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English

領域の中の最大・最小は頂点で決まる!直線を平行移動して探す

領域の中で のような式の最大値を探すとき、その式を と置くところから始めます。

を決めるごとに 本の直線が決まります。 を変えると、傾きを保ったまま直線が平行に動く。

求めたいのは、この直線が領域と共有点をもつ範囲での の端です。直線を動かして、領域から離れる寸前で止めた位置が答えになります。

橙の直線が平行に動いています。領域から完全に離れる直前が、 がいちばん大きくなる位置。

その位置で直線が触れているのは頂点 です。ここで になります。

なぜ頂点で決まるのか

領域の内部の点をとったとします。その点を通る直線は、まだどちらへも動かせる。まわりに領域が残っているので、 をもう少し増やせます。

辺の上の点でも同じです。直線の傾きが辺と違うなら、辺に沿って端へ寄せることで を増やせる。

動かせなくなるのは、まわりに領域が残っていない場所、つまり頂点です。だから最大と最小は頂点で起こります。

内部の点

まわり 度に領域が広がっています。どの向きにも動けるので、ここが限界にはなりません。

頂点

本の境界にはさまれています。直線をこれ以上動かすと領域から外れるので、ここで止まる。

目的の式が一次で、領域が多角形であれば、端の値は必ず頂点でとります。この一文が、この種の問題を解くときの土台になります。

例:四角形の領域で最大と最小

連立不等式 の表す領域で、 の最大値と最小値を求めます。

まず領域の頂点を出します。境界どうしの交点を求める作業です。

の交点は
の交点は
の交点は
の交点は

番目の交点は連立して出します。 から を引くと 、代入して です。

出た交点が本当に領域の頂点かを確かめます。 なら で他の条件も満たしている。境界どうしの交点でも、別の条件から外れていれば頂点になりません。

つの頂点で を計算します。

最大値は のとき、最小値は のときです。

全部の頂点で計算する

直線を動かす図を描かなくても、頂点をすべて洗い出して代入すれば答えが出ます。多角形なら頂点は有限個なので、必ず終わる。

図から読む方法は速いのですが、傾きの比較を間違えると別の頂点を選んでしまいます。頂点が つなら、計算するほうが確実です。

領域を図示して境界を確かめる

境界どうしの交点を連立で求める

それが領域の頂点かを他の条件で確かめる

すべての頂点で目的の式を計算して比べる

図を描く手間は省けません。どの境界とどの境界が交わって頂点になるかは、図がないと見えないためです。

傾きが境界と一致すると辺全体が答えになる

同じ領域で、今度は の最大値を求めます。頂点で計算します。

。最大値 つの頂点で同時に起きました。

これは目的の式 の傾きが、境界 と同じだからです。直線を動かすと、辺にぴったり重なって止まる。

太い橙の線が最大値をとる場所です。 つの頂点だけでなく、そのあいだの辺の上のどの点でも になります。

答えを書くときは「最大値 、そのとき かつ 」のように、とる場所まで示します。頂点を つだけ挙げると、答えが足りません。

頂点で計算する方法なら、この場合も見落としません。同じ最大値が 頂点で出たら、そのあいだの辺全体が答えだと分かります。

領域が閉じていないとき

領域が無限に広がっていると、最大値や最小値が存在しないことがあります。

の領域で を考えます。この領域は右上へ無限に広がっている。

をいくらでも大きくとれるので、 に上限はありません。最大値は存在しない。

最小値のほうは決まります。頂点は で、それぞれ 。最小値は のときです。

領域が閉じていない問題では、動かす向きに領域の端があるかを先に見ます。端がなければ、その側の答えは存在しません。

目的の式の傾きで動かす向きが変わる

では、 を大きくすると直線は上へ動きました。目的の式が変われば、動く向きも変わります。

なら、 を大きくすると直線は左上へ。 なら右下へ寄せることになります。

どちらの向きで が増えるかは、 つ選んで直線を 本描けば分かります。 の位置を比べる、といった確かめ方です。

図から読むときは、この向きをとり違えると最大と最小が入れ替わります。頂点で計算する方法には、この危険がありません。

目的の式が一次でない場合

のような式では、頂点で決まるとは限りません。この式は原点からの距離の 乗なので、等しい値をとる点が同心円になります。

の領域で の最小値を求めます。

原点を中心とする円を大きくしていき、領域と最初に触れる位置を探します。触れるのは、原点から直線 へ下ろした垂線の足。

触れる点は で、頂点ではありません。辺の途中です。

このとき が最小値。頂点 ではどちらも で、 のほうが小さくなっています。

頂点で決まるのは目的の式が一次のときだけ。二次の式が出てきたら、等高線がどんな図形になるかを描いて、領域と触れる場所を探します。

例:文章題として出る形

製品 A と B を作ります。A を 個作るのに材料 P が キログラム、材料 Q が キログラム。B を 個作るのに P が キログラム、Q が キログラム。

P は キログラム、Q は キログラムまで使えます。A の利益は 万円、B は 万円。利益を最大にする作り方を求めます。

A を 個、B を 個として、条件を不等式にします。

目的は の最大化です。頂点を求めます。

を連立します。 本目を 倍して 本目を引くと です。

万円
万円
万円
万円

最大は 万円。A を 個、B を 個作る計画です。

個数は整数でなければならないので、答えが整数の頂点で出たのは幸運でした。頂点が整数にならない問題では、その近くの整数の点をいくつか調べます。

の領域で の最大値はどれですか。

__RESULT__

領域の頂点は です。 を計算すると 。最大値は で、 を結ぶ辺の上すべてでとります。

答えの書き方

最大値や最小値だけでなく、それをとる も書きます。「 のとき最大値 」の形です。

辺全体でとる場合は、その辺を範囲つきで示します。頂点を つだけ書くと、他の場所を落としたことになる。

存在しない場合は「最大値はない」と書きます。空欄にすると、計算していないのか存在しないのかが伝わりません。

よくある誤り

境界どうしの交点をすべて頂点だと思う。他の条件から外れる交点は頂点になりません
直線を動かす向きをとり違える。 つ入れて 本描けば向きが分かります
同じ値が 頂点で出たときに片方だけ答える。あいだの辺すべてが答えです
領域が閉じていないのに最大値を探す。動かす向きに端がなければ存在しません
目的の式が二次なのに頂点だけ調べる。等高線が円になるので、辺の途中が答えになることがあります
頂点の座標を図から目分量で読む。連立して正確に求めます
個数の問題で整数条件を落とす。頂点が整数でなければ、近くの整数の点を調べます
最大値だけ書いて、とる場所を書かない。 の値まで答えます

参考文献

Quadratic function
Sign Analysis in Inequalities, Algebrica
Solve Quadratic Inequalities, Mathematics LibreTexts
Quadratic Inequalities, Third Space Learning
Inéquations du second degré, Wikiversité
不等式
目的の式を $k$ と置くと、$k$ ごとに $1$ 本の直線が決まります。$k$ を変えれば直線は平行に動き、領域から離れる寸前で止まる。内部の点も辺の途中もまだ動かせるので、止まるのは頂点だけです。頂点をすべて出して代入すれば図の読み違いも起きません。目的の式の傾きが境界と一致して辺全体が答えになる場合、領域が閉じていなくて最大値が存在しない場合、式が二次で頂点から外れる場合まで扱います。