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刻み幅 h を 0 へ近づけると微分係数が残る - 極限による定義

における微分係数は です。出し方は割り算を 1 回と、約分が 1 回。

ここで を限りなく に近づけると に寄ります。この行き先が微分係数です[1]

定義

における微分係数 は、次の極限で定めます[2]

分数の中身は区間 の平均変化率です。 へ送った先が微分係数になります。

は正でも負でもよく、 だけがだめ。分母が になるためです。

を先に入れてはいけない

をそのまま代入すると、分子も分母も になります。

は値が決まりません。 なら なら と、式によって行き先が変わるためです。

だから順番が決まっています。先に約分して を分母から消し、それから に近づける。

分子を展開する

分子と分母を で約分する

に近づける

約分できるのは、分子が必ず を因数に持つからです。 のとき になります。

がどれだけ小さくても より大きい。それでも近づく先は です。極限は到達点ではなく行き先を指します。

例: の一般の点

で同じ計算をします。文字のまま進めれば、どの点でも通じる式になる。

です。 を入れると になり、最初の計算と合います。

に書き直した が導関数。どの点の微分係数も、これに代入すれば出ます。

例:

分子の展開に を使います。

です。残るのは を含まない項だけ、と覚えると速い。

例:係数と定数がある式

での微分係数を出します。

です。

。定数の は引き算で消えるので、微分係数には効きません。

関数 での計算結果微分係数

例:直線と水平線

では です。

が残らないので、極限をとる前から に決まっています。直線の傾きはどこでも同じ。

のような定数関数なら分子が なので、微分係数も になります。

左からも右からも同じ値へ

に近づける道は 2 つあります。正の側から縮める道と、負の側から縮める道です。

なら、。どちらも に寄ります。

両側の行き先が一致するときだけ、微分係数があると言えます[3]

もう 1 つの書き方

と置くと、 です。この置きかえで定義が別の形になります[4]

に変わっただけで、意味は同じ。問題によって使いやすいほうを選びます。

で試すと となり、 です。

の形

が 1 か所にまとまるので、展開して約分する流れが作りやすい

の形

因数分解で を出す形。 のように使える

拡大すると直線に見える

微分係数がある点のまわりを強く拡大すると、曲線は直線に近づいていきます。

その直線の傾きが微分係数です。曲がっているものを、狭い範囲でまっすぐと見なす作業になります。

青い曲線と赤い直線が、拡大するにつれて見分けられなくなります。この重なり具合が微分係数の中身です。

補足:どこでも寄るとは限らない

尖った点では、左から寄せた値と右から寄せた値が食い違います。

では、右から寄せると 、左から寄せると 。行き先が 2 つあるので微分係数がありません[3]

数学 II で扱う多項式にはこうした点がなく、どこでも微分できます。折れ目や切れ目のある関数を相手にしたときだけ起こる話です。

における微分係数はいくつですか。

__RESULT__

なので、 で割ると です。 の値、 だけを微分した値にあたります。

展開して、約分して、 へ送る。この 3 手はどの多項式でも変わりません。

出典

Paul Dawkins. *The Definition of the Derivative*. Paul's Online Notes, Lamar University.
Differentialquotient. Serlo, Lernplattform für Mathematik.
Josef Leydold. *Kapitel 7: Differentialrechnung*. Mathematik für VW, Wirtschaftsuniversität Wien.
3.1 Defining the Derivative. Calculus Volume 1, OpenStax.
$x^2$ の $x = 3$ での微分係数が 6 になるまでに要るのは、展開と約分と極限の 3 手です。$h = 0$ を先に代入すると $\dfrac{0}{0}$ になり値が決まりません。約分して $6 + h$ にしてから $0$ へ送る、という順番になる。$x^3$ なら $3a^2 + 3ah + h^2$ から $3a^2$、$3x^2 - 2x + 5$ なら $6a - 2$ が残り、定数項は引き算で消えます。$h$ を正の側からと負の側から寄せて行き先が一致すること、$x \to a$ に書き換えた形、拡大すると放物線が直線に見えることまで扱いました。