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共役指数がすべてを決める - ヘルダーとミンコフスキーの不等式

が を満たすとき、 と を共役指数といいます[1]。 には が、 には が対応。

この関係のもとで、積の積分がノルムの積で押さえられます。

ヘルダーの不等式です。左辺は 、右辺は と をそれぞれ別の指数で測ったもの。

ヤングの不等式から出る

証明の芯は 1 変数の不等式です。 と共役指数について次が成り立ちます[1]。

これをヤングの不等式といいます。図で見ると、曲線 の下の面積と左の面積を足したものが、長方形 以上になる、という主張。

ヘルダーの不等式の証明は、これを各点で当てるだけです。 と正規化しておき、、 とおく。

両辺を積分すると、右辺は になります。左辺が 以下、つまり 。

正規化を戻せば一般の場合が出ます。 か が のときは、片方が a.e. で なので両辺とも 。

等号が立つのはいつか

のとき、等号は と が a.e. で 1 次従属になるときに限ります[1]。

ヤングの不等式で等号が立つのは のときだけ、という事実がそのまま持ち上がったもの。各点で等号が立つ必要があるので、比が定数でなければなりません。

ヘルダーの等号条件は、各点でヤングの等号が立つことに帰着します。

が a.e. で成り立つ、という形になる。

特別な場合

にとるとコーシー・シュワルツの不等式です[1]。

、 にとると、 が a.e. で成り立つことから出ます。素朴に見えますが、これもヘルダーの一例。

数え上げ測度にとれば数列の形になります。有限和でも無限和でも同じ不等式が立つ。

ミンコフスキーの不等式

三角不等式のほうを見ます。 について次が成り立ちます[2]。

これがあるおかげで がノルムになり、 がノルム空間になります[4]。

証明はヘルダーを経由します。 と分け、前を で押さえる。

それぞれにヘルダーを当てます。 の 乗が になるところが噛み合っていて、 が外に出る。

両辺を で割れば結論です。この割り算のために、 が有限かつ でないことを先に確かめます。

を 2 つの積に分ける

それぞれにヘルダーを当てる

共通因子で割って三角不等式を得る

等号と、 での逆転

での等号は、 と が正の定数倍で結ばれているとき、あるいは片方が のときに限ります[2]。

では不等号の向きが逆になります[2]。非負の関数に限れば、 が成り立つ。

単位球の形で見ると納得できます。 では凸なので和が球の中に収まり、 では星形にへこむので外へ出る。

積分形のミンコフスキー

和を積分に置き換えた形もあります[2]。σ 有限な 2 つの測度空間の上で、次が成り立ちます。

「積分してからノルムをとる」ほうが「ノルムをとってから積分する」より小さい、と読めます。有限和の三角不等式を、積分にまで押し広げたもの。

たたみこみの評価や、偏微分方程式の評価でよく使われる道具。

応用:包含関係と補間

測度が有限なら ()が成り立ちました。これはヘルダーから 1 行で出ます。

と定数関数 に、指数 とその共役をとって当てるだけ。

もうひとつがノルムの補間です。 を で結ぶと、次が成り立ちます[1]。

リトルウッドの不等式と呼ばれます。 が の凸関数になる、と言い換えられる[1]。

両端の指数でノルムが有限なら、あいだの指数でも有限。 が、測度に条件をつけずに従います。

ヘルダーの不等式

違う指数で測った 2 つを掛ける。積の積分を押さえる道具で、補間や双対性の土台になる

ミンコフスキーの不等式

同じ指数で測った 2 つを足す。三角不等式そのもので、 がノルム空間になる根拠

応用:双対性

のとき、 を固定すると が 上の有界線形汎関数になります[3]。

ヘルダーの不等式が有界性を与え、しかも作用素ノルムがちょうど に一致する。等号条件を使って、上限が実際に達成されることを示します[3]。

逆に の有界線形汎関数がすべてこの形に書けることも成り立ちます。 の双対が と同一視できる、という主張です[3]。

に対する共役指数はどれですか。

__RESULT__

から 、したがって です。共役指数は より大きく、 が大きいほど に近づきます。

よくある誤り

共役指数を で計算する。正しくは逆数の和が です。
ヘルダーを同じ指数どうしで使おうとする。 と は共役の関係になければなりません。
コーシー・シュワルツを別の定理だと思う。 のヘルダーそのものです。
でもミンコフスキーが成り立つと思う。向きが逆になります。
ミンコフスキーの証明で共通因子を割るとき、 の有限性を確かめない。 や だと割れません。
補間に測度の有限性が要ると思う。リトルウッドの不等式は測度によりません。
等号条件を「 と が比例」で覚える。ヘルダーでは と が比例、という形です。

参考文献

Hölder's inequality. Wikipedia(英語).
Minkowski inequality. Wikipedia(英語).
J. K. Hunter. *Measure Theory*. University of California at Davis, 2011.
Lp-Raum. Wikipedia(ドイツ語).
$1/p + 1/q = 1$ でつながった 2 つの指数があれば、積の積分をノルムの積で押さえられます。証明の芯は 1 変数のヤングの不等式で、曲線の下と左の面積を足すと長方形より広い、という図がそのまま持ち上がる。等号条件、コーシー・シュワルツとの関係、ヘルダーから三角不等式を導く手順、$p < 1$ で向きが逆転する理由、そして補間と双対性への効き方まで並べます。