NOT と AND の使い方|記号論理学における否定と連言

命題論理では、単純な命題を組み合わせて複合命題を作ります。その基本となるのが否定(NOT)と連言(AND)です。これらは最も基礎的な論理結合子であり、他の論理演算を定義する際にも使われます。

否定(NOT)とは何か

否定(negation)は、命題の真偽を反転させる操作です。命題 p の否定は「p でない」を意味し、記号では ¬p や ~p、!p などと書きます。この講座では ¬p を使います。

p が真であれば ¬p は偽になり、p が偽であれば ¬p は真になります。これを表にまとめると次のようになります。

p¬p
TF
FT

たとえば p を「今日は雨だ」とすると、¬p は「今日は雨ではない」になります。今日が実際に雨なら p は真で ¬p は偽、晴れなら p は偽で ¬p は真です。

二重否定について

否定を2回適用すると、元の命題と同じ真理値になります。これを二重否定と呼びます。

¬(¬p) は p と論理的に同値です。「雨ではない、ということはない」は「雨である」と同じ意味になります。

二重否定 ¬(¬p)

p が真のとき、¬p は偽、¬(¬p) は真。p が偽のとき、¬p は真、¬(¬p) は偽。結局 p と同じ。

元の命題 p

二重否定を除去しても真理値は変わらない。

連言(AND)とは何か

連言(conjunction)は、2つの命題が両方とも真であるときに限り真になる操作です。「p かつ q」を意味し、記号では p ∧ q や p & q、p · q などと書きます。この講座では p ∧ q を使います。

連言 p ∧ q は、p と q の両方が真のときだけ真になります。どちらか一方でも偽であれば、連言全体は偽になります。

pqp ∧ q
TTT
TFF
FTF
FFF

たとえば p を「コーヒーがある」、q を「砂糖がある」とすると、p ∧ q は「コーヒーがあって、かつ砂糖がある」です。両方揃っているときだけ真になります。

連言の性質

連言にはいくつかの重要な性質があります。

交換法則が成り立ちます。p ∧ q と q ∧ p は常に同じ真理値を持ちます。「AかつB」と「BかつA」は論理的に同じ意味です。

結合法則も成り立ちます。(p ∧ q) ∧ r と p ∧ (q ∧ r) は常に同じ真理値を持ちます。3つ以上の命題を連言で結ぶとき、括弧の位置は結果に影響しません。

交換法則

p ∧ q ≡ q ∧ p(順序を入れ替えても同値)

結合法則

(p ∧ q) ∧ r ≡ p ∧ (q ∧ r)(括弧の位置を変えても同値)

否定と連言の組み合わせ

否定と連言を組み合わせることで、より複雑な命題を表現できます。

¬(p ∧ q) は「p かつ q ではない」を意味します。これは p と q の少なくとも一方が偽であることを示しています。

¬p ∧ ¬q は「p でなく、かつ q でない」を意味します。これは p も q も両方とも偽であることを示しています。

この2つは異なる意味を持つことに注意してください。¬(p ∧ q) と ¬p ∧ ¬q は論理的に同値ではありません。

ド・モルガンの法則(予告)

否定と連言の関係を示す重要な法則として、ド・モルガンの法則があります。詳しくは選言を学んだ後に扱いますが、¬(p ∧ q) は ¬p ∨ ¬q と論理的に同値になります。ここで ∨ は選言(OR)を表す記号です。

次回は、この選言について詳しく学びます。