直線の式は「傾きと 1 点」で決まる。2 点しかないときも同じこと
直線を 1 本に決めるには、情報が 2 つ要ります。通る点を 1 つと傾きを 1 つ、あるいは通る点を 2 つ。どちらでも同じ直線にたどり着きます。
式の形はいくつもありますが、覚えるのは点と傾きの形 1 つで足ります。残りはそこから作れる書き換えです[1]。
傾きとは何か
傾き は、 が 進むあいだに がいくつ変わるかを表します。分数で書けば です。
青が の横移動、橙がそれに対する縦の変化です。 が正なら右上がり、負なら右下がり、 なら水平になります。
をいくら大きくしても垂直にはなりません。垂直な直線では で、割り算ができないからです[2]。
点と傾きから作る
通る点 と傾き が分かっているとします。直線上の任意の点 について、傾きの定義がそのまま式になります。
分母を払った右の形が点傾式です。 でも成り立つので、こちらのほうが扱いやすい[3]。
例 1:点と傾きから式を作る
点 を通り、傾き の直線を求めます。
分母を払うと となり、整理して です。
点を代入して を確かめておきます。作った式に元の点を入れる、この 1 手間で計算ミスがほぼ消えます。
傾きと切片で書く
点として 切片 をとると、点傾式は最も見慣れた形になります。
が傾き、 が 切片です。グラフを描くには便利ですが、 軸に平行な直線を書けないという弱みがあります[2]。
傾きと切片が一目で読める。 軸に平行な直線だけは書けない
すべての直線を書ける。傾きや切片は係数から計算する
例 2:切片から式を作る
傾きが で、 切片が の直線を求めます。
です。一般形に直すと になります。
切片も出しておきます。 として 。グラフを描くときは 2 つの切片を結べば十分です。
2 点を通る直線
2 点 、 が与えられたら、まず傾きを作ります。
これを点傾式に入れれば終わりです[3]。
2 点が上下に動いても、直線は必ずその 2 点を通ります。傾きの値だけが変わる。
分数を残したまま整理すると計算が重くなります。先に分母を払い、 の形にしてから展開するほうが速い。
例 3:2 点を通る直線
、 を通る直線を求めます。
傾きは です。
一般形なら です。 を入れると で、両方の点を通っています。
分母が になる場合
のとき傾きが作れません。この場合、2 点は縦に並んでいるので直線は 軸に平行です。
分母を払った形 で書いておくと、この場合も自動的に が出ます。割り算をしないぶん、場合分けが減る[4]。
点を通る直線の式を 分母を払った形 で覚えておくと、縦に並んだ 2 点でも同じ 1 本の式で処理できます。
の形。割り算が現れないので例外が出ない。
一般形はすべてを飲み込む
は、 と が同時に でなければ必ず直線を表します。 なら 軸に平行、 なら 軸に平行[1]。
傾きは のとき です。 切片は になります。
法線ベクトルが で読めるところも便利です。垂直や平行の判定はこの形で行うのが定石。
例 4:一般形から傾きと切片を読む
の傾きと切片を求めます。
について解きます。
傾きは 、 切片は です。公式 とも合っています。
切片形
切片が 、 切片が で、どちらも でないとき、直線は次の形に書けます[3]。
とすれば 、 とすれば です。切片がそのまま分母に出るので、グラフを描くには最も速い形になります。

塗った三角形の面積は です。切片形で書いておくと、この種の面積の問題がそのまま解けます。
例 5:切片形を使う
切片が 、 切片が の直線を求め、座標軸と作る三角形の面積を出します。
分母を払います。両辺に を掛けて 、整理して です。
面積は になります。切片が負でも、長さとしては絶対値を使います。
媒介変数で書く
点 を通り、方向ベクトルが の直線は次のように書けます[2]。
を動かすと点が直線上を進みます。空間の直線を扱うときは、この形が主役になります。
を消せば通常の式に戻ります。 なら を代入するだけ。
例 6:媒介変数から一般形へ
、 を と の式にします。
第 1 式から です。第 2 式に代入します。
方向ベクトルが なので、法線は 。一般形の係数と一致しています。
形の使い分け
同じ直線でも、問題によって書きやすい形が違います。
通る点と傾きが分かっているとき。 で、そのまま書き下せます。
グラフを描くとき。 で、傾きと切片が読み取れる。
平行や垂直を判定するとき。 の係数から法線が出ます。
軸との交点や三角形の面積を扱うとき。 が最短です。
空間の直線や、点の動きを追うとき。 が進む量を表す。
例 7:3 点が一直線上にあるか
、、 が一直線上にあるかを調べます。
の傾きは 、 の傾きは です。
2 つが一致したので 3 点は一直線上にあります。傾きを比べるとき、 座標が等しい組がないことを先に確かめておく。
例 8:2 直線の交点を通る直線
と の交点を通り、点 を通る直線を求めます。
交点を求めずに済ませる方法があります。 を定数として次の式を考えます。
この式は交点の座標を入れると両方の括弧が になるので、 が何でも交点を通ります。あとは を通るように を決めるだけ。
から です。
答えは です。交点 を実際に求めてから通る直線を作っても同じ結果になります。
点 と を通る直線はどれですか。
傾きの式を書く前に、 座標が等しくないかを見る。この 1 手が例外のとりこぼしを防ぎます。
よくある誤り
形をいくつも覚えるより、点傾式から書き換える手順を身につけるほうが速い。どの形も 2 行以内でたどり着きます。










x 座標が等しいので傾きが作れません。2 点は縦に並んでいるので、直線は y 軸に平行な x=4 になります。分母を払った形 (y2−y1)(x−x1)=(x2−x1)(y−y1) に入れると 7(x−4)=0 となり、同じ式が出ます。