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合同式とモジュロ演算:余りの計算と割り算ができる条件

で割った余りは です。 も、 で割れば余りは 。余りだけを見る立場では、この 3 つを区別しません。

同じ余りになる 2 数を と書きます。定義は、差の の倍数だということ。

で割った余りは から の 5 通りしかありません。整数をこの 5 か所に振り分けたものが、 を法とする世界です。

足し算とかけ算は先に余りにしてよい

かつ なら、 が成り立つ。大きな数のまま計算せず、先に余りへ落としてよい。

で割った余りを求めます。 です。

で、確かに余りは 。かけ算を先にすると 5 桁になるところが、 で済みました。

引き算も通る。 で、 だから です。

かけ算の表を並べる

から までの積を で割った余りと、 から までの積を で割った余りを並べます。

の表では、 の行を除いてどの行にも が 1 度ずつ現れる。 の表はそうなりません。

割り算ができる相手、できない相手

です。 をかけて に戻す数が だから、 を法とする世界で で割ることは、 をかけることと同じになる。

を法とすると事情が変わる。 の行は の 4 つだけで、 がどこにも現れません。

を満たす がないため、 で割るという操作そのものが置けない。

でない 2 つをかけて になる

を法とすると です。 ではないのに、2 つかけると に落ちる。

を法とすれば 。実数では、 ならば のどちらかが でした。余りの世界では違います。

こうなるのは法が素数でないときに限られます[1]。法が合成数なら と分けられ、その をかけた時点で に落ちる。

割り算ができる条件

で割れるかどうかは、 を満たす があるかどうかで決まる。

とは、 の倍数だということ。 と置けば、次の形に直せます。

この式に整数解があるのは、 が互いに素なときに限ります[2]

両方の向きを確かめます。 が成り立つなら、 の公約数は左辺を割るため も割る。だから公約数は だけ。

逆に が互いに素なら、互除法を逆にたどれば の形に届きます。

例:互除法で の相手を見つける

を解きます。まず に互除法をあてる。

余りが になったため、 は互いに素です。ここから逆にたどる。

の倍数だから に落ち、 が残る。 だから です。

で、確かに に戻りました。

法が素数なら 以外はすべて割れる

を素数とし、 とします。 の最大公約数は の約数だから、 のどちらか。

より小さいため では割れません。残るのは だけで、 は互いに素になる[2]

を法とすると、かけて になる数はこう並びます。

から まで、どれにも相手がいる。法が素数なら、 以外のどれでも割り算ができる。

例: を解く

とかけて になるのは です。両辺に をかける。

を使いました。 なので、確かに に戻ります。

を法として、 とかけて になる数はどれですか。

  • そういう数はない
__RESULT__

です。 の最大公約数が なので、相手はかならず見つかります。 では では にしかなりません。

解が 個にも 3 個にもなる

には解がありません。 と直すと、左辺は偶数で右辺は奇数だから。

原因は、 の最大公約数が で、 を割れないところです。

のほうは解が 3 つある。 のどれでも成り立つ。

の最大公約数は で、右辺の を割る。両辺と法を で割った からは に決まり、これを の中で数え直すと 3 つに分かれる。

1 次方程式の感覚では、解は 1 つに決まるものでした。余りの世界では 個にも複数にもなります。

は互いに素なので、 ずつ進むと か所すべてを通る。途中に が現れるため、 で割ることもできる。

の最大公約数は です。 ずつ進むと の 3 か所で閉じてしまい、 を踏みません。

を法として、 を満たす整数 はどれですか。

  • そういう はない
__RESULT__

の最大公約数は です。 と直すと左辺は の倍数、右辺は で、等号が成り立ちません。 の余りは の 5 通りだけで、 はその中にない。

記号の由来

を持ちこんだのはガウスで、1801 年の Disquisitiones Arithmeticae の第 1 節にあたります[3]

その第 2 条で記号を導入し、 を例に挙げている。負の数でも同じように使えることを、最初の例で見せています。

同じ場所の注に、選んだ理由も書いてある。等式と合同のあいだにある類似が大きいから、この記号にしたということ。

ルジャンドルは等号そのものを合同の意味で使っていました。ガウスは、等号のままではあいまいになるとして に替えたと述べています。

足し算と引き算とかけ算は、法がいくつでも通る。割り算だけが相手を選び、その相手を決めているのは法との最大公約数です。

参考

Elementare Zahlentheorie 3. Der Restklassenring Z/n und seine Einheitengruppe. Universität Bielefeld, WS 2006/07.
Conrad K. Modular Arithmetic. University of Connecticut.
Gauss C F. Disquisitiones Arithmeticae. Lipsiae, 1801, art. 1-2. Internet Archive.
$17$ と $27$ は $5$ で割った余りがどちらも $2$ で、$17 \equiv 2 \pmod{5}$ と書きます。足し算・引き算・かけ算は先に余りへ落としてよく、法がいくつでも通る。割り算だけが相手を選ぶ。$5$ を法とすれば $2 \times 3 \equiv 1$ だから $2$ で割れますが、$4$ を法とすると $2x \equiv 1$ を満たす $x$ がありません。剰余の世界で $a$ で割れるのは $a$ と法が互いに素なときで、その $x$ は互除法で見つかります。法が素数なら $0$ 以外のどれでも割れる。$\equiv$ を導入したガウス自身の理由まで。