円の方程式〜標準形と一般形は平方完成でつながる
円は「中心から等しい距離にある点の集まり」です。この一文をそのまま座標の式に書き下したものが、円の方程式になります。
中心を 、半径を とします。点 が円周上にあるとは、この点と中心の距離が に等しいということ。
根号のままでは扱いにくいので両辺を 乗します。左辺も右辺も 以上なので、 乗しても同値のまま。
これが標準形です。定義を書き写しただけなので、覚えるものというより、距離の式から毎回作れるものです。
点が円周をひとまわりしても、中心との距離は変わりません。点線の直角三角形の斜辺がその距離で、横の辺が 、縦の辺が 。
三平方の定理を当てれば、斜辺の 乗が になります。標準形の左辺は、この 乗された距離そのものです。
符号のずれに足をすくわれる
標準形は引き算の形で書きます。中心の座標が負のときは、引き算が足し算に見えます。
中心 、半径 の円は です。 は を計算した形。
右辺は半径の 乗なので であって ではありません。式から半径を読むときも、右辺の平方根をとります。
| 中心 、半径 | |
| 中心 、半径 | |
| 中心 、半径 | |
| 中心 、半径 |
いちばん下は半径が無理数の場合です。右辺は のままで、根号は書きません。
例:式から中心と半径を読む
を読みます。
は なので中心の 座標は 、 から 座標は 。中心は です。
右辺の は なので、。 を約分し忘れると、あとの計算で符号や係数がずれます。
なら中心は 、半径は 。 は の省略形です。
一般形は展開した姿
標準形を展開して整理すると、別の形が出てきます。
定数をまとめて書き直すと、次の形になります。
これが一般形です。 と の係数がどちらも で、 の項がないところが目印になります。
中心と半径がそのまま読めます。図を描くときや、距離を計算するときに使う形。
展開されているので中心も半径も見えません。連立方程式に代入したり、 円の式を引いたりするときに使いやすい形です。
どちらも同じ円を表しています。用途で行き来するので、変換の手順が要ります。
平方完成で標準形へ戻す
を標準形に直します。 の項どうし、 の項どうしをまとめます。
それぞれ平方完成します。 は 、 は です。
定数を右へ移します。
中心 、半径 の円でした。足した数を引いて帳尻を合わせるところが、平方完成の要です。

一般形も標準形も、描かれる円はこの つです。式の見た目が変わっただけで、図形は動きません。
一般形が円にならないこともある
を平方完成すると、右辺は つの数になります。この数が正でなければ、円は描けません。
右辺が正なら円、 なら中心の 点だけ、負なら満たす点が存在しません。左辺は つの平方の和なので、負にはならないためです。
ふつうの円です。半径は右辺の平方根になります。
つの平方がどちらも になる点だけ。半径 の円と呼ぶこともありますが、図形としては 点です。
左辺は 以上なので、等しくなる点がありません。この方程式を満たす実数の点は存在しない。
判定の条件は です。ただし、この式を覚えるより平方完成して右辺を見るほうが確実になります。
例:3 つの場合を見分ける
を調べます。平方完成すると次のとおり。
右辺が なので、これは点 だけを表します。円ではありません。
なら右辺は で負。満たす点はありません。
なら右辺は で、中心 、半径 の円です。定数項が 動くだけで、図形の姿が変わります。
係数がそろっているかを先に見る
一般形の目印は、 と の係数が等しく、 の項がないことです。
は係数が でそろっています。全体を で割れば一般形になる。
平方完成して 、中心 、半径 です。
は係数が違うので円ではありません。これは楕円を表します。 の項があれば、傾いた図形になる。
3 点を通る円を求める
通る点が つ与えられたら、一般形に代入して連立します。未知数は 、、 の つなので、式が 本あれば決まります。
点 、、 を通る円を求めます。
番目から 。これを 番目に入れると 、 番目に入れると です。
平方完成すると 。中心 、半径 の円です。
標準形に代入する手もありますが、、、 が 乗の中に入っているので式が二次になります。一般形なら 、、 について一次なので、連立が楽です。
直径の両端から作る
点 、 を直径の両端とする円は、中心と半径を出さずに書けます。
、 で試します。
展開して 、平方完成して です。
中心 は と の中点、半径 は の半分になっています。直径の両端という条件が、そのまま形に出ました。
中心に条件が付く場合
中心の位置に条件があるときは、中心を文字で置いてから距離の式を立てます。
点 、 を通り、中心が 軸上にある円を求めます。中心を とおきます。
中心から までの距離と までの距離が、どちらも半径なので等しい。
右辺を展開すると で、 より です。
半径の 乗は なので、円の方程式は次のようになります。
半径は 。中心が直線上にある、 軸に接する、といった条件は、中心を文字で置く形に持ち込めます。
が表す図形はどれですか。
- 中心 、半径 の円
- 中心 、半径 の円
- 中心 、半径 の円
- 表す点は存在しない
平行移動との関係
を 方向に 、 方向に だけ動かすと になります。
を に、 を に置き換える。これは円に限らず、どの図形の平行移動でも同じ手続きです。
移す向きと符号が逆に見えるところが引っかかりやすい。右へ動かすのに と引き算になるのは、動いた先の点から見て元の位置を指しているためです。
座標軸に接する円
軸に接するとは、中心から 軸までの距離が半径に等しいということです。中心 から 軸までの距離は 。
軸に接するなら です。どちらの軸に接するかで、中心のどちらの座標を見るかが決まります。

両方の軸に接する円を、第 象限で考えます。 軸にも 軸にも接するので となり、中心は です。
この円が点 を通る条件を書きます。
展開して整理すると 、因数分解して です。
と の つが出ました。図の小さい円と大きい円が、どちらも条件を満たしています。
答えが つ出たら、両方とも図に描いて確かめる。片方を捨てる理由がないなら、 つとも答えです。
例:半径が決まっている円
点 、 を通り、半径が の円を求めます。
中心は と から等距離にあるので、線分 の垂直二等分線 の上にあります。中心を と置きます。
中心から までの距離が半径なので、 乗して式にします。
となり、中心は と の つ。 軸をはさんで対称な位置に、同じ大きさの円が つできます。
円周上の点を角度で表す
半径 の円周上の点は、中心から見た角度 で書けます。
代入して確かめます。 となり、たしかに円の方程式を満たす。
この書き方だと、点を つの文字 で動かせます。円周上を動く点が絡む問題では、 と を別々に扱うより見通しがよくなることがあります。
検算は代入で足りる
出した式に、通るはずの点を入れ直します。左辺と右辺が一致すれば、その点は円周上にある。
点を通る円で求めた を確かめます。 を入れると で成立。 なら で成立します。
標準形に直したあとも、中心と半径が図と合うかを見ます。 の中心 から 点までの距離が、どれも になっていれば正しい。











平方完成すると (x+3)2+(y−1)2=9+1−6=4 です。右辺が正なので円になり、中心は (−3,1)、半径は 2 になります。