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1 から 10 で 6 個選ぶと必ず割り切れる組ができる、部屋割り論法という道具

から の中から 6 個どう選んでも、一方が他方を割り切る 2 数が必ず含まれます。 なら

選び方は 210 通りありますが、1 つずつ確かめる必要はありません。箱を 5 つ用意して、6 個を入れるだけで済みます。

原理そのもの

個のものを 個の箱に入れ、 なら、2 個以上入る箱が必ずあります[1]

当たり前に見える主張です。使いにくさは別のところにあり、何を箱にするかを自分で決めなければなりません[2]

箱の個数が「調べたい条件の種類の数」になるように選ぶ。ここが唯一の工夫どころです。

個までは、余りをすべて別にして入れられます。 個目で必ずぶつかる。

例:差が 11 の倍数になる 2 数

2 桁の数を 12 個選ぶと、差が の倍数になる 2 数が必ずあります[2]

で割った余りは から の 11 通り。これを箱にします。12 個を 11 個の箱に入れるので、同じ箱に 2 個入る。

同じ余りの 2 数は、差が で割り切れます。2 桁の数の差なので、 のようにゾロ目になる。

例:同じ余りの 2 数を作る

一般化すると、 個の箱の話になります。整数を 個選べば、 で割った余りが等しい 2 数が必ずある。

余りは から 通りしかないためです。差が の倍数になる 2 数が手に入ります。

なら、 個の整数から下 2 桁が一致する 2 数を選び出せる。数の大きさは関係ありません。

例:一方が他方を割り切る組

から の中から 個選ぶと、一方が他方を割り切る 2 数が必ずあります。 なら冒頭の主張です。

箱に使うのは、各数から をすべて割り出したあとに残る奇数の部分。 なら なら です。

から の中の奇数は 個。箱は 個しかありません。

同じ箱に入った 2 数は、奇数の部分が同じで のべきだけが違います。 なら、 を割り切る。

個を 個の箱に入れるので、同じ箱の 2 数が必ず現れる。これで示せました。

から の中からなら、割り切れる組を作らずに選べます。

から までの 個をとると、どの 2 数も比が 未満なので割り切れない。 個という条件はぎりぎりです。

例:連続する何個かの和

整数を 個並べたとき、連続する何個かの和が の倍数になるものが必ずあります。

箱にするのは部分和の余り。 と作ると、 から まで 個できます。

余りは 通りなので、等しくなる 2 つがある。 なら差の の倍数で、これが連続する和です。

が、どちらも で割ると余り 。差の が、 番目と 番目の和にあたります。

例:3 個選んで和を 3 の倍数にする

整数を 5 個どう並べても、その中の 3 個で和が の倍数になるものがあります。

箱は で割った余りの の 3 つ。どれかの箱に 3 個以上入っていれば、その 3 個を選べば和が の倍数です。

そうでなければ、どの箱も 2 個以下。 なので、少なくとも 3 つの箱に 1 個ずつ入っています。

各箱から 1 個ずつとれば、余りの和は の倍数。どちらに転んでも見つかりました。

例:整数に近い倍数を作る

無理数 に対し、 を小数部分とします。 個を並べる。

区間 等分すると箱が 個。 個を入れるので、同じ箱に 2 つ入ります[3]

その 2 つの差をとると、ある整数倍が整数にきわめて近いと分かる。有理数による近似の精度が、これで押さえられます。

箱の選び方

うまくいく箱は、たいてい「余り」か「型で分けたもの」です。

何が有限通りかを見つける

それを箱にする

ものの個数が箱より多いことを示す

奇数部分で分けたのも、部分和の余りで分けたのも、同じ形です。有限通りに落とす一手が見つかれば、あとは数を比べるだけ。

答えを確かめる

主張がぎりぎりかどうかを、境目で確かめます。 から なら、 から の 5 個には割り切れる組がありません。

個にすると必ず現れる。 個では作れて 個では作れない、という形になっていれば、条件が最良だと分かります。

箱の個数を数え違えていないかも見ます。 で割った余りは から の 11 通りで、 通りではありません。

から までの整数から何個選べば、一方が他方を割り切る 2 数が必ず含まれますか。

  • 10 個
  • 11 個
  • 20 個
__RESULT__

奇数部分は の 10 通りなので箱は 10 個。11 個選べば必ず同じ箱に 2 つ入ります。10 個なら から を選べば作れません。

まちがえやすい点

箱の個数を 1 つ数え違える。余りが から なら 通りです。
「必ず 2 個入る箱がある」を「すべての箱に 2 個入る」と読む。1 つあれば十分です。
どの 2 数が重なるかを特定しようとする。存在だけが言えて、場所は分かりません。
個でも成り立つと思い込む。 個という条件がぎりぎりのことが多い。
部分和に を入れ忘れる。 個そろわないと結論が出ません。
箱を「数そのもの」にしてしまう。有限通りに落とす分け方を探します。
条件をみたす例を 1 つ挙げて証明とする。どの選び方でも成り立つことを示します。

有限通りに落とす分け方を 1 つ見つける。難しいのはそこだけで、見つかったあとの議論は 2 行で終わります。

出典

Pigeonhole principle - Wikipedia
Schubfachprinzip - Wikipedia
Principe des tiroirs - Wikipédia
$1$ から $10$ の 6 個をどう選んでも、一方が他方を割り切る 2 数が入ってきます。選び方は 210 通りありますが、$2$ で割り切ったあとに残る奇数を箱にすれば、箱は 5 つしかない。6 個を入れればどこかが重なる、それだけの話です。2 桁の数を 12 個選ぶと差が $11$ の倍数になる組ができること、整数を $n$ 個並べると連続する何個かの和が $n$ の倍数になること、5 個から 3 個選んで和を $3$ の倍数にできることまで並べました。難しいのは、何を箱にするかを見つけるところだけ。