$L^2$ 空間とヒルベルト空間構造
空間は 空間の中でも特別な位置を占める。内積が定義でき、ヒルベルト空間の構造を持つため、直交性や射影といった幾何学的な概念が利用できる。
空間の内積
を測度空間とする。 上の内積を
と定義する。ここで は の複素共役である。実数値関数の場合は単に となる。
この内積は次の性質を満たす:
- 、等号成立は a.e. のとき
ノルムは内積から として導かれる。
ヒルベルト空間としての
空間は完備な内積空間、すなわちヒルベルト空間である。完備性は 空間の一般論から従い、内積の存在が の特別な性質である。
のとき、 ノルムは一般に内積から導かれない。内積から導かれるノルムは平行四辺形の等式
を満たすが、これは でのみ成り立つ。
直交性
が直交するとは のことである。 と書く。
集合 の直交補空間は
で定義される。 は の閉部分空間である。
射影定理
を の閉部分空間とする。任意の に対し、 の元で に最も近いものが一意に存在する。すなわち、
を満たす が一意に存在する。この を の への直交射影といい、 と書く。
が成り立ち、 は と への直交分解を与える。
正規直交系
の元の族 が正規直交系であるとは、
を満たすことである。
正規直交系 に対し、 のフーリエ係数を と定める。ベッセルの不等式
が常に成り立つ。
完全正規直交系
正規直交系 が完全(または全)であるとは、()ならば となることである。
完全正規直交系に対しては、ベッセルの不等式で等号が成り立つ(パーセヴァルの等式):
さらに、 はフーリエ級数で表される:
この収束は ノルムの意味である。
例:フーリエ級数
において、 は完全正規直交系をなす。したがって任意の はフーリエ級数に展開でき、パーセヴァルの等式が成り立つ。