二次不等式が「解をもたない」条件の求め方
「 が解をもたないような定数 の範囲を求めよ」という問題は、裏を返せば「 がすべての実数で成り立つ」条件を求めることと同じです。解をもたない条件の問題は、常に成り立つ条件の問題を反対方向から見たものにすぎません。
「解をもたない」とはどういう状態か
が解をもたないとは、 を満たす実数 が 1 つも存在しないことを意味します。言い換えれば、すべての実数 に対して が成り立つということです。
どんな を代入しても左辺が負にならない
すべての に対して左辺が 以上
この 2 つの文は同じことを述べています。不等式の否定を考えると、 の否定は ですから、「 の解がない」は「 が常に成立」と同値になります。
不等号の向きごとの対応
解をもたない条件を整理すると、次のような対応になります。
| 解をもたない不等式 | 同値な条件 |
|---|---|
| が解なし | 常に |
| が解なし | 常に |
| が解なし | 常に |
| が解なし | 常に |
左の列の不等号を裏返したものが右の列に現れています。「解なし問題」を見たら、まず不等号を反転させて「常に成立する問題」に読み替えるのが解法の第一歩です。
具体的な条件の導出
が解をもたない条件を求めます。これは がすべての実数で成立する条件と同じなので
です。等号なしの が解をもたない場合、反転先は (等号あり)なので、( を含む)となることに注意が必要です。
反転すると常に なので、 かつ
反転すると常に なので、 かつ
を含むか含まないかは、元の不等式の等号の有無と逆転する点がやや紛らわしいところです。 のとき放物線は 軸に接して接点で になります。 はこれを許容しますが、 は許容しません。
問題を解いてみる
が解をもたないような定数 の範囲を求めます。
二次の係数は なので、あとは を求めればよいです。
より
両辺を で割って とし、因数分解すると です。これを解くと
が答えです。
元の不等式が (等号なし)なのに、 の条件は (等号あり)で、 の範囲にも等号がつく点を確認しておくと安心です。 や のとき となり、放物線は 軸に接します。接点で なので は満たされず、確かに解をもたない状態になっています。
では接点でちょうど になるため、 を満たす は存在しない。
もう 1 問:等号ありの場合
が解をもたない条件を求めてみます。反転すると「 がすべての実数で成立」なので、 と が必要です。
より です。今度は元が (等号あり)の解なしなので、(等号なし)となり、 の範囲にも等号がつきません。
が解をもたないための条件はどれですか?
解法の手順
解をもたない条件の問題を解く手順を整理しておきます。
不等号を反転させて「常に成立」の問題に書き換える
の符号条件と の条件を立てる
の不等式を解いて定数の範囲を求める
最初の「不等号の反転」さえ正確にできれば、あとは常に成立する条件の問題と同じ手順で解けます。反転のときに等号が入れ替わることだけ忘れなければ、確実に正答にたどり着けます。
反転すると「−x2+2x+k≤0 が常に成立」です。a=−1<0 なので放物線は上に凸で、常に ≤0 になる条件は D≤0 です。D=4+4k≤0 より k≤−1 が正解です。