有理数の範囲か実数の範囲か!因数分解をどこまで進めるかの分かれ目
を「因数分解できない」と答えるのは、係数を有理数に限ったときの話です。
実数まで使ってよいなら分かれます。 と見れば、2 乗の差です。
同じ式が、範囲によって分かれたり分かれなかったりします。「どこまで分けるか」は、係数にどの数を許すかで決まる。
分かれるかどうかは範囲つきで決まる
は で、係数が整数のまま分かれます。範囲を広げても、これ以上細かくなりません。
は有理数では止まり、実数で分かれます。 は実数でも止まります。

内側の範囲で分かれる式は、外側でも分かれます。逆は成り立ちません。
有理数の範囲は判別式が平方数か
が有理数の係数で 2 つに分かれるのは、判別式が平方数のときです。
なら で、。分かれます。
なら 。 は平方数ではないため、有理数では分かれません。
が無理数なので、解の公式に入れると根号が残ります。
| 範囲 | 分かれる条件 | 例 |
|---|---|---|
| 有理数 | が平方数 | |
| 実数 | ||
| 複素数 | いつでも分かれる |
実数の範囲は判別式が 以上か
なら、解の公式で求めた 2 つの実数を使って と書けます。
は で正です。解は 。
展開すると で、もとの式に戻ります。
有理数の範囲では が平方数でないため、ここまで進めません。
例: を 3 段階で見る
まず 2 乗の差として分けます。有理数の係数のままです。
実数まで広げると が分かれます。 は で、実数では止まる。
複素数まで広げると も分かれます。範囲を 1 つ上げるたびに、かっこが 1 つずつ増えました。
複素数まで使うと、 次式は必ず 個の 1 次式の積になります。 なら 4 つ。
実数では 2 次式が残ることがある
実数の係数に限ると、1 次式だけには分かれません。判別式が負の 2 次式が残ります。
、、 がその例です。どれも実数の範囲では最後の形。
逆にいえば、実数の範囲での因数分解は 1 次式と 2 次式だけで書けます。3 次以上のかっこが残ることはありません。
1 次式と、判別式が負の 2 次式に分かれる。そこで止まる
すべて 1 次式に分かれる。次数の数だけかっこが並ぶ
例:
有理数の範囲で に分かれます。どちらのかっこも判別式が 。
実数まで広げても、この形のままです。範囲を広げれば必ず細かくなる、とはかぎりません。
分かれるかどうかは、そのつど判別式で確かめます。
例:3 次以上でも同じ
は有理数では分かれません。実数なら を使えます。
立方の差の公式に を当てた形です。 になります。
後ろのかっこの判別式は で負なので、実数ではここまで。
断りがなければ内側の範囲
高校の問題で「因数分解せよ」とあれば、係数は整数か有理数の範囲で答えます。
を と書くのは、範囲の指定があるときだけです。
問題文に範囲が書いてあれば、それに従います。書いていなければ内側でとどめる。
「これ以上分かれない」は、どの範囲での話かを決めてはじめて意味をもちます。
は有理数では最後の形で、実数では途中の形。
整数と有理数はほとんど同じ
は有理数の係数で と分かれます。
全体を 倍すれば で、整数の係数になります。分数は定数倍で消せる。
だから整数の範囲と有理数の範囲では、分かれるかどうかが変わりません。答えを書くときは整数係数にそろえます。
は です。 とも書けますが、整数の形を選びます。
例:
2 項しかないのに、有理数の係数で 2 つの 2 次式に分かれます。 を足して引くと平方の差になる。
どちらのかっこも判別式が です。実数の範囲では、ここが最後の形になります。
和の形だから分かれない、という見当は当てになりません。次数が上がると、平方の差に持ちこめることがあります。
| 実数では分かれない | |
| 有理数で 2 つの 2 次式に分かれる | |
| 有理数では止まり、実数で分かれる | |
| 有理数で分かれ、実数ではそこまで |
よくある誤り
範囲を確かめずに根号を持ちこむ形と、逆に止めすぎる形があります。
3 番目は のような式で起きます。 が平方数なので、有理数の範囲で分かれます。
を有理数の係数で因数分解できますか。
- できる
- できない
- の係数によって変わる
実数の範囲での因数分解で、残ることがあるのはどれですか。
- 判別式が負の 2 次式
- 3 次式
- 判別式が正の 2 次式
判別式が正なら 2 つの 1 次式に分かれ、3 次以上はさらに分かれます。残るのは判別式が負の 2 次式だけです。
「因数分解できない」と書く前に、どの範囲の話かを確かめます。範囲が指定されていなければ、判別式が平方数かどうかがそのまま答えになります。










D=28 で平方数ではないため、有理数の範囲では分かれません。実数まで広げると (x+7)(x−7) です。