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2 直線が交わるか平行か垂直か、係数だけで見分ける|数学Ⅱ 図形と方程式

2 直線の関係は、式を解かなくても係数を見比べるだけで分かります。交わるか、平行か、重なっているか。この 3 つを分けるのは 1 つの値です。

、 と置いて、 を作ります。これが かどうかで話が二手に分かれる[4]。

傾きが等しいかどうかが分かれ目

まず傾きで考えます。 と の 2 本があるとします。

なら 1 点で交わります。 なら平行で、切片まで一致すれば同じ直線[2]。

傾きで話が済むなら一般形は要らないように見えます。ところが 軸に平行な直線は の形に書けないので、傾きだけでは全部を扱えません。

3 つの場合を図で見る

起こりうる形は 3 通りです。共有点が 1 個、0 個、無限個のどれかになります。

左から順に、交わる場合、平行な場合、一致する場合です。下に書いた数が共有点の個数にあたります。

一致は平行の特別な場合として扱う流儀と、別立てにする流儀があります。高校の問題文では「平行」と言われたら一致を除く場合がほとんど。

一般形の係数だけで判定する

軸に平行な直線も込みで扱うには、一般形のまま比べます。判定に使うのは次の値です。

なら 1 点で交わり、 なら平行か一致です[4]。 は 2 本の法線ベクトル と が平行かどうかを見ている量になります。

法線が平行でない。2 直線は 1 点で交わり、交点の座標は 1 通りに決まる

法線が平行。2 直線は平行か一致で、共有点は 0 個か無限個

平行と一致の区別には も要ります。 のもとで まで成り立てば一致、成り立たなければ平行です。

判定式は連立方程式の分母

の正体は連立 1 次方程式の分母です。2 本の式を解くと交点が次の形で出ます[4]。

分母が なら解が定まらない。この「定まらない」が、幾何では平行と一致の 2 つに分かれます。

公式として覚える必要はありません。実際の問題では代入法か加減法で解くほうが速い。 の意味だけつかんでおけば十分です。

例 1:交点を求める

と の交点を求めます。

で ではないので、交点は 1 つです。

第 2 式を として第 1 式に代入します。

なので、交点は です。両方の式に入れて になることを確かめておく。

例 2:平行になる定数を求める

と が平行になる を求めます。

平行の条件は なので、 から です。

このとき 2 本は と になります。後者を で割ると で、定数項だけが違う。一致ではなく平行だと確かめられました。

一致と平行はどこが違うか

一致とは、係数の 3 つ組が丸ごと比例している状態です。 と が定数倍の関係にある[3]。

平行は、はじめの 2 つだけが比例していて が外れている状態。式で書くと次のようになります。

交わる

。共有点は 1 個です。

平行

だが の比が違う。共有点はありません。

一致

。同じ直線を 2 通りに書いただけ。

比が使えるのは が混じらないときに限られます。 のような場合は比の形を避け、積の形 で書いておくほうが安全です。

例 3:一致するかどうかを見る

と を比べます。

なので、平行か一致のどちらか。

第 1 式を で割ると となり、第 2 式そのものです。したがって 2 本は一致し、共有点は無限にあります。

連立方程式として解くと という恒等式が残る。この形が出たら一致だと判断できます。

垂直の条件

傾きが両方とも存在するとき、垂直の条件は積が です[1][3]。

なぜ なのかは、直線を 回すと傾きがどう変わるかを見れば分かります。傾き の方向ベクトルは で、これを 回すと になる。

回した先の傾きは です。もとの と掛ければ になります。

傾きの積が になるところを見る

一方の直線を回してみると、積の値が を通り過ぎる瞬間があります。そこが直交する向きです。

積が に届いた瞬間だけ、動く直線の色が変わります。それ以外の角度では、どれだけ近くても直交していません。

の場合、つまり水平な直線には、この積の条件が使えない。相手は垂直な直線で、傾きが存在しないからです。

内積で書くと 1 行で済む

例外を作らない書き方が一般形です。法線ベクトル と の内積をとります[3]。

これが垂直の条件です。傾きが存在しない直線でも同じ式が働くので、場合分けが要らなくなります。

方向ベクトルで書いても同じことです。 と の内積も になる[2]。

のような直線には傾きがありません。それでも 法線ベクトル は書けるので、内積の条件はそのまま使えます。

一般形 の係数から作るベクトルで、直線に垂直な向きを指す。

例 4:垂直な直線を作る

点 を通り、 に垂直な直線を求めます。

もとの直線の法線は です。求める直線はこれに垂直なので、法線として がとれます。

内積で確かめると です。傾きで解くなら の逆数の符号を変えて を使いますが、係数の入れ替えのほうが速い。

例 5:垂線の足を求める

点 から直線 に下ろした垂線の足を求めます。

垂線は法線 の向きに進む直線なので、 を通る垂線は です。

2 本を連立します。 を代入すると から 、続いて 。

垂線の足は です。 からこの点へ向かうベクトルは で、法線 のちょうど 倍。向きがそろっているので、計算が合っていると確かめられます。

軸に平行な直線という例外

の形の直線は傾きを持ちません。傾きで場合分けする解き方では、ここだけ別扱いになります。

傾きで判定する

軸に平行な直線で破れる

一般形の係数で判定する

一般形なら と書けて、 です。判定式にも内積の条件にもそのまま入る。

問題文が を前提にしているときは、 の可能性を最初に確かめてから傾きの議論に入ります。

2 直線のなす角

交わる 2 直線は 2 種類の角を作ります。ふつうは鋭角のほうを「なす角」と呼びます。

傾きを使うと、 の加法定理から次の式が出ます。

分母が になるのは 、つまり直交するときです。 が定義されない状況が に対応している。

塗った扇形が です。角度が 度に近づくと が に近づき、 の値が急に大きくなります。

例 6:なす角を求める

と のなす角を求めます。

、 を代入します。

分母を でくくると になるので、値は です。したがって になります。

が 、 が の傾きなので、差が 。傾きの角度からも合っています。

平行な 2 直線の距離

平行な 2 本の距離は、片方の上の点をもう一方までの距離で測ります。 と なら次のとおり[5]。

係数 と をそろえてから引く、というところが要点です。そろえずに定数項だけ比べると値が合いません。

例 7:平行線の間の距離

と の距離を求めます。

第 2 式を で割って とします。これで と がそろいました。

答えは です。割り算を忘れて とすると になり、まったく違う値が出ます。

例 8:3 直線が 1 点で交わる条件

、、 が 1 点で交わる を求めます。

はじめの 2 本の交点を出します。辺々足すと から 、続いて 。

この点を第 3 式に入れます。

3 本のうち 2 本の交点を先に求め、残りがそこを通るかを見る。これが定石です。

と が垂直になる はどれですか。

__RESULT__

垂直の条件は法線 と の内積が になることです。 から が出ます。 は判定式 を満たす値で、こちらは平行になる場合。

垂直の判定は内積、平行の判定は判定式。この 2 本立てで覚えておくと、傾きが存在しない場合でも迷いません。

よくある誤り

平行の条件を だけで済ませる。一致する場合が混ざります。
軸に平行な直線を忘れる。傾きで場合分けするときは最初に確かめます。
垂直の条件を と覚える。正しくは です。
一般形の垂直条件を と書く。符号は両方とも正で足します。
平行線の距離で係数をそろえない。 と を一致させてから定数項を引きます。
なす角で鈍角のほうを答える。ふつうは鋭角を答えるので絶対値を付けます。
判定式が のときに一致と平行を区別しない。定数項まで比例するかを見ます。
3 直線の問題で 3 本を一度に連立する。2 本の交点を先に出すほうが速い。

係数だけを見る習慣がつくと、図を描かなくても関係が読めるようになります。

参考文献

Équation de droite
Gerade
直线
Line–line intersection
Distance from a point to a line
2 直線の関係は、連立方程式を解く前に係数だけで決まります。$a_1 b_2 - a_2 b_1$ が $0$ でなければ 1 点で交わり、$0$ なら平行か一致。区別するのは定数項まで比例しているかどうか。垂直の判定を傾きの積ではなく法線の内積で書くと、$y$ 軸に平行な直線でも例外が出ない。なす角、垂線の足、平行線どうしの距離、3 直線が 1 点で交わる条件まで、動く図と計算例で確かめます。