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k が動くと直線はどこを通るのか?通過領域という問題

を含む直線や曲線は、 の値ごとに位置が変わります。 を動かすと図形が動き、通った跡が平面に広がる。この跡が通過領域です。

跡の形を求めるのに、図形を何本も描いて眺める必要はありません。ある点を通るかどうかは、次の一言で決まります。

その点を通るような が存在するか。存在すれば通過領域に入り、存在しなければ入りません。

点を固定して の方程式と見る

を考えます。 はすべての実数を動くとします。

がこの直線群の通過領域に入る条件を書きます。 を代入した式が成り立つような があればよい。

ここで見方を切り替えます。 は固定した数、 が未知数です。 について整理します。

の二次方程式になりました。実数解をもつ条件は判別式で書けます。

に戻すと、通過領域は です。放物線とその上側。

薄い直線が をいろいろ変えて描いたものです。橙が今の に対応する 本。

どの直線も青い放物線より下へは入りません。放物線に触れて、そこから離れていく。触れる点が橙の丸です。

直線たちが埋めるのは放物線の上側だけ。これが の意味です。

なぜ判別式が出るのか

の二次方程式に直したので、実数解の有無が判別式で決まりました。手順を言い換えると次のようになります。

を固定して代入する

についての方程式と見て整理する

実数解をもつ条件を書く

に戻す

段目の見方の切り替えが要です。 が変数で が定数、という読み方をやめ、逆にする。

について何次になるかで、 段目の書き方が変わります。二次なら判別式、一次なら解が必ずあるかどうか。

例:接線が作る領域

を考えます。 はすべての実数です。

を代入し、 について整理します。

の係数が偶数なので を使います。

通過領域は で、放物線とその下側になります。

さきほどとは向きが逆です。この直線群は放物線 の接線を並べたもので、接線は放物線の下側だけを埋めます。

なら で、 で接する。他の でも同じことが起きています。

塗った部分が通過領域の外です。境界の放物線から上が答えで、下は をどう選んでも届きません。

境界そのものは領域に入ります。判別式が になる つだけ存在するためです。

について一次のときは除外点が出る

が二次で現れるとは限りません。一次のときは、判別式ではなく別の見方をします。

を考えます。点 を代入して について整理します。

なら、両辺を割って 。この が実際に存在するので、点は通過領域に入ります。

、つまり のときは割れません。左辺が になるので、右辺も でなければ成り立たない。

の直線上では、 点だけが通過領域に入ります。それ以外の点は、どんな でも通りません。

答えは「 の部分すべてと、点 」になります。平面のほとんどを覆いながら、 本の直線だけが穴になっていて、その穴に 点だけ残る形。

割り算をするときは、割る式が になる場合を別に調べる。この一手を省くと、 本の直線ぶんの答えを落とします。

に範囲があるとき

が実数全体を動かない場合は、その範囲も条件に加えます。

とします。点 を代入します。

なら です。これが 以上 以下という条件を書きます。

分母の符号で場合が分かれます。 なら分母を掛けても向きは変わりません。

なら向きが変わります。

のときは なので 。この点はどの でも通ります。

本の直線にはさまれた つのくさび形が答えです。どの直線も点 を通るので、そこが要になっています。

のとき のとき 。この 本が境界で、あいだの傾きがくさびを埋めます。

の範囲が閉じているので、境界の 本も領域に入ります。 の範囲が なら、境界は破線になる。

が二次で、しかも範囲があるとき

が二次で範囲も限られていると、判別式だけでは足りません。解が範囲の中にあるかどうかまで調べる必要があります。

たとえば とすると、 に解をもつ条件を書くことになります。

判別式で実数解の有無を見て、そのうえで解の位置を確かめる。二次方程式の解がどこにあるかを調べる問題に変わります。

範囲がなければ判別式だけで済みます。問題文に の範囲が書いてあるかどうかを、最初に確かめておくと道を選べます。

円が動く場合

動くのは直線に限りません。曲線でも手順は同じです。

が実数全体を動くとします。中心が 軸上を左右に動く円です。

を代入して について整理します。

左辺は平方なので 以上。この式を満たす が存在する条件は、右辺が 以上であることです。

通過領域は の帯になります。円が左右に動くので、上下の幅だけが残った形。

について展開して二次方程式に直しても同じ答えが出ます。ただ、平方の形のまま読むほうが速い場面です。

「すべての で成り立つ」とは違う

通過領域が聞いているのは「その点を通る つでもあるか」です。ひとつでもあれば入ります。

これとよく似た形で「すべての で成り立つ」という条件があります。こちらは、どの を選んでも成り立つ点を探す。

通過領域

ある が存在すればよい。条件は「 の方程式が解をもつ」で、判別式が 以上になります。

すべての で成り立つ

どの でも成り立つ必要があります。 について整理し、係数がすべて になる条件を書く形です。

について「すべての で通る点」を探します。 がどの でも成り立つ条件から、 かつ 。点 だけです。

この点はどの直線も通ります。他の点は、特定の でだけ通る。この差が つの条件の差です。

のほうには、すべての が通る点はありません。 の係数が で、これを にできないためです。通過領域は広いのに、共通の点は つもない。

が実数全体を動くとき、直線 の通過領域はどれですか。

  • 平面全体
__RESULT__

を代入して とします。 より です。この直線群は放物線 の接線なので、埋めるのはその下側になります。

手順のまとめ

点を と置いて式に代入する
を未知数と見て整理し、何次になるかを確かめる
二次なら判別式、一次なら係数が になる場合を別に調べる
に範囲があれば、その範囲に解があるかまで見る
に戻し、境界を含むかを確かめる

段目を飛ばすと、境界の実線と破線を書き分けられません。判別式が になる点は、その で確かに通るので境界も領域に入ります。

よくある誤り

を変数のまま扱う。点を固定して を未知数と見るところが出発点です
について一次のときに判別式を使う。一次式に判別式はありません
割り算をするときに、割る式が になる場合を調べない。除外点や追加の点が出ます
の範囲を忘れる。範囲があれば、解がその中にあるかまで確かめます
境界を含むかどうかを確かめない。判別式が の点は、その で通るので含まれます
通過領域と「すべての で成り立つ点」を混同する。前者は存在、後者は全部です
図形を何本か描いて、目分量で領域を決める。式で書けば見落としません
円や放物線が動く場合に手順を変える。代入して の方程式と見る流れは同じです

参考文献

Quadratic equation
Quadratic function
Locus (mathematics))
Diskriminante
Fonction du second degré
一元二次方程
図形を何本も描いて眺める必要はありません。点を固定して代入し、$k$ を未知数と見て整理する。その $k$ が存在すれば、その点は通ります。$k$ の二次式になれば判別式、一次式なら係数が $0$ になる場合を別に調べて除外点を拾う。$k$ に範囲があるとき、円が動くとき、そして「すべての $k$ で通る点」との違いまで、$1$ つの手順で追いかけます。