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余りで詰めて無限降下で落とす - 整数解がないことを証明する

をみたす整数の組は だけです。ほかには 1 つもありません。

「解が見つからない」ではなく「存在しない」を示します。使う道具は 2 つで、余りによる絞り込みと、解を小さくしていく降下です。

まず 3 で割った余りを見る

平方を で割った余りは か に限られます。 なら 、 なら 。

は現れません。ここから、左辺の が の倍数になる場合が絞られます。

通りのうち、和が の倍数になるのは と の両方が の倍数のときだけ。右辺は なので の倍数です。

したがって も も で割り切れます。ここが最初の関門でした。

降下させる

、 と置いて代入します。

左辺が の倍数なので も の倍数。平方が の倍数なら、もとの数も の倍数です。

と置くと となり、。

もとの式に戻りました。 が解なら も解になります[1]。

でない解が 1 つでもあれば、そこから無限に小さい正の解の列が作れてしまいます。正の整数にそんな列はありません[2]。

だから でない解は存在しない。残るのは だけです。

無限降下という道具

この筋道を無限降下といいます。解があると仮定し、そこからより小さい解を作り、正の整数が無限に下がれない事実にぶつける[3]。

背理法の一種ですが、矛盾の出し方が決まっている点が違います。作るのは「もっと小さい解」で、そこだけに集中すればよい。

解があると仮定する

そこからより小さい解を作る

無限に小さくできないので矛盾

例:2 の平方根が無理数

と書けたとします。両辺を 2 乗して [2]。

左辺が偶数なので は偶数。 と置くと となり 。

今度は が偶数になります。 と置けば で、分母も分子も小さくなった[3]。

これをくり返すと分母が無限に小さくなります。正の整数では起きないので、 は分数で書けません。

例:3 乗の方程式

をみたす整数は だけです。今度は で降下します。

と が偶数なので も偶数、よって は偶数。 と置くと で、整理して 。

同じ理屈で が偶数、続いて も偶数だと分かります。、 を代入すると 。

もとの形に戻りました。すべてを で割った組がまた解になるので、 でない解は作れません。

例:余りだけで終わる場合

いつも降下が要るわけではありません。 には整数解がなく、これは余りだけで片づきます。

で割って見ると、左辺は の余りと同じ。 の余りは か です。

右辺の は余り 。一致しないので、解はありません。降下に進む前に終わりました。

余りだけで終わる

どこかの で、左辺と右辺の余りが決して一致しない

降下が要る

余りは一致しうるが、そこから共通因数が出て、より小さい解が作れる

例:4 で割ると 3 余る数

が で割って 余ることはありません。平方を で割った余りは か だからです。

和として作れるのは 、、 の 3 通り。 は届きません。

だから の形の方程式は、 が何であっても解を持たない。、、 などが 2 つの平方の和にならない理由です。

どの数で割るかを決める

見るべき は、式の係数から見当がつきます。 があるなら 、 があるなら 。

平方が出てくるときは 、、 が効きます。3 乗なら 、 が効くことが多い。

うまくいく では、右辺のとる余りが左辺のとりうる余りの外にあります。小さい から順に試すのが早い。

検算

余りの表を作り直して確かめます。 の余りを で見るなら、 の 3 通りで足ります。

降下を使ったときは、割ったあとの式がもとと同じ形かを見ます。形が変われば降下になりません。

が解になっているかも確かめる。 では が解なので、「解なし」ではなく「 だけ」が答えです。

をみたす でない整数の組があるかどうかを調べるとき、まずどの数で割った余りを見るのが有効ですか。

  • 3 で割った余り
  • 7 で割った余り
  • 4 で割った余り
__RESULT__

右辺に があるので、 で割った余りを見ます。平方を で割った余りは 、、、 で、和が になるのは両方 のときだけ。ここから降下に入れます。

よくあるミス

余りが一致しないことだけを見て、降下の必要な問題まで終わらせる。
が の倍数だと示したあと、 について同じ確認をしない。
が の倍数から が の倍数を導く根拠を書かない。 が素数だから言えます。
降下したあとの式が、もとと同じ形かを確かめない。形が変われば降下は止まります。
を解から外して「解なし」と答える。 は解です。
平方の余りを 通りすべて調べずに、いくつかで止める。
無限降下を「小さい解から大きい解を作る」向きで書く。向きは逆です。

余りで候補を削り、残ったところから共通因数を引き出す。この 2 段構えで、解の不在という強い主張が示せます。

参考

Proof by infinite descent - Wikipedia
Unendlicher Abstieg - Wikipedia
Descente infinie - Wikipédia
$x^2 + y^2 = 3z^2$ をみたす整数は $(0,0,0)$ だけです。平方を $3$ で割った余りは $0$ か $1$ しかないので、和が $3$ の倍数になるのは両方とも $3$ の倍数のときに限られる。すると $z$ も $3$ の倍数になり、3 つを $3$ で割った組がまた解になります。正の整数は無限に小さくできないので、$0$ でない解は作れない。$\sqrt{2}$ が無理数である証明、$x^3 + 2y^3 = 4z^3$ での $2$ による降下、余りだけで終わる $x^2 - 3y^2 = 2$ との違い、どの数で割るかの見当のつけ方まで。