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English

不等式が表す領域 - 境界線のどちら側かを代入で決める

方程式が線を表すのに対して、不等式は面を表します。 本の直線ですが、 はその片側全体です。

どちら側かを決めるのは簡単で、境界に乗っていない点を つ選んで代入するだけ。値が正ならその点を含む側、負なら反対側になります。

選ぶ点は原点が手軽です。境界が原点を通っているときだけ、別の点に替えます。

直線をまたぐと符号が変わる

とします。境界の上では 、片側では正、もう片側では負。

境界を横切るときに を通るので、そこで符号が入れ替わります。同じ側にいるあいだは符号が変わりません。

点が直線を横切るたびに、値の符号と色が変わります。境界の上でちょうど

橙の側が 、青の側が です。原点は青い側にあるので、原点を代入すると負になります。

したがって の表す領域は、原点を含まない側になります。

について解ける形なら上下で読める

について解いた形にすると、代入せずに判定できます。 について解きます。

同じ に対して、境界より が大きい点の集まり。つまり直線の上側です。

境界の曲線より上側の領域。同じ を大きくとった点が集まります。

境界より下側の領域。 を小さくとった点の集まりです。

の係数が負のときは、割ったときに不等号が反転します。 なら となり、下側になる。

代入して確かめる方法なら、この反転を気にせずに済みます。どちらでも同じ答えに着くので、確実なほうを選べば足ります。

境界を含むかどうか

なら境界の線も領域に入ります。 なら入りません。

図示するときは、含むなら実線、含まないなら破線で境界を描きます。塗り分けだけでは伝わらないので、線の種類で示す決まりになっています。

境界を含みません。破線で描き、領域には入れない。

境界を含みます。実線で描き、線の上の点も答えに入ります。

連立するとき

不等式ごとに別々に判定します。片方が実線、もう片方が破線ということも起こる。

例:直線による領域

の表す領域を求めます。境界は 、つまり です。

原点を代入すると 。原点を含む側が答えになります。

について解いても確かめられます。 の両辺を で割ると不等号が反転して 。直線の下側で、原点はそこに入ります。

境界は なので実線。領域は「直線 とその下側」です。

円による領域

円の方程式も、等号を不等号に変えると領域になります。

左辺は中心からの距離の 乗です。それが より小さいとは、中心からの距離が より近いということ。つまり円の内部。

なら外部です。中心を代入すれば になるので、中心は必ず内部側に入ります。判定に迷ったら中心を使う。

左が内部、右が外部です。境界の円は破線なので、どちらにも入っていません。

なら実線になり、円周上の点も領域に入ります。円周は内部と外部の境目なので、どちらか一方にしか属せません。

放物線による領域

境界が曲線でも考え方は同じです。 なら、放物線 より上側。

原点で確かめます。 は成り立たないので、原点は領域に入りません。原点は放物線の上にあるので、境界そのものだったわけです。

で試すと で成立。この点は放物線の内側にあり、確かに上側です。

連立した領域は共通部分

複数の不等式を同時に満たす領域は、それぞれの領域の重なりになります。

を同時に満たす領域を求めます。

軸とその右側
軸とその上側
は直線 とその下側

つが重なるのは、 を頂点とする三角形の内部と周です。

本の境界がすべて実線なので、周も領域に含まれます。頂点の 点も入る。

不等式が つ増えるたびに領域は狭くなります。 本、 本と重ねれば、多角形の内部として囲われていく。

例:曲線どうしにはさまれた領域

かつ の表す領域を求めます。放物線の上側で、直線の下側。

境界の交点を出します。 を解きます。

です。交点は

領域はこの 点にはさまれた部分で、下が放物線、上が直線の木の葉のような形になります。 の範囲だけに広がる。

の範囲が自然に決まるところがこの型の特徴です。放物線が直線を追い越す位置が、そのまま領域の左右の端になります。

「または」でつなぐと合併になる

連立が重なりなら、「または」は合わせた形です。どちらか一方を満たせば領域に入ります。

または なら、半径 の円板と、半径 の円の外側。あいだのドーナツ状の部分だけが抜けます。

問題文が「かつ」なのか「または」なのかで、答えの図がまったく変わる。連立と書いてあれば「かつ」です。

積の形は符号の組み合わせ

のような形は、 つの因数の符号で場合分けします。積が正になるのは、両方正か両方負のとき。

かつ 、つまり かつ
かつ 、つまり かつ

番目は 直線 が作る つの区画のうち、右側の区画。 番目は左側の区画です。

答えは左右 つの区画を合わせた領域になります。上下の つは、積が負になるので入りません。

積が より小さい場合は、符号違いの組み合わせなので上下が答えです。因数が つ以上になっても、同じ数え方で決まります。

絶対値を含む領域

を図示します。絶対値は場合分けで外します。

かつ の範囲では なら 。同じように つの象限で 本の直線が出ます。

本を合わせると、 を頂点とする正方形になります。対角線が座標軸に乗った、傾いた正方形。

は原点からの「縦横に進む距離」なので、それが 以下の点の集まりだと読むこともできます。

の表す領域はどれですか。

  • 中心 、半径 の円の外部
  • 中心 、半径 の円の内部(周を含まない)
  • 中心 、半径 の円の内部
  • 中心 、半径 の円の内部
__RESULT__

平方完成すると です。中心からの距離が より近い点の集まりなので内部で、不等号に等号がないので周は含みません。

図示の手順

すべての境界を描く(実線か破線かを区別する)

境界に乗らない点を選んで代入し、どちら側かを決める

不等式ごとに片側を薄く塗る

すべてが重なる部分を濃く塗る

塗り分けの濃さで重なりを示すと、見た人にも自分にも分かります。最後にどこが答えかを言葉でも書き添えると、読み違いが減る。

境界が原点を通る場合は、原点以外の点を選びます。 なら が使いやすい。

よくある誤り

境界の実線と破線を区別しない。等号の有無が図に出ません
の係数が負のときに不等号を反転し忘れる。代入で決めるほうが安全です
境界が原点を通るのに原点を代入する。値が になるので判定できません
「かつ」と「または」を混同する。重なりと合併では図が別ものです
円の内部と外部を逆にする。中心を代入すれば になり、どちら側かがすぐ決まります
積の形で片方の場合しか調べない。積が正になる組み合わせは 通りあります
絶対値をそのまま外す。象限ごとに符号を確かめて場合分けします
交点を求めずに曲線どうしの領域を描く。 の範囲は交点で決まります

参考文献

Quadratic function
Circle
Sign Analysis in Inequalities, Algebrica
Solve Quadratic Inequalities, Mathematics LibreTexts
Inéquations du second degré, Wikiversité
Kreis (Geometrie))
方程式は線、不等式は面です。どちら側かは、境界に乗っていない点を $1$ つ代入すれば決まります。$y$ について解いて上下で読む道もありますが、係数が負のときの反転を考えずに済むぶん代入のほうが安全。円の内部と外部、放物線の上下、連立した重なり、「または」でつないだ合併、積の形の場合分け、絶対値を含む形まで、境界を実線と破線で描き分けながら図示します。