逆数にすると等間隔になる数列、調和数列と調和平均
各項の逆数を並べると等差数列になる。そういう数列を調和数列といいます[1]。
いちばん有名なのは です。逆数をとると になり、公差 の等差数列に変わります。
もとの並びは間隔がどんどん詰まっていくのに、逆数の側では等間隔。この見え方の違いが調和数列の特徴です。
逆数の世界では等間隔
次の図は、上に調和数列を、下にその逆数を並べたものです。
調和数列を直接あつかう公式はありません。逆数にして等差数列の公式を使い、最後にまた逆数へ戻す。手順はこれだけです。
一般項
が初項 、公差 の等差数列だとします[1]。
両辺の逆数をとれば、もとの数列の一般項が出ます。
分母が になる があると、その項は定まりません。調和数列を考えるときは、分母が にならない範囲に限ります。
例題 1:もっとも基本の形
の一般項を求めます。
逆数は で、初項 、公差 の等差数列です。
例題 2:公差が 1 でない場合
の第 項を求めます。
逆数は で、初項 、公差 の等差数列。
よって で、第 項は です。
分母だけを見て等差数列だと気づけるかどうか。そこが問題を解く分かれ目になります。
例題 3:項が分数でない調和数列
を調べます。
逆数は です。通分すると となり、公差 の等差数列になっています。
見た目が整数でも調和数列のことがあります。逆数をとるまで判断できません。
調和平均
2 数 、 の調和平均は次で定めます[2]。
逆数の平均をとって、また逆数に戻した値です。定義の形がそのまま調和数列と対応しています。
調和数列では、連続する 3 項 、、 について、真ん中が両隣の調和平均になります[1][3]。調和という名前は、この性質から来ています[3]。
3 つの平均の大小
正の数 、 について、3 種類の平均には決まった順序があります[2]。
等号が成り立つのは のときだけです。2 数の場合には という関係もあります[2]。

調和平均は小さいほうの数に近づきます。 と なら で、真ん中の よりずっと 寄りです。
例題 4:速さの平均
行きは時速 km、帰りは時速 km で同じ道を往復しました。往復の平均の速さを求めます。
km/h としたくなりますが、これは誤りです。距離を とすると、かかる時間は 、進んだ距離は です。
答えは時速 km。調和平均の式そのものが出てきました。
遅いほうに時間を多く使うので、平均は遅い側へ寄ります。調和平均が小さいほうに近い、という性質がここに効いています。
和を求めるのは難しい
等差数列や等比数列には和の公式があります。調和数列にはありません。
この和は、 の簡単な式では書けません。しかも を大きくすると、ゆっくりではあるものの、いくらでも大きくなります。
理由は項をまとめると見えます。 は より大きく、 から までの 4 項も より大きい。 をいくらでも足せるので、和は限りなく大きくなります。
一般項が に近づくのに和が発散する。この意外さが、調和数列がよく話題になる理由です。
練習問題
の第 項はどれですか。
と の調和平均はいくつですか。
です。相加平均の 、幾何平均の より小さくなっています。













逆数は 3,7,11,… で公差 4 の等差数列です。第 6 項の逆数は 3+5⋅4=23 なので、答えは 231 になります。