平面ベクトルを二つの平面ベクトルに分解する問題は連立方程式の問題に帰着させる
平面ベクトル を 2 つのベクトル と で表すとは、
を満たす実数 、 を求めることです。この問題は、成分を書き下した瞬間に連立方程式の問題に変わります。ベクトル特有のテクニックは特に必要なく、中学で学んだ連立方程式の解法がそのまま使えるのがポイントです。
基本の流れ
を と で表してみましょう。
まず に成分を代入します。
右辺を計算すると なので、 成分と 成分をそれぞれ等しいとおけば連立方程式が得られます。
下の式から とし、上の式に代入すると、
となり、
が得られます。
に成分を代入する
成分・ 成分で連立方程式を立てる
連立方程式を解いて 、 を求める
この手順はどんな問題でも変わりません。ベクトルの分解と聞くと身構えるかもしれませんが、実質的には連立方程式を解くだけです。
検算のすすめ
求めた 、 が正しいかどうかは、実際に代入して確かめられます。
確かに一致しました。連立方程式の計算ミスは起こりやすいので、検算の習慣をつけておくと安心です。答えを代入して元のベクトルが復元できれば正解と確認できます。
例題
いくつかのパターンを練習してみましょう。
例題 1:分数になるケース
を と で表しなさい。
より、
下の式から とし、上の式に代入します。
となり、
、 が分数になることもありますが、手順はまったく同じです。分数が出たからといって計算が間違っているとは限りません。
例題 2:係数が負になるケース
を と で表しなさい。
より、
上の式から とし、下の式に代入します。
なので、
が負になっているのは、 の逆方向に進む成分が必要だということです。、 がともに正のときは が と の「間」の方向を向いていますが、どちらかが負になると はそこから外れた方向にあります。
例題 3:きれいな整数になるケース
を と で表しなさい。
より、
上の式から とし、下の式に代入します。
なので、
検算すると で確かに一致します。
分解できない場合
すべてのベクトルの組み合わせで分解ができるわけではありません。 と が平行な場合、連立方程式が解なしになることがあります。
たとえば を と で表そうとすると、
上の式を 2 倍すると となり、下の式の と矛盾します。これは連立方程式が解を持たないことを意味しています。
なので、 と は同じ方向を向いている(平行)。同じ方向のベクトルをどう組み合わせても、その直線から外れたベクトルは作れない。
と が平行でないこと。これを数学的には「1 次独立」という。平行でなければ、平面上のどんなベクトルも の形でただ 1 通りに表せる。
平行かどうかを成分で判定するには、、 に対して
が成り立つかどうかを確認します。いわゆる「たすき掛け」の計算です。先ほどの例では なので平行であり、分解不可能でした。冒頭の問題では なので平行でなく、分解可能です。
練習問題
を と で表すと?
、、 のとき、 の は?
、 を解くと 、 です。
、 で任意のベクトルを分解できる?
- できる
- できない
なので と は平行です。分解できません。
、、 のとき、 の値は?
、 を解くと 、 です。 が負になることに注目してください。
ベクトルの分解は、見た目こそベクトルの問題ですが、中身は連立方程式の問題です。成分を書き下して方程式を立てるという最初の一歩さえ踏み出せれば、あとはこれまでに身につけた計算力で解き切ることができます。
a と b が標準基底なので、成分がそのまま係数になります。p=8(1,0)+6(0,1) です。