ルベーグ可測集合の性質
ルベーグ可測集合は、外測度によるカラテオドリ条件を満たす集合として定義される。ボレル集合をすべて含み、測度 0 の集合の部分集合も含むという完備性を持つ。この節ではルベーグ可測集合の様々な特徴づけと性質を述べる。
定義の復習
の部分集合 がルベーグ可測であるとは、任意の に対して
が成り立つことである。ここで はルベーグ外測度である。
開集合・閉集合による近似
ルベーグ可測集合は、開集合や閉集合で任意の精度で近似できる。
がルベーグ可測であることと、以下の各条件は同値である:
- 任意の に対し、開集合 で なるものが存在する
- 任意の に対し、閉集合 で なるものが存在する
- 集合 で なるものが存在する
- 集合 で なるものが存在する
ここで は可算個の開集合の共通部分、 は可算個の閉集合の和を表す。
これらの特徴づけから、任意のルベーグ可測集合 は
の形に書ける。ここで はボレル集合、 は零集合の部分集合である。
ルベーグ可測集合族の構造
ルベーグ可測集合全体 は σ 加法族であり、ボレル集合族 を真に含む:
の濃度は である( は連続体濃度)。これはカントール集合の濃度が であり、その任意の部分集合がルベーグ可測(測度 0)であることから従う。一方、 の濃度は である。
代数的構造との関係
ルベーグ可測集合は平行移動と拡大縮小で閉じている。
がルベーグ可測で , のとき:
ここで , である。
平行移動不変性は、ルベーグ測度が「長さ」の自然な一般化であることの証左である。実際、 上のボレル測度で、平行移動不変かつ単位区間に有限の測度を与えるものは、ルベーグ測度の定数倍に限られる。
可算集合と零集合
可算集合はルベーグ測度 0 である。 のとき、各点を長さ の区間で覆えば
が任意の で成り立つので である。
逆は成り立たない。カントール集合は非可算だが測度 0 である。
稠密性と測度
稠密性と測度の大小は独立した概念である。 は で稠密だが である。一方、「太いカントール集合」は疎(内点を持たない)だが正の測度を持つものを構成できる。
たとえば、 からカントール集合の構成と同様に中央の区間を除去するが、 段目で除去する長さを より小さくすることで、残りの集合に正の測度を持たせられる。