偶関数・奇関数の定積分の性質 - 高校数学Ⅱ
被積分関数が偶関数か奇関数かによって、対称区間 での定積分を簡単に処理できる性質があります。奇関数なら積分値は即座に 0、偶関数なら片側の 2 倍で済みます。計算量を大幅に減らせる場面が多いので、しっかり使いこなせるようになっておく価値があります。
偶関数と奇関数の復習
まず定義を確認しておきます。
すべての に対して が成り立つ関数。グラフは 軸について左右対称になる。
すべての に対して が成り立つ関数。グラフは原点について点対称になる。
たとえば 、 のように偶数次のべき乗は偶関数、、、 のように奇数次のべき乗は奇関数です。定数関数も を満たすので偶関数に分類されます。
奇関数の定積分:値は 0
奇関数 を対称区間 で積分すると、結果は必ず 0 になります。
グラフで考えるとわかりやすいです。奇関数は原点対称なので、 側で 軸の上にある部分と、 側で 軸の下にある部分がちょうど鏡合わせの関係になります。上側の面積(正)と下側の面積(負)が完全に打ち消し合うため、積分値は 0 です。
奇関数の性質の証明
区間を分割して確認します。
左側の積分 で と置換します。 で、 のとき なので、
が奇関数なので を代入すると、
よって、
となります。積分変数が でも でも値は同じなので、きれいに打ち消し合います。
偶関数の定積分:片側の 2 倍
偶関数 を対称区間 で積分すると、 での積分の 2 倍になります。
偶関数は 軸対称なので、左半分と右半分の面積がまったく同じです。片側だけ計算して 2 倍すれば全体の面積が得られます。
証明は奇関数のときと同じ流れです。 で と置換し、(偶関数の定義)を使うと、
となるので、
が得られます。
。左右が打ち消し合うので計算不要。
。片側を計算して 2 倍するだけで済む。
計算例 1:奇関数
を計算します。 は奇関数()なので、
一切の計算なしに答えが出ます。もちろん愚直に計算しても、
と確かに 0 ですが、奇関数の性質を知っていれば即答できます。
計算例 2:偶関数
を計算します。 は偶関数です。 なので が成り立ちます。
片側だけの計算で済むので、特に被積分関数が複雑なときほど効果が大きくなります。
計算例 3:偶関数と奇関数の混合
のように、偶関数の項と奇関数の項が混ざっている場合を考えます。
項ごとに分類すると、 と は偶関数、 と は奇関数です。対称区間 では奇関数の項の積分は 0 になるので、
さらに偶関数の性質を使って、
奇関数の項を無視してよいぶん、計算がかなり楽になっています。
使うための条件
この性質が使えるのは、積分区間が原点について対称な のときだけです。 や のような区間では、たとえ被積分関数が奇関数であっても積分値は 0 にはなりません。問題を見たときに「区間が対称かどうか」をまず確認する癖をつけておくと、この性質を見逃さずに活用できます。
の値はいくつですか?
f(x)=2x3−5x について f(−x)=2(−x)3−5(−x)=−2x3+5x=−f(x) なので奇関数です。対称区間 [−3,3] で奇関数を積分すると値は 0 になります。