OR の意味と排他的選言との違い - 記号論理学

前回は否定と連言を学びました。今回は選言(OR)を扱います。選言には「包含的選言」と「排他的選言」の2種類があり、その違いを理解することが重要です。

選言(OR)とは何か

選言(disjunction)は、2つの命題のうち少なくとも一方が真であれば真になる操作です。「p または q」を意味し、記号では p ∨ q と書きます。

日常言語の「または」には曖昧さがあります。「コーヒーまたは紅茶をお選びください」と言われたとき、両方選んでもよいのか、それとも片方だけなのか。論理学ではこの区別を明確にします。

包含的選言

記号論理学で標準的に使われる選言は「包含的選言」(inclusive disjunction)です。p ∨ q は、p と q の少なくとも一方が真であれば真になります。両方とも真の場合も含みます。

pqp ∨ q
TTT
TFT
FTT
FFF

包含的選言は「p か q の少なくとも一方」という意味です。両方成り立っていても構いません。「明日は雨か曇りだろう」という文で、実際に雨かつ曇り(にわか雨)になったとしても、この予測は正しかったことになります。

排他的選言

一方、「排他的選言」(exclusive disjunction)は、p と q のちょうど一方だけが真のときに真になります。記号では p ⊕ q や p XOR q と書きます。

pqp ⊕ q
TTF
TFT
FTT
FFF

排他的選言は「p か q のどちらか一方だけ」という意味です。両方成り立つ場合は偽になります。「チョコレートかバニラのどちらかを選んでください」のように、一方だけを選ばせる場面で使われます。

包含的選言 p ∨ q

少なくとも一方が真なら真。両方真でも真。論理学の標準。

排他的選言 p ⊕ q

ちょうど一方だけが真のとき真。両方真なら偽。日常の「どちらか一方」に近い。

選言の性質

包含的選言には、連言と同様の性質があります。

交換法則が成り立ちます。p ∨ q と q ∨ p は常に同じ真理値を持ちます。

結合法則も成り立ちます。(p ∨ q) ∨ r と p ∨ (q ∨ r) は常に同じ真理値を持ちます。

さらに、連言と選言の間には分配法則が成り立ちます。p ∧ (q ∨ r) は (p ∧ q) ∨ (p ∧ r) と同値であり、p ∨ (q ∧ r) は (p ∨ q) ∧ (p ∨ r) と同値です。

ド・モルガンの法則

否定と選言・連言の関係を示す重要な法則が、ド・モルガンの法則です。

第一法則

¬(p ∧ q) ≡ ¬p ∨ ¬q(「両方ではない」は「少なくとも一方が否定」)

第二法則

¬(p ∨ q) ≡ ¬p ∧ ¬q(「どちらでもない」は「両方とも否定」)

たとえば「彼は医者かつ弁護士ではない」は「彼は医者でないか、または弁護士でない(あるいは両方)」と同じ意味になります。

排他的選言の表現

排他的選言 p ⊕ q は、包含的選言と否定・連言を使って表現できます。

p ⊕ q ≡ (p ∨ q) ∧ ¬(p ∧ q)

これは「p または q であり、かつ p かつ q ではない」という意味で、まさに「どちらか一方だけ」を表しています。

別の表現として、p ⊕ q ≡ (p ∧ ¬q) ∨ (¬p ∧ q) もあります。これは「p が真で q が偽、または p が偽で q が真」という意味です。

次回は、論理学で最も重要な結合子の一つである含意(ならば)について学びます。