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常用対数と桁数の求め方(2 の 100 乗は 31 桁)

は 31 桁の数です。かけ算をしないまま、この 31 が出せます。

使うのは という値だけ。 です。

整数部分の に を足して 31 桁。 の桁数は の整数部分より 大きい数になります[1]。

底が の対数を常用対数と呼びます。桁の話に最も向いているのは、 が桁を作る数だからです。

桁数が整数部分から出る理由

が 桁だという条件を、不等式で書き直します。

3 桁の数なら 。この形は桁数の定義そのものです。

各辺の常用対数をとると、真数が大きいほど値も大きいため向きは変わりません。

が 以上 未満。これは整数部分が だという意味です。

だから整数部分に を足せば桁数になる。 なら整数部分 、桁数は 3 です。

例: と

。整数部分 から 16 桁です。

。整数部分 なので 48 桁になります。

指数が大きくなるほど手計算では追えませんが、対数のほうはかけ算 1 回で済みます。

近似値の精度が足りているかは確かめておきます。 を とすると誤差は 程度で、 倍しても ほど。整数部分は動きません。

整数部分と小数部分が、別々の仕事をしています。桁数を決めるのが前、数字の並びを決めるのが後ろ。

小数の側でも同じ手が使える

は、小数第何位から でない数字が始まるでしょうか。

。負の値になります。

小数第 位から始まるという条件は、 です。

なので 。小数第 4 位から始まります。

実際 で、 が現れるのは小数第 4 位。桁数のときと同じ不等式を、負の側で読んだだけです。

最高位の数字は小数部分から出る

とすると、 と分けられます。

と ではさむと 。 は と のあいだにあり、先頭の数字は です。

小数部分だけが数字の並びを決めています。 のほうは桁をずらすだけで、並びに触れません。

なら で、小数部分は です。

と ではさむと 。 と のあいだなので、先頭の数字は になります。

区間の幅がそろっていません。 の区間は から まであり、 の区間は から までしかない。

先頭が 1 の数が多い

区間の幅がそのまま、先頭の数字の出やすさになります。先頭が になる割合は [2]。

0 5 10 15 20 25 30 35 1 2 3 4 5 6 7 8 9 30.1 17.6 12.5 9.7 7.9 6.7 5.8 5.1 4.6 先頭の数字が d になる割合(パーセント)

で始まる数はおよそ 30 パーセント、 で始まる数は 5 パーセントを切ります。均等なら 11 パーセントずつのはずです。

この偏りは、1881 年にニューカムが対数表の前半のページばかり汚れていることから気づき、1938 年にベンフォードが 20 種類のデータで確かめました[2]。

の列でも同じ偏りが出ます。 と並べると、先頭が のものが目立って多い。

近似値は 2 つあれば足りる

と 。この 2 つから、いくつもの値が作れます。

なので 。 が底なので を自由に使えます。

だけは と から作れません。 が別に与えられるのはそのためです。

例:何乗で桁が変わるか

が 20 桁になるのは、 がいくつのときでしょうか。

20 桁という条件は の整数部分が 、つまり です。

左から 、右から 。整数の は から までの 3 つ。

はおよそ で 19 桁、 はおよそ で 20 桁です。

桁が変わる境目を探す問題は、この形の不等式に落とせます。等号の位置だけ確かめれば、あとは割り算 2 回。

例:桁数で大小を比べる

と では、どちらが大きいでしょうか。実際に計算しなくても決まります。

、。前者が大きい。

常用対数は増える一方なので、対数の大小がそのまま数の大小になります。 が 31 桁、 が 29 桁。

桁数が違えば、それだけで勝負がつく。桁数が同じときだけ、小数部分まで見て比べます。

は 4 桁、 は 3 桁です。常用対数で見ると と で、順序は変わりません。

補足:底が になった経緯

最初の対数表は 1614 年のネイピアによるもので、底は ではありませんでした[3]。

、 とする形を提案したのはブリッグスで、1615 年にネイピアを訪ねて相談しています[4]。

1624 年の『対数算術』には、 から と から までの常用対数が小数 14 桁まで載りました[4]。

表に載せる値を から までに絞れたのも、この形のおかげです。整数部分は桁をずらすだけなので、小数部分の表さえあれば足りる[3]。

いま桁数を求めるときに整数部分と小数部分を分けて考えるのは、表を引いていたころの手つきがそのまま残ったものです。

とするとき、 は何桁ですか。

  • 9 桁
  • 10 桁
  • 11 桁
__RESULT__

です。整数部分が なので、桁数は になります。

とするとき、 の最高位の数字はどれですか。

__RESULT__

で、小数部分は です。 と ではさむと の区間に入るため、最高位は になります。

整数部分が桁を、小数部分が並びを持つ。常用対数の問題は、この分担を思い出すところから始まります。

出典

Number Length. Weisstein E W. MathWorld, Wolfram Research.
Benford's Law. Weisstein E W. MathWorld, Wolfram Research.
Logarithmen, Wissenswertes und Historisches. Duden Learnattack, Schülerlexikon Mathematik.
Henry Briggs. O'Connor J J, Robertson E F. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
$\log_{10} 2 = 0.3010$ さえあれば、$2^{100}$ が 31 桁だと掛け算なしで決まります。$10^{n-1} \leqq N < 10^{n}$ の各辺に常用対数をとると、整数部分がそのまま $n-1$ になるためです。整数部分は桁を、小数部分は数字の並びを持つ。この分担が見えると、小数第何位から $0$ でない数字が始まるかも、最高位の数字が何かも同じ道具で出せます。先頭が $1$ の数が 30 パーセントを占める偏り、$\log_{10} 2$ と $\log_{10} 3$ から他の値を作る手順、底が $10$ に決まった 1615 年の経緯まで。