単調収束定理
単調収束定理は、ルベーグ積分における最も基本的な収束定理である。非負可測関数の単調増加列に対して、積分と極限の交換を保証する。
定理の主張
を測度空間とする。 を非負可測関数の列で、各点で単調増加するとする:
このとき は可測であり、
が成り立つ。
右辺の極限は単調増加列の極限なので、 内に必ず存在する。定理は、この極限が の積分に一致することを主張している。
証明の概略
まず、 から である。したがって
は明らかである。
逆向きの不等式を示す。任意の単関数 で を満たすものをとる。 に対し、
とおく。 は増大列で である( より)。
であり、測度の連続性から
とし、 について上限をとれば逆向きの不等式が得られる。
級数への応用
単調収束定理から、非負可測関数の級数について
が成り立つ。部分和 は単調増加列をなすので、単調収束定理を直接適用できる。
この等式は積分と無限和の交換を正当化するものであり、解析学で頻繁に用いられる。
単調減少列への拡張
単調減少列に対しても類似の結果が成り立つが、可積分性の仮定が必要である。
かつ のとき、
これは に単調収束定理を適用することで証明できる。
の仮定は本質的である。たとえば は各点で 0 に減少するが、 である。
リーマン積分との関係
単調収束定理は、リーマン積分では一般に成り立たない。たとえば 上で有理点の特性関数を ( は有理数の列挙)とすると、 だが、極限関数はリーマン積分可能でない。
ルベーグ積分では (有限集合の測度は 0)であり、極限関数の積分も (可算集合の測度は 0)となって、定理は正しく成り立つ。