式が実数解をもたない場合、対応する放物線は 軸と交わらないため、不等式の解が「すべての実数」か「解なし」のどちらかに決まります。
判別式と二次関数のグラフの関係
二次関数 のグラフが 軸と交わるかどうかは、判別式 で判定できます。
グラフは 軸と 2 点で交わります。二次方程式 は異なる 2 つの実数解をもち、不等式は因数分解を使った通常の方法で解けます。
グラフは 軸と 1 点で接します。重解をもつケースで、不等式の解は接点の扱いに注意が必要です。
グラフは 軸と交わりません。二次方程式は実数解をもたず、放物線は 軸の上側か下側のどちらか一方にとどまり続けます。
の場合に注目すると、放物線全体が 軸の上か下のどちらかにあるため、 の符号はすべての で一定になります。この符号を決めるのが最高次の係数 の正負です。
かつ の場合
なので放物線は下に凸で、さらに 軸と交わらないということは、グラフ全体が 軸より上にあることを意味します。つまりすべての実数 に対して が成り立ちます。
すべての実数が解になります。グラフがつねに正の領域にあるためです。
解はありません。グラフが負の領域に入ることが一度もないためです。
具体例で確認してみます。 を考えると、判別式は です。 なのでグラフ全体が 軸より上にあり、この不等式の解はすべての実数となります。
逆に の解を求めると、グラフが 軸より下に来ることはないので、解なしです。
かつ の場合
のとき放物線は上に凸になります。 軸と交わらないということは、グラフ全体が 軸より下にあるということです。
たとえば の判別式を計算すると で、 です。放物線全体が 軸の下にあるため、 は常に負の値をとります。したがって「」を満たす は存在せず、解なしとなります。
一方、 であれば、すべての実数が解です。
判定のまとめかた
のときの判定は、 の符号と不等号の向きの 2 つの情報だけで結論が出ます。
| 不等式の形 | ||
|---|---|---|
| または | すべての実数 | 解なし |
| または | 解なし | すべての実数 |
この表の背後にある理屈はシンプルで、「 かつ ならグラフは常に正」「 かつ ならグラフは常に負」という事実に尽きます。不等号の向きが正の側を要求しているのか負の側を要求しているのかと照合するだけです。
等号つき(, )の場合
の状況では等号の有無は結論に影響しません。 を満たす実数 がそもそも存在しないため、 と の解は同じになりますし、 と の解も同じです。
の解として正しいものはどれですか?
- すべての実数
- 解なし
- または
判別式を使った不等式の典型的な解法手順
実際の問題を解くときは、まず因数分解を試みて、できなければ判別式を計算するという流れが自然です。
二次不等式を立てる
因数分解を試みる
できなければ判別式 を計算する
の符号と の符号から解を判定する
判別式が負になったら「解なし」か「すべての実数」のどちらかしかないので、慌てず の符号を確認すれば答えにたどり着けます。
a=−3<0 で D=1−48=−47<0 です。放物線全体が x 軸の下にあるため、正の値をとることはなく、解なしとなります。