ベクトルの平行条件と垂直条件 - 高校数学での判定方法

2 つのベクトルが平行か垂直かを判定する場面は、図形問題や座標平面上の計算で頻繁に登場します。判定には「実数倍」と「内積」という 2 つの道具を使いますが、それぞれどの場面で使うかを整理しておくことが重要です。

平行条件 - 実数倍の関係

2 つのベクトル が平行であるとは、一方が他方の実数倍になっていることを意味します。つまり、ある実数 が存在して

が成り立つとき、 と書きます。 なら同じ向き、 なら逆向きです。

同じ向きの平行

のとき、 は同じ方向を指す。たとえば なら、 の 3 倍の長さで同方向。

逆向きの平行

のとき、 は反対方向を指す。たとえば なら、 の 2 倍の長さで逆方向。

成分表示での平行条件

と成分で表されているとき、 は各成分について を意味します。ここから を消去すると

という条件が得られます。この式は「たすき掛けの差がゼロ」と覚えると使いやすいです。

たとえば の場合、 なので平行だと判定できます。実際 です。

垂直条件 - 内積がゼロ

2 つのベクトル が垂直であるとは、内積が 0 になることです。

内積の定義 から考えると、 なので内積が 0 になるのは自然な結果です。

成分表示では

が垂直条件になります。

たとえば の場合、 なので垂直です。

平行と垂直の判定をまとめる

条件成分での式
平行
垂直

平行条件は「たすき掛けの差」、垂直条件は「成分同士の積の和」で、どちらもシンプルな式です。混同しやすいため、平行は「交差して掛ける」、垂直は「そのまま掛けて足す」と区別して覚えると確実です。

例題 1:平行なベクトルの成分を求める

が平行であるとき、 の値を求めます。

平行条件 に代入すると

検算として が確認でき、確かに平行(逆向き)になっています。

例題 2:垂直なベクトルの成分を求める

が垂直であるとき、 の値を求めます。

垂直条件 に代入すると

内積を計算すると で確かに垂直です。

例題 3:平行条件と垂直条件の使い分け

3 点 について、 となる の値を求めます。

まず各ベクトルの成分を計算します。

垂直条件から

よって のとき、 は垂直になります。

が平行であるとき、 の値はいくつですか?

__RESULT__

平行条件 より、 を解いて です。検算すると で確かに平行です。

零ベクトルに関する注意

平行条件 を前提としています。零ベクトル は大きさが 0 で方向が定まらないため、平行・垂直の議論の対象外です。一方、垂直条件 は零ベクトルでも形式的に成り立ちますが、「零ベクトルはすべてのベクトルに垂直」というのは便宜的な扱いであり、図形的な意味での垂直とは異なります。問題文で が明記されていない場合でも、平行・垂直の判定では非零ベクトルを想定するのが一般的です。