調和級数はなぜ発散するのか、項が 0 に近づいても和は止まらない
の項は、どこまでも小さくなって に近づきます。それでも和は 1 つの値に落ちつかず、どこまでも大きくなる。
この和を調和級数といいます。項が へ向かうことと、和が止まることは別だという、いちばん分かりやすい例です。
項が 0 に近づくのは、止まるための条件の 1 つ
無限級数が収束するなら、足していく項そのものは に近づきます。
裏返すと、 が に近づかない級数は発散すると決まる。 では が へ向かうため、 ずつ足し続ける形になって和は増え続ける。
ところが逆向きは成り立ちません。 が分かっても、そこから収束は言えない。
項をまとめると 2 分の 1 が何度でも作れる
調和級数の項を、 個、 個、 個、 個、 個と区切ります。区切りのなかで、いちばん小さい項に全部を置きかえる。
区切る個数を 倍ずつ増やしていくと、どの区切りも より大きくなる。 を好きなだけ足せるため、和は上限を持ちません。
14 世紀のニコル・オレームがこの説明を残しています[1]。 項目までの部分和 は 以上になる、という形にまとまる[1]。
大きくなる速さは、おそろしく遅い
発散するとはいえ、伸び方はゆっくりです。部分和が を超えるのは 項目、 を超えるのは 項目[2]。
を超えるところまでくると、 項まで足すことになります[2]。それでも止まりません。
2 乗にすると、部分和が 2 を超えない
のほうは止まる。 で分母を少し小さくすると、差の形になおせる。
から まで足すと、右辺は隣どうしが打ち消し合って になります。
部分和は増え続けるのに、 を超えられません。 と を分けているのは、項の減り方の速さです。
例:項が 0 に近づかない場合
を調べる。
分母と分子を で割ると で、 は へ向かいます。 ではない。
よってこの級数は発散します。区切りも部分和も作らずに済み、最初に項の行き先を見た効果がそのまま出ている。
例:打ち消して和の値まで求める
を調べます。部分分数に分けると、部分和がそのまま計算できる。
を大きくすると に近づく。収束することだけでなく、和の値まで決まりました。
止まるか止まらないかを知りたいだけなら区切りやはさみこみで足りますが、値まで欲しいときは部分和を作ります。
はどうなりますか。
- に収束する
- に収束する
- 発散する
- 判定できない
「項が に近づく」という条件について、正しいものはどれですか。
- これがあれば収束すると言える
- 収束するなら成り立つが、これだけでは収束を言えない
- 発散するなら成り立つ
- 収束とは関係がない
調和級数は項が に近づくのに発散します。 に近づかなければ発散と決まりますが、近づいたあとの行き先は減り方の速さで分かれます。
項が に近づくかどうかだけでは、和の行き先を決めきれません。 と は、どちらも項が へ向かいながら、片方は上限を持たず、片方は の手前で止まります。















2n1=21⋅n1 で、調和級数の 21 倍です。定数倍しても発散は変わりません。