双曲線の媒介変数表示と双曲線関数|高校数学
楕円の媒介変数表示では三角関数 、 を用いるが、双曲線ではこれに対応する「双曲線関数」が登場する。三角関数が単位円上の点を表すのに対し、双曲線関数は単位双曲線上の点を表すという、美しい対応関係がある。
三角関数による媒介変数表示
双曲線 に対して、三角関数の恒等式 を利用すると、次の媒介変数表示が得られる。
を動かすと双曲線上の点をなぞることができるが、 となる では定義されない点に注意が必要だ。この表示は高校数学の範囲で扱いやすいものの、 という形はやや不自然にも見える。
双曲線関数の定義
より自然な媒介変数表示を与えるのが双曲線関数である。双曲線正弦関数 と双曲線余弦関数 は指数関数を用いて次のように定義される。
これらの関数名は「ハイパボリックコサイン」「ハイパボリックサイン」と読む。定義から直接計算すると、
という恒等式が成り立つ。これは三角関数の に対応する双曲線版の公式である。
(単位円)
(単位双曲線)
符号が から に変わるだけで、円から双曲線へと世界が切り替わる。
双曲線関数による媒介変数表示
を利用すれば、双曲線 の媒介変数表示は次のように書ける。
を から まで動かすと、双曲線の右側の枝( の部分)をすべてなぞることになる。左側の枝は 、 で表される。
三角関数による表示と比べると、双曲線関数を使った表示のほうが分母に三角関数が現れず、微分や積分の計算でも扱いやすい場面が多い。
双曲線関数のグラフと性質
と のグラフの概形を確認しておこう。
| の値域 | |
| の値域 | |
| (偶関数) | |
| (奇関数) |
は偶関数で、 のとき最小値 をとる。グラフの形はカテナリー(懸垂線)と呼ばれ、鎖や電線が自重でたわんだときにできる曲線と一致する。 は奇関数で、原点を通り、 が大きくなると急激に増加する。
双曲線正接関数
三角関数に があるように、双曲線関数にも正接関数が定義される。
の値域は であり、 で に、 で に漸近する。この S 字型の曲線はシグモイド関数の一種であり、機械学習の活性化関数としても使われている。
三角関数との加法定理の対応
双曲線関数にも三角関数と類似した加法定理が成り立つ。
| 三角関数 | 双曲線関数 |
|---|---|
注意すべきは の加法定理で、三角関数では となる部分が に変わっている点だ。この符号の違いは、 と の符号の違いに起因している。
微分公式
双曲線関数の微分は、三角関数の微分と比べて符号がすべてプラスになるという特徴がある。
三角関数では とマイナスが付くが、双曲線関数ではそのような符号反転が起きない。この性質が微分方程式の計算を簡潔にする場面も少なくない。
の値はいくつか。
- に依存する
双曲線関数は高校数学の教科書では発展的な内容として扱われることが多いが、大学以降の解析学や物理学では不可欠な道具となる。三角関数との対応を意識しながら学ぶと、理解が格段に深まるだろう。
双曲線関数の基本恒等式より、cosh2t−sinh2t=1 が常に成り立つ。これは三角関数の cos2θ+sin2θ=1 に対応する公式である。