$L^p$ 空間の完備性
空間がノルムに関して完備であること、すなわちバナッハ空間であることは、関数解析における 空間の有用性を支える基本的な事実である。
完備性の主張
を測度空間とし、 とする。 は に関して完備である。すなわち、任意のコーシー列は 内の元に収束する。
の場合の証明
を のコーシー列とする。部分列 で
を満たすものをとる。
とおく。ミンコフスキーの不等式から
したがって であり、 a.e. である。
なる点 では、級数 は絶対収束するので、
が存在する。 より である。
優収束定理により が得られる。 がコーシー列であることから、部分列だけでなく列全体が に収束する。
の場合
を のコーシー列とする。任意の に対し、十分大きい で となる。
各 について が a.e. で成り立つ。高々可算個の例外集合の和も測度 0 なので、ある測度 0 の集合 の外で は一様コーシー列である。
上で と定め、 上では とする。一様収束から かつ が従う。
リース・フィッシャーの定理
の完備性はリース・フィッシャーの定理とも呼ばれる。歴史的には、フーリエ級数の収束に関連して発見された。
を に属する複素数列とするとき、
は に収束し、 は のフーリエ係数に一致する。この事実は の完備性から従う。
完備性の応用
完備性は関数解析の基本定理の適用を可能にする。
- バナッハの不動点定理による積分方程式の解の存在と一意性
- 一様有界性原理(バナッハ・シュタインハウスの定理)
- 開写像定理と閉グラフ定理
- ハーン・バナッハの拡張定理
これらの定理は完備ノルム空間(バナッハ空間)を前提とするため、 の完備性は本質的である。