数学 B ベクトルの成分と大きさ(長さ)

ベクトルとは、向きと大きさを持つ量のことです。図形的には矢印として描かれます。力や速度のように「どちらの方向にどれだけ」という情報を同時に持つ量を扱うとき、ベクトルの考え方が必要になります。

成分表示

高校数学では、ベクトルを座標のように 2 つの数の組で表します。たとえば原点から点 に向かう矢印を考えると、このベクトル

と書けます。これをベクトルの成分表示といい、1 つ目の数を 成分、2 つ目の数を 成分と呼びます。

ここで注意したいのは、ベクトルは「位置」ではなく「移動量」を表しているという点です。 は「 方向に 方向に 進む」という意味であり、始点がどこであっても同じベクトルとみなされます。

位置(点)

は平面上の 1 つの点を指す。始点は常に原点。

ベクトル

は「右に 1、上に 2」という移動を表す。始点はどこでもよい。

原点から への矢印も、 から への矢印も、向きと大きさが同じなので同じベクトル です。

ベクトルの演算

成分表示されたベクトルの足し算・引き算・スカラー倍は、各成分ごとに行います。 として、

足し算

。矢印を「つなげる」操作に対応する。

引き算

の先端から の先端へ向かうベクトルに対応する。

スカラー倍

。矢印を 倍に伸縮する操作。 なら向きが逆転する。

たとえば のとき、

成分ごとに計算するだけなので、操作そのものは難しくありません。

ベクトルの大きさ

ベクトルの大きさとは、矢印の長さのことです。 の大きさは と書き、

で求められます。これは原点から点 までの距離にほかならず、三平方の定理そのものです。

成分方向に 成分方向に 進んだときの斜辺の長さが であり、三平方の定理から が導かれます。

直角三角形の斜辺 という関係。

いくつか具体例を見てみましょう。

の大きさは です。 はピタゴラス数として有名な組み合わせですね。

なら となります。きれいな整数にならないことのほうが多いので、 のまま答えることに慣れておきましょう。

の場合は です。成分が負でも 2 乗すれば正になるので、大きさは常に 以上になります。

単位ベクトル

大きさが のベクトルを単位ベクトルといいます。任意のベクトル )に対して、

とすれば となり、 と同じ向きの単位ベクトルが得られます。

ベクトル の大きさ を求める

各成分を で割る

大きさ 、向き同じの単位ベクトルが得られる

たとえば の単位ベクトルは です。実際に大きさを確認すると となり、確かに単位ベクトルになっています。

単位ベクトルは「向きだけを取り出したベクトル」と考えることができ、ベクトルの分解や正規化といった場面で活躍します。

2 点間の距離とベクトル

から点 へ向かうベクトルは

と表されます。このベクトルの大きさが 2 点間の距離にほかなりません。

中学で習った 2 点間の距離の公式が、ベクトルの大きさとして自然に再登場するわけです。

たとえば の距離は の大きさなので です。

練習問題

の大きさ は?

__RESULT__

です。

のとき、 は?

__RESULT__

です。

と同じ向きの単位ベクトルは?

__RESULT__

なので、各成分を で割って です。

の距離は?

__RESULT__

なので です。

の大きさ は?

__RESULT__

です。