トートロジーと矛盾|常に真な式・常に偽な式を学ぶ - 記号論理学

トートロジー(恒真式)と矛盾(恒偽式)は、論理式の重要な分類です。命題変数にどんな真理値を代入しても常に同じ結果になる論理式であり、論理学の基礎を理解する上で欠かせない概念です。

トートロジーとは何か

トートロジー(tautology)とは、命題変数にどのような真理値を代入しても、常に真になる論理式のことです。恒真式とも呼ばれます。

最も基本的なトートロジーは p ∨ ¬p です。これは「p または p でない」を意味し、排中律と呼ばれます。p が真なら左側が真、p が偽なら右側が真なので、どちらにしても全体は真になります。

p¬pp ∨ ¬p
TFT
FTT

このように、真理値表のすべての行で結果が T になる論理式がトートロジーです。

代表的なトートロジー

記号論理学には多くの重要なトートロジーがあります。いくつか紹介しましょう。

排中律

p ∨ ¬p(p であるか p でないかのどちらかは必ず成り立つ)

同一律

p → p(p ならば p)

二重否定除去

¬¬p → p(p でないことがないなら p)

対偶律

(p → q) → (¬q → ¬p)(p ならば q なら、q でないなら p でない)

これらはすべて、真理値表を作るとすべての行が T になります。

矛盾とは何か

矛盾(contradiction)とは、命題変数にどのような真理値を代入しても、常に偽になる論理式のことです。恒偽式とも呼ばれます。

最も基本的な矛盾は p ∧ ¬p です。これは「p かつ p でない」を意味します。p が真なら ¬p は偽、p が偽なら p 自体が偽なので、連言は必ず偽になります。

p¬pp ∧ ¬p
TFF
FTF

真理値表のすべての行で結果が F になる論理式が矛盾です。

偶然的な論理式

トートロジーでも矛盾でもない論理式は、偶然的(contingent)と呼ばれます。真理値表に T と F の両方が現れる論理式です。

たとえば p → q は偶然的です。p が T で q が F のときだけ F になり、それ以外は T になります。命題変数への代入によって真偽が変わるのが偶然的な論理式の特徴です。

トートロジー

すべての行が T。論理的に必ず真。

矛盾

すべての行が F。論理的に必ず偽。

トートロジーと矛盾の関係

トートロジーの否定は矛盾になり、矛盾の否定はトートロジーになります。

φ がトートロジーなら ¬φ は矛盾、φ が矛盾なら ¬φ はトートロジーです。

たとえば p ∨ ¬p(排中律)はトートロジーなので、¬(p ∨ ¬p) は矛盾です。ド・モルガンの法則を使うと、これは ¬p ∧ p と同値であり、確かに矛盾であることがわかります。

トートロジーの重要性

トートロジーは、論理学において特別な地位を占めます。その理由は、トートロジーが「論理だけで真になる」命題だからです。

数学の定理を証明するとは、公理からトートロジーを導くことと見なせます。推論規則を使って、前提から結論への含意がトートロジーであることを示すのが証明の本質です。

次回は、論理的同値の概念を詳しく学び、同じ意味を持つ論理式をどう判定するかを見ていきます。